「大脳皮質」の版間の差分

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== 脳葉と機能局在 ==
== 脳葉と機能局在 ==
 [[ヒト]]では大脳皮質の表面にある明瞭な3つの[[脳溝]]である[[外側溝]][[lateral sulcus]]、[[中心溝]][[central sulcus]]、[[頭頂後頭溝]] [[parieto-occipital sulcus]]を基準に、[[大脳半球]]を[[前頭葉]]、[[頭頂葉]]、[[後頭葉]]、[[側頭葉]]の4葉と、これらの奥に隠れている[[島]]が区分される。さらに大脳半球の内側面には[[脳梁]][[corpus callosum]]があり、これを取り囲むように[[帯状溝]][[cingulate sulcus]]や[[側副溝]][[collateral sulcus]]などの脳溝が走行している。これらの溝と脳梁の間の大脳皮質を[[辺縁葉]]と呼ぶ。それぞれの脳葉の脳回には名称が与えられ、機能局在との関連でしばしば用いられる('''図3''')。
 [[ヒト]]では大脳皮質の表面にある明瞭な3つの[[脳溝]]である[[外側溝]][[lateral sulcus]]、[[中心溝]][[central sulcus]]、[[頭頂後頭溝]] [[parieto-occipital sulcus]]を基準に、[[大脳半球]]を[[前頭葉]]、[[頭頂葉]]、[[後頭葉]]、[[側頭葉]]の4葉と、これらの奥に隠れている[[島]]が区分される。さらに大脳半球の内側面には[[脳梁]][[corpus callosum]]があり、これを取り囲むように[[帯状溝]][[cingulate sulcus]]や[[側副溝]][[collateral sulcus]]などの脳溝が走行している。これらの溝と脳梁の間の大脳皮質を[[辺縁葉]]と呼ぶ。それぞれの脳葉の脳回には名称が与えられ、機能局在との関連でしばしば用いられる('''図3''')。
* [[前頭葉]][[frontal lobe]]は中心溝の前部で、その先端部を[[前頭極]]という。他の動物種に比べてヒトで著しく発達している脳葉である。中心前回に[[一次運動野]]があり、[[弁蓋部]][[言語中枢#ブローカ野|ブローカの運動性言語中枢]]がある。一次運動野の前方には[[運動前野]]、[[補足運動野]]、[[帯状皮質運動野]]からなる[[高次運動野]]があり、一次運動野に投射して運動の開始、企画、作業手順を制御する。
* [[前頭葉]][[frontal lobe]]は中心溝の前部で、その先端部を[[前頭極]]という。他の動物種に比べてヒトで著しく発達している脳葉である。中心前回に[[一次運動野]]があり、下前頭回の[[弁蓋部]]に発話を司る[[言語中枢#ブローカ野|ブローカの運動性言語中枢]]がある。一次運動野の前方には[[運動前野]]、[[補足運動野]]、[[帯状皮質運動野]]からなる[[高次運動野]]があり、一次運動野に投射して運動の開始、企画、作業手順を制御する。
* [[頭頂葉]][[parietal lobe]]は中心溝と頭頂後頭溝の間の領域で、その前縁にあたる[[中心後回]]に[[一次体性感覚野]]がある。頭頂間溝を境に[[上頭頂小葉]]と[[下頭頂小葉]]が分けられる。下頭頂小葉の前方が[[縁上回]]、後方が[[角回]]で、聴覚性や視覚性の[[言語中枢]]が存在する。[[上頭頂小葉]]は、自己周囲の空間の定位に関わる。
* [[頭頂葉]][[parietal lobe]]は中心溝と頭頂後頭溝の間の領域で、その前縁にあたる[[中心後回]]に[[一次体性感覚野]]がある。頭頂間溝を境に[[上頭頂小葉]]と[[下頭頂小葉]]が分けられる。下頭頂小葉の前方は[[縁上回]]、後方は[[角回]]で、これらの領域は[[語彙]]や[[意味処理]]などの[[言語処理]]に関わり、その障害により[[失読]]・[[失書]]が起こる。[[上頭頂小葉]]は、自己周囲の[[空間定位|空間の定位]]に関わる。
* [[後頭葉]][[occipital lobe]]は頭頂後頭溝の後部で、その先端部を[[後頭極]]という。[[鳥距溝]]を挟む上下の脳回は[[有線領]]ともよばれ、ここに一次視覚野が存在する。
* [[後頭葉]][[occipital lobe]]は頭頂後頭溝の後部で、その先端部を[[後頭極]]という。[[鳥距溝]]を挟む上下の脳回は[[有線領]]ともよばれ、ここに一次視覚野が存在する。
* [[側頭葉]][[temporal lobe]]は外側溝より下部で、先端部を[[側頭極]]という。外側溝に面する側頭葉の上面に[[横側頭回]]があり、ここに[[一次聴覚野]]が存在する。側頭葉の内側面には[[海馬傍回]]とその先端の膨らんだ[[鈎]][[uncus]]を観察できる。[[海馬傍回]]の奥に[[海馬]]([[海馬体]])があり、海馬ではアンモン角と歯状回が海馬台に乗っている。鈎の内部には[[扁桃体]]が存在する。
* [[側頭葉]][[temporal lobe]]は外側溝より下部で、先端部を[[側頭極]]という。外側溝に面する側頭葉の上面に[[横側頭回]]があり、ここに[[一次聴覚野]]が存在する。上側頭回の後部には言語理解を司る[[感覚性言語中枢]]([[ウェルニッケ野]])がある。側頭葉の内側面には[[海馬傍回]]とその先端の膨らんだ[[鈎]][[uncus]]を観察できる。[[海馬傍回]]の奥に[[海馬]]([[海馬体]])があり、海馬ではアンモン角と歯状回が海馬台に乗っている。鈎の内部には[[扁桃体]]が存在する。
* 島[[insula]]は外側溝の深部に隠れた皮質で、外側溝を広げて奥を観察すると縦に走る[[島皮質]][[insular cortex]]が見える。
* 島[[insula]]は外側溝の深部に隠れた皮質で、外側溝を広げて奥を観察すると縦に走る[[島皮質]][[insular cortex]]が見える。
* [[辺縁葉]][[limbic lobe]]は脳梁と帯状溝や側副溝の間に位置する古い皮質で、帯状回や海馬傍回を含む。
* [[辺縁葉]][[limbic lobe]]は脳梁と帯状溝や側副溝の間に位置する古い皮質で、帯状回や海馬傍回を含む。

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