「モデル動物」の版間の差分

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 [[wj:鳥類|鳥類]]は鳴くことで音声コミュニケーションをとっていると考えられており、その中でもキンカチョウは、幼鳥は親鳥の鳴き声をもとに発声練習をしてさえずりを学習することが調べられており、音声コミュニケーションでの社会性行動やさえずりの学習能力に関するモデル動物として有用であると考えられている。  
 [[wj:鳥類|鳥類]]は鳴くことで音声コミュニケーションをとっていると考えられており、その中でもキンカチョウは、幼鳥は親鳥の鳴き声をもとに発声練習をしてさえずりを学習することが調べられており、音声コミュニケーションでの社会性行動やさえずりの学習能力に関するモデル動物として有用であると考えられている。  


 脳神経に直接処置を加えて調べる[[長期増強]]などの電気生理学的実験や記憶や情動などの高次脳機能や運動機能を調べる行動学的実験などでは、マウス、ラット、マカク属サルなどがよく用いられている。特に遺伝操作ができるマウスでは行動解析実験の実験方法や実験機器等が確立されているものが多くあり、実際に動物の行動を観察することで、脳機能に関する様々な情報を得ることが可能である。行動解析実験機器としては、学習・記憶能力を調べる[[モーリス水迷]]路、[[バーンズ円形迷路]]や[[恐怖条件づけ]]実験装置、[[運動協調性]]を調べる[[ローターロッド]]試験、[[不安様行動]]を調べる[[高架式十字迷路]]や[[明暗往来実験]]装置、[[うつ病]]様行動を評価する[[強制水泳]]実験装置や[[テールサスペンションテスト]]装置、[[総合失調症]]を評価する[[プレパルスインヒビション]]テスト装置、[[概日リズム]]の評価を行う[[回転かご走行試験]]装置などがある。  
 脳神経に直接処置を加えて調べる[[長期増強]]などの電気生理学的実験や記憶や情動などの高次脳機能や運動機能を調べる行動学的実験などでは、マウス、ラット、マカク属サルなどがよく用いられている。特に遺伝操作ができるマウスでは行動解析実験の実験方法や実験機器等が確立されているものが多くあり、実際に動物の行動を観察することで、脳機能に関する様々な情報を得ることが可能である。行動解析実験機器としては、学習・記憶能力を調べる[[モーリス水迷路]][[バーンズ円形迷路]]や[[恐怖条件づけ]]実験装置、[[運動協調性]]を調べる[[ローターロッド]]試験、[[不安様行動]]を調べる[[高架式十字迷路]]や[[明暗往来実験]]装置、[[うつ病]]様行動を評価する[[強制水泳]]実験装置や[[テールサスペンションテスト]]装置、[[総合失調症]]を評価する[[プレパルスインヒビション]]テスト装置、[[概日リズム]]の評価を行う[[回転かご走行試験]]装置などがある。  


 ヒトの病気に類似した疾患を呈する実験動物は疾患モデル動物とよばれる。疾患モデル動物の原因遺伝子の特定とその機能解析は、疾患モデル動物の有用性に大きく関わる。疾患モデル動物への遺伝学的アプローチ法には、[[フォワードジェネティクス]]([[順行性遺伝学]])と[[リバースジェネティクス]]([[逆行性遺伝学]])のふたつの方法がある。
 ヒトの病気に類似した疾患を呈する実験動物は疾患モデル動物とよばれる。疾患モデル動物の原因遺伝子の特定とその機能解析は、疾患モデル動物の有用性に大きく関わる。疾患モデル動物への遺伝学的アプローチ法には、[[フォワードジェネティクス]]([[順行性遺伝学]])と[[リバースジェネティクス]]([[逆行性遺伝学]])のふたつの方法がある。
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*マウスの総合失調症モデル<ref name=ref57><pubmed>10481908</pubmed></ref> <ref name=ref58><pubmed>19244511</pubmed></ref> <ref name=ref59><pubmed>23389689</pubmed></ref>
*マウスの総合失調症モデル<ref name=ref57><pubmed>10481908</pubmed></ref> <ref name=ref58><pubmed>19244511</pubmed></ref> <ref name=ref59><pubmed>23389689</pubmed></ref>


 今後も詳細な病態メカニズムの解析、検査方法や治療法の開発のためにモデル動物は利用されていくことが期待される。しかしながらヒトとモデル動物の生理・代謝機能は、ある一部分は共通であるが、他の部分は共通しておらず、その程度はそれぞれの疾患で異なっていると考えられる。そのためモデル動物に対しては、共通している部分はヒトへの外挿ができるモデル部分として考え活用し、共通していない部分についてはその原因を調べることにより疾患への抵抗性をもたらすメカニズムなどの重要な示唆が得られる可能性があることを考えながら解析を進めることが有益である。  
 今後も詳細な病態メカニズムの解析、検査方法や治療法の開発のためにモデル動物は利用されていくことが期待される。しかしながらヒトとモデル動物の生理・代謝機能は、ある一部分は共通であるが、他の部分は共通しておらず、その程度はそれぞれの疾患で異なっていると考えられる。そのためモデル動物に対しては、共通している部分はヒトへの外挿ができるモデル部分として考え活用し、共通していない部分についてはその原因を調べることにより疾患への抵抗性をもたらすメカニズムなどの重要な示唆が得られる可能性があることを考えながら解析を進めることが有益である。


==関連項目==
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