「模倣学習」の版間の差分

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サイズ変更なし 、 2021年9月28日 (火)
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 これらは、特別のメカニズムによるのか、他者を含む環境との相互作用による創発行動なのかの議論がある。新生児模倣<ref name=Meltzoff1977><pubmed>897687</pubmed></ref>[9]は、模倣の生得性を謳ったが、その後、多くの観察から、感覚運動学習の可能性が高くなっている(例えば、<ref name=Ray2011><pubmed>21159091</pubmed></ref>[10])。そして、'''図1'''でもすでに示されているように、模倣の進化の連続性の観点からは、共通のメカニズムとして、ミラーニューロンシステム(以降、MNSと略記)<ref name=リゾラッティ2009>'''ジャコモ ・リゾラッティ&コラド・シニガリア, 柴田裕之 (訳), 茂木健一郎 (監修) (2009).'''<br>『ミラーニューロン』. 紀伊国屋書店. </ref>[11]が重要な役割を果たしているように見える。ミラーニューロンはマカクザルの下前頭回(F5領域)と下頭頂葉で発見され、運動の観測と実行を司るニューロンと称されてきた。そして、先に示した共感やメンタライジング、さらには、ヒトのブローカ野に近いこともあり、言語能力にも関連しているとさえ言われてきた<ref name=Rizzolatti1998><pubmed> 9610880 </pubmed></ref>[12]。これらは、過渡の期待であり、多くの懸念を示す研究者もいる<ref name=Hickok2009><pubmed>19199415</pubmed></ref>[13]。行為理解に無関係ではないが、そのような高次の機能を担っていないとも言われている<ref name=Hickok2013><pubmed>23147121</pubmed></ref>[14]。MNSの定義自体にもよるが、ヒトのMNSの解析では、Oosterhof et al. <ref name=Oosterhof2013><pubmed>23746574</pubmed></ref>[15]は、multivariate pattern analysis (MVPA) <ref name=Mahmoudi2012><pubmed>23401720</pubmed></ref>[16]を用いて、以下を示した('''図2'''も参照)。
 これらは、特別のメカニズムによるのか、他者を含む環境との相互作用による創発行動なのかの議論がある。新生児模倣<ref name=Meltzoff1977><pubmed>897687</pubmed></ref>[9]は、模倣の生得性を謳ったが、その後、多くの観察から、感覚運動学習の可能性が高くなっている(例えば、<ref name=Ray2011><pubmed>21159091</pubmed></ref>[10])。そして、'''図1'''でもすでに示されているように、模倣の進化の連続性の観点からは、共通のメカニズムとして、ミラーニューロンシステム(以降、MNSと略記)<ref name=リゾラッティ2009>'''ジャコモ ・リゾラッティ&コラド・シニガリア, 柴田裕之 (訳), 茂木健一郎 (監修) (2009).'''<br>『ミラーニューロン』. 紀伊国屋書店. </ref>[11]が重要な役割を果たしているように見える。ミラーニューロンはマカクザルの下前頭回(F5領域)と下頭頂葉で発見され、運動の観測と実行を司るニューロンと称されてきた。そして、先に示した共感やメンタライジング、さらには、ヒトのブローカ野に近いこともあり、言語能力にも関連しているとさえ言われてきた<ref name=Rizzolatti1998><pubmed> 9610880 </pubmed></ref>[12]。これらは、過渡の期待であり、多くの懸念を示す研究者もいる<ref name=Hickok2009><pubmed>19199415</pubmed></ref>[13]。行為理解に無関係ではないが、そのような高次の機能を担っていないとも言われている<ref name=Hickok2013><pubmed>23147121</pubmed></ref>[14]。MNSの定義自体にもよるが、ヒトのMNSの解析では、Oosterhof et al. <ref name=Oosterhof2013><pubmed>23746574</pubmed></ref>[15]は、multivariate pattern analysis (MVPA) <ref name=Mahmoudi2012><pubmed>23401720</pubmed></ref>[16]を用いて、以下を示した('''図2'''も参照)。


[[ファイル:Asada Imitation Learning Fig1.png|サムネイル|'''図2 ヒトにおけるクロスモーダルでアクション固有の活動の本人/第三者視点の違いを示すスコア'''(文献<ref name=Oosterhof2013><pubmed>23746574</pubmed></ref>[15]より改編)]]
[[ファイル:Asada Imitation Learning Fig2.png|サムネイル|'''図2 ヒトにおけるクロスモーダルでアクション固有の活動の本人/第三者視点の違いを示すスコア'''(文献<ref name=Oosterhof2013><pubmed>23746574</pubmed></ref>[15]より改編)]]


*腹側運動前野(PMv)は、視覚運動表現において、第三者視点よりも本人の視点からの応答が強かった。マカクザルでは、この該当領域(F5)において、自己他者の視点の違いによらない行動認識とされていたことと異なる。
*腹側運動前野(PMv)は、視覚運動表現において、第三者視点よりも本人の視点からの応答が強かった。マカクザルでは、この該当領域(F5)において、自己他者の視点の違いによらない行動認識とされていたことと異なる。

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