「むずむず脚症候群」の版間の差分

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 診断、治療状況を知る上で重要な研究として、欧米6カ国の一般人口を対象(n=15,391名)とした調査がある5) <ref name=Allen2005><pubmed>15956009</pubmed></ref> 。本調査においては、症状を週に2回以上認めた者は2.7%(416名)であった。この確定診断群の81%(337名)はプライマリケア医を受診していたが、むずむず脚症候群の診断を受けていたのはその中のわずか6.2%(21名)で、多くはむずむず脚症候群類似の下肢不快感を訴える下肢血行障害(18.3%)、[[関節炎]](14.3%)、[[脊椎]]疾患(12.7%)、[[静脈瘤]](7.5%)、[[抑うつ不安障害]](6.3%)と診断(誤診)されていた。この結果は、医療従事者のむずむず脚症候群に対する認知度がまだまだ低いことを示していると言えよう。
 診断、治療状況を知る上で重要な研究として、欧米6カ国の一般人口を対象(n=15,391名)とした調査がある5) <ref name=Allen2005><pubmed>15956009</pubmed></ref> 。本調査においては、症状を週に2回以上認めた者は2.7%(416名)であった。この確定診断群の81%(337名)はプライマリケア医を受診していたが、むずむず脚症候群の診断を受けていたのはその中のわずか6.2%(21名)で、多くはむずむず脚症候群類似の下肢不快感を訴える下肢血行障害(18.3%)、[[関節炎]](14.3%)、[[脊椎]]疾患(12.7%)、[[静脈瘤]](7.5%)、[[抑うつ不安障害]](6.3%)と診断(誤診)されていた。この結果は、医療従事者のむずむず脚症候群に対する認知度がまだまだ低いことを示していると言えよう。
[[ファイル:Inoue むずむず脚症候群 Figure1.png|サムネイル|'''図1. 低酸素に関連したRLSの細胞内での病態生理'''<br>細胞内での鉄欠乏、[[一酸化窒素]]、アデノシン、MEIS1の多型は, 単独(実線)にあるいは共同して(点線)、むずむず脚症候群病態に影響を及ぼす。<br>
[[ファイル:Inoue むずむず脚症候群 Figure1.png|サムネイル|'''図1. 低酸素に関連したむずむず脚症候群の細胞内での病態生理'''<br>細胞内での鉄欠乏、[[一酸化窒素]]、アデノシン、MEIS1の多型は, 単独(実線)にあるいは共同して(点線)、むずむず脚症候群病態に影響を及ぼす。<br>
RLS; むずむず脚症候群<br>
[[HIF-1a]]; [[hypoxia inducible factor-1&alpha;]]<br>
[[HIF-1a]]; [[hypoxia inducible factor-1&alpha;]]<br>
[[VEGF]]; [[vascular endothelial growth factor]]<br>
[[VEGF]]; [[vascular endothelial growth factor]]<br>
文献<ref name=Trenkwalder2018><pubmed>30244828</pubmed></ref>から改変]]
文献<ref name=Trenkwalder2018><pubmed>30244828</pubmed></ref>から改変]]
[[ファイル:Inoue むずむず脚症候群 Figure2.png|サムネイル|'''図2. むずむず脚症候群に対する遺伝的背景と環境(二次的)要因の関係'''<br>文献<ref name=Trenkwalder2016><pubmed>26944272</pubmed></ref>から改変]]
[[ファイル:Inoue むずむず脚症候群 Figure2.png|サムネイル|'''図2. むずむず脚症候群に対する遺伝的背景と環境(二次的)要因の関係'''<br>文献<ref name=Trenkwalder2016><pubmed>26944272</pubmed></ref>から改変]]
==病態生理==
==病態生理==
 '''図1'''にTrenkwalderらが動物実験の結果をまとめた、むずむず脚症候群の低酸素状態に関連した細胞内での病態生理を示す6) <ref name=Trenkwalder2018><pubmed>30244828</pubmed></ref> 。'''図2'''に、むずむず脚症候群症状の発現に関わる遺伝学的背景と環境(二次性)要因の関与の関係を示す35) <ref name=Trenkwalder2016><pubmed>26944272</pubmed></ref> 。一般に若年発症の家族性発症の症例では遺伝的要素が主体となり、中高年期以降の症例では、身体的な背景の関与が高くなると考えられている。
 '''図1'''にTrenkwalderらが動物実験の結果をまとめた、むずむず脚症候群の低酸素状態に関連した細胞内での病態生理を示す6) <ref name=Trenkwalder2018><pubmed>30244828</pubmed></ref> 。'''図2'''に、むずむず脚症候群症状の発現に関わる遺伝学的背景と環境(二次性)要因の関与の関係を示す35) <ref name=Trenkwalder2016><pubmed>26944272</pubmed></ref> 。一般に若年発症の家族性発症の症例では遺伝的要素が主体となり、中高年期以降の症例では、身体的な背景の関与が高くなると考えられている。

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