29
回編集
Nobuaki Tanaka (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Nobuaki Tanaka (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
47行目: | 47行目: | ||
ここでは、昆虫で最も味覚受容体の同定が進んでいるショウジョウバエを例に概説する。口吻の1つの感覚子には、[[糖受容細胞]]、[[水受容細胞]]、[[塩受容細胞]]、[[苦味/高濃度塩受容細胞]]の4種類の味細胞、もしくは、[[糖/低塩受容細胞]]、[[苦味/高濃度塩受容細胞]]の2種類の味細胞が含まれている<ref name="ref4" /><ref><pubmed> 15389687 </pubmed></ref>。ショウジョウバエでは68種類の7回膜貫通型の味覚受容体(gustatory receptor, GR)ファミリーが同定され、糖や苦み物質に対する受容体や、その受容体を発現する味神経が明らかにされている<ref><pubmed> 19660932 </pubmed></ref>。ただし、GRファミリーには、嗅覚受容体なども含まれており、すべてが味覚受容体として機能しているわけではない。GRファミリーに含まれる味覚受容体は、7回膜貫通型のタンパク質ではあるが、少なくとも一部の受容体はGタンパク質共役型として働くのではなく、リガンド結合型イオンチャネルとして機能することが報告されている<ref><pubmed> 21709218</pubmed></ref>。また、個々の味細胞は、異なる組み合わせのGR遺伝子を発現することで、様々な糖を受容していると考えられている<ref><pubmed> 25702577 </pubmed></ref>。しかしながら、糖受容体として機能する際のGRのサブユニット構成は明らかにされていない。唯一、GR43aはその発現だけで陽イオンチャネルとして機能することが明らかにされている</ref><ref name="ref33"><pubmed> 21709218</pubmed></ref>。ちなみに、そのGr43aは脳では血リンパ中の果糖の濃度をモニターするのにも役立っている<ref><pubmed> 23178127</pubmed></ref>。 | ここでは、昆虫で最も味覚受容体の同定が進んでいるショウジョウバエを例に概説する。口吻の1つの感覚子には、[[糖受容細胞]]、[[水受容細胞]]、[[塩受容細胞]]、[[苦味/高濃度塩受容細胞]]の4種類の味細胞、もしくは、[[糖/低塩受容細胞]]、[[苦味/高濃度塩受容細胞]]の2種類の味細胞が含まれている<ref name="ref4" /><ref><pubmed> 15389687 </pubmed></ref>。ショウジョウバエでは68種類の7回膜貫通型の味覚受容体(gustatory receptor, GR)ファミリーが同定され、糖や苦み物質に対する受容体や、その受容体を発現する味神経が明らかにされている<ref><pubmed> 19660932 </pubmed></ref>。ただし、GRファミリーには、嗅覚受容体なども含まれており、すべてが味覚受容体として機能しているわけではない。GRファミリーに含まれる味覚受容体は、7回膜貫通型のタンパク質ではあるが、少なくとも一部の受容体はGタンパク質共役型として働くのではなく、リガンド結合型イオンチャネルとして機能することが報告されている<ref><pubmed> 21709218</pubmed></ref>。また、個々の味細胞は、異なる組み合わせのGR遺伝子を発現することで、様々な糖を受容していると考えられている<ref><pubmed> 25702577 </pubmed></ref>。しかしながら、糖受容体として機能する際のGRのサブユニット構成は明らかにされていない。唯一、GR43aはその発現だけで陽イオンチャネルとして機能することが明らかにされている</ref><ref name="ref33"><pubmed> 21709218</pubmed></ref>。ちなみに、そのGr43aは脳では血リンパ中の果糖の濃度をモニターするのにも役立っている<ref><pubmed> 23178127</pubmed></ref>。 | ||
GRファミリー以外にも、[[イオンチャネル型受容体]] | GRファミリー以外にも、[[イオンチャネル型受容体]](IR)や[[Transient receptor potentialチャネル]](Trpチャネル)、pickpocketチャネルなども味覚受容体として機能していると考えられている<ref><pubmed> 33683373 </pubmed></ref>。たとえば、突然変異体の解析などから、Na<sup>+</sup>の受容はIR76b とIR25aに依存し<ref><pubmed> 30307393 </pubmed></ref>、また、アミノ酸感受性にはIR76bとIR20aが関与することが報告されている。さらには、ENaCファミリーの[[Pickpocket28]](PPK28)が水受容細胞が低浸透圧を検知するために必須であることや、苦味受容体細胞が[[TrpA1]]遺伝子を発現することが[[wikipedia:ja:ワサビ|ワサビ]]の味を感知するために必要であることが報告されている<ref><pubmed> 20364123 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16647259 </pubmed></ref>。 しかしながら、IRやTrpチャネル、pickpocketチャネルが実際に受容体として機能しているかは証明されていない。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |
回編集