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==== 受精卵におけるゲノム編集 ====
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[[Image:ゲノム図4.png|thumb|right|400px|'''図4. CRISPR/Cas9を用いた疾患モデルマウスの作成''']]
[[Image:ゲノム図4.png|thumb|right|400px|'''図4. CRISPR/Cas9を用いた疾患モデルマウスの作成''']]
 従来、[[遺伝子改変動物]]は、ES細胞の相同組換えによる遺伝子改変を基盤として作成されてきた。しかし、その作成には長い時間、多大な労力、多額の費用が必要である。さらに、遺伝子改変動物の作成は、マウス等、ES細胞が樹立されているごく一部の動物種に限られていた。CRISPR/Cas9システムは、この状況を一変させた。CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変動物の作成は、標的配列に対するガイドRNA、Cas9をコードするmRNAおよびノックインの場合にはドナーDNAを受精卵に注入するだけで、受精卵内で標的遺伝子が改変され、短時間にノックアウト・ノックイン動物を得ることができる('''図4''')。
 従来、[[遺伝子改変動物]]は、ES細胞の相同組換えによる遺伝子改変を基盤として作成されてきた。しかし、その作成には長い時間、多大な労力、多額の費用が必要である。さらに、遺伝子改変動物の作成は、マウス等、ES細胞が樹立されているごく一部の動物種に限られていた。CRISPR/Cas9システムは、この状況を一変させた。CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変動物の作成は、標的配列に対するガイドRNA、Cas9をコードする[[mRNA]]およびノックインの場合にはドナーDNAを受精卵に注入するだけで、受精卵内で標的遺伝子が改変され、短時間にノックアウト・ノックイン動物を得ることができる('''図4''')。


 さらに最近、従来の「顕微注入法」で必要とされる受精卵の単離、顕微注入、移植といった一連の作業を省略できる[[Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery]] ([[GONAD]])法が報告された<ref><pubmed>29482575</pubmed></ref>。GONAD法では、0.7日胚(着床前)を有する妊娠雌マウスの[[wj:卵管|卵管]]に標的配列に対するガイドRNA、Cas9をコードするmRNAを注入し、卵管全体に対し直接[[電気穿孔法]]を行う。CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変動物の作製法は、そのきわめて迅速で簡便で高い効率性が特徴である。以下に、遺伝子欠損・塩基置換・外来遺伝子ノックイン動物の作成法を、マウスを中心に概説する。
 さらに最近、従来の「顕微注入法」で必要とされる受精卵の単離、顕微注入、移植といった一連の作業を省略できる[[Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery]] ([[GONAD]])法が報告された<ref><pubmed>29482575</pubmed></ref>。GONAD法では、0.7日胚(着床前)を有する妊娠雌マウスの[[wj:卵管|卵管]]に標的配列に対するガイドRNA、Cas9をコードするmRNAを注入し、卵管全体に対し直接[[電気穿孔法]]を行う。CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変動物の作製法は、そのきわめて迅速で簡便で高い効率性が特徴である。以下に、遺伝子欠損・塩基置換・外来遺伝子ノックイン動物の作成法を、マウスを中心に概説する。

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