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推定される病態メカニズムから不安障害を分類してみると、3つに分類することが可能かもしれない。具体的には、①PDやSAD、PTSD等の“stress-induced fear circuitry disorders(SIFCD)”と言われる一群で、さらに②OCD等の強迫や衝動等に関連した“[[強迫スペクトラム障害]](OC spectrum disorders)”、最後に③[[うつ病]]と関連がより深いGAD、の3つである。 | 推定される病態メカニズムから不安障害を分類してみると、3つに分類することが可能かもしれない。具体的には、①PDやSAD、PTSD等の“stress-induced fear circuitry disorders(SIFCD)”と言われる一群で、さらに②OCD等の強迫や衝動等に関連した“[[強迫スペクトラム障害]](OC spectrum disorders)”、最後に③[[うつ病]]と関連がより深いGAD、の3つである。 | ||
SIFCDの病態は、多少違いはあるにせよ「[恐怖条件づけ| | SIFCDの病態は、多少違いはあるにせよ「[[恐怖条件づけ|恐怖の条件づけ]](fear conditioning)」に関連した神経回路の機能不全(fear-circuitry dysfunction)と考えられている。ちなみに、急に大きい音を立てると、ヒトは驚いて恐怖反応を呈し、発汗等の条件反応を起こす。それを[[wikipedia:JA:ガルバニック皮膚反応|皮膚電気反応]](skin conductance response; SCR)で測定すると、大きい音を立てた時にSCRが上昇する。しかし、小さい音ではSCRは不変である。一方、小さい音とほぼ同時に大きい音を立てるとSCRは当然上昇するが、この行為を繰り返すことによって、小さい音だけでSCRが上昇するようになる。この状態を「恐怖条件づけ」という。これは[[古典的条件付け]](つまり、[[wikipedia:JA:パブロフの犬|パブロフの犬]]と同じもの)であるが、恐怖に関連したものなので、「恐怖の条件づけ」と呼んでいる。 | ||
そして、不安障害患者は脅威に関する手がかりを選択的に注意するが、必ずしも意識的ではない。つまり、「恐怖条件づけ」の神経回路の過活性化がそのベースに存在するものと思われる<ref name="ref19">'''塩入俊樹'''<br>社交不安障害(SAD)の神経生物学的検討:Fear-circuitry dysfunctionの観点から.<br>''臨床精神薬理'' 13; 711-721, 2010.</ref>。この回路の基本的プロセスにおいて極めて重要な役割を演じているのは、[[扁桃体]]である。 | そして、不安障害患者は脅威に関する手がかりを選択的に注意するが、必ずしも意識的ではない。つまり、「恐怖条件づけ」の神経回路の過活性化がそのベースに存在するものと思われる<ref name="ref19">'''塩入俊樹'''<br>社交不安障害(SAD)の神経生物学的検討:Fear-circuitry dysfunctionの観点から.<br>''臨床精神薬理'' 13; 711-721, 2010.</ref>。この回路の基本的プロセスにおいて極めて重要な役割を演じているのは、[[扁桃体]]である。 |