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[[ヒト]]FOXP2の[[相同遺伝子]]([[オーソログ]])は、[[サル]]や[[マウス]]などの[[哺乳類]]だけでなく、[[鳥類]]([[キンカチョウ]]など)から[[魚類]]([[ゼブラフィッシュ]]など)に至るまで同定されている[Bonkowsky & Chien, Dev Dyn, 2005] <pubmed> 16028276</pubmed><ref name=Ferland2003><pubmed> 12687690 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 18461604 </pubmed></ref> <ref name=Teramitsu2004><pubmed> 15056695 </pubmed></ref>。本項では、ヒトFOXP2に対応するマウスのオーソログはFoxp2、それ以外の動物種のオーソログはFoxP2と表記する[Kaestner et al., 2000] <ref><pubmed>10702024</pubmed></ref>。また、ヒトFOXP2に対応するタンパク質は、Foxp2(マウス)、FoxP2(それ以外の動物種)と表記する。 | [[ヒト]]FOXP2の[[相同遺伝子]]([[オーソログ]])は、[[サル]]や[[マウス]]などの[[哺乳類]]だけでなく、[[鳥類]]([[キンカチョウ]]など)から[[魚類]]([[ゼブラフィッシュ]]など)に至るまで同定されている[Bonkowsky & Chien, Dev Dyn, 2005] <ref><pubmed> 16028276</pubmed></ref><ref name=Ferland2003><pubmed> 12687690 </pubmed></ref><ref><pubmed> 18461604 </pubmed></ref><ref name=Teramitsu2004><pubmed> 15056695 </pubmed></ref>。本項では、ヒトFOXP2に対応するマウスのオーソログはFoxp2、それ以外の動物種のオーソログはFoxP2と表記する[Kaestner et al., 2000] <ref name=Kaestner2000><pubmed>10702024</pubmed></ref>。また、ヒトFOXP2に対応するタンパク質は、Foxp2(マウス)、FoxP2(それ以外の動物種)と表記する。 | ||
Fork headドメインの相同性の程度によって、Foxファミリータンパク質は[[FOXA]]から[[FOXS]]までの19のサブクラスに分類される<ref | Fork headドメインの相同性の程度によって、Foxファミリータンパク質は[[FOXA]]から[[FOXS]]までの19のサブクラスに分類される<ref name=Kaestner2000 /><ref name=Hannenhalli2009 /> [Kaestner et al., 2000; Hannenhalli & Kaestner, NRG, 2009]。ヒトでは50種類、マウスでは44種類のFOX遺伝子(Fox遺伝子)がコードされている。Foxファミリータンパク質は進化を通して高度に保存されており、ショウジョウバエのfork headタンパク質とヒトのFOXA1タンパク質のDNA結合ドメインの相同性は90%である<ref name=Hannenhalli2009 /> [Hannenhalli & Kaestner, NRG, 2009]。<ref><pubmed>20650821</pubmed></ref> [Jackson et al., Hum Genomics, 2010]。FOXファミリーにおいて、[[αヘリックス]]と[[βシート]]は高度に保存されており、2つ目と3つ目のαヘリックスの間に構造的な違いがある<ref><pubmed>33303287</pubmed></ref> [Herman et al., 2021]。 | ||
FOXP2タンパク質と同様な[[ジンクフィンガー]]および[[ロイシンジッパー]]ドメインを持つFOXPタンパク質ファミリーは、Drosophilaなどの無脊椎動物にもみられるが、脊椎動物ではFOXP1, FOXP3, FOXP4が知られている<ref name=Co2020><pubmed>31999079</pubmed></ref><ref name=Santos2010><pubmed>20651048</pubmed></ref> [Co, 2020; Santos et al., 2010]。マウスの脳内にては、Foxp1, Foxp2, Foxp4が発現しており、1つの細胞に共発現している場合がある<ref><pubmed>14516685</pubmed></ref><ref name=Mendoza2015><pubmed>25556631</pubmed></ref> <ref name=Spaeth2015><pubmed>26021489</pubmed></ref> [5] [Lu et al., 2002; Mendoza et al., 2015; Spaeth et al., 2015]。これら3つのFOX(or Fox)タンパク質の発現は、細胞種および脳領域によって異なるだけでなく、発生段階によっても変動する<ref name=Co2020 />[Co, 2020]。一方、Foxp3は[[免疫]]系の[[T regulatory細胞]]において、発現が確認されている<ref><pubmed>19114986</pubmed></ref> [Huehn et al., 2009]また、哺乳類のFOXP遺伝子に相当する遺伝子がショウジョウバエにも1つあることが確認されている<ref name=Santos2010 /> [Santos et al., 2010]。 | |||
ヒト(またはマウス)細胞内において(in vitro experiment)、FOXP2が機能するためには、FOXP2同士によるホモダイマー形成または、FOXP1(またはFOXP4)とのヘテロダイマーを形成する必要がある、と報告されている<ref><pubmed>14701752</pubmed></ref> <ref><pubmed>25027557</pubmed></ref> [14][Sin et al., 2015]。同様に、[[キンカチョウ]]([[ゼブラフィンチ]])のArea Xにおいても、FoxP1, FoxP2, FoxP4がタンパク質ホモダイマーまたはヘテロダイマーを形成し、その組み合わせによって制御する遺伝子が異なることが報告されている<ref name=Mendoza2017><pubmed>28507505</pubmed></ref> [Mendoza & Scharff, 2017]。 | ヒト(またはマウス)細胞内において(in vitro experiment)、FOXP2が機能するためには、FOXP2同士によるホモダイマー形成または、FOXP1(またはFOXP4)とのヘテロダイマーを形成する必要がある、と報告されている<ref><pubmed>14701752</pubmed></ref> <ref><pubmed>25027557</pubmed></ref> [14][Sin et al., 2015]。同様に、[[キンカチョウ]]([[ゼブラフィンチ]])のArea Xにおいても、FoxP1, FoxP2, FoxP4がタンパク質ホモダイマーまたはヘテロダイマーを形成し、その組み合わせによって制御する遺伝子が異なることが報告されている<ref name=Mendoza2017><pubmed>28507505</pubmed></ref> [Mendoza & Scharff, 2017]。 |