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 精巣の[[wikipedia:ja:ライディッヒ細胞|ライディッヒ細胞]]から分泌されるアンドロゲンは[[男性ホルモン]]とも呼ばれ、雄性化作用を持つホルモンの総称であり、また女性ホルモンのひとつ、[[エストロゲン]]の前駆体でもある。生体内の主たるアンドロゲンは[[テストステロン]]である。テストステロン以外にも[[アンドロステンジオン]]や[[ジヒドロテストステロン]]もアンドロゲン作用を持つ。  
 精巣の[[wikipedia:ja:ライディッヒ細胞|ライディッヒ細胞]]から分泌されるアンドロゲンは[[男性ホルモン]]とも呼ばれ、雄性化作用を持つホルモンの総称であり、また女性ホルモンのひとつ、[[エストロゲン]]の前駆体でもある。生体内の主たるアンドロゲンは[[テストステロン]]である。テストステロン以外にも[[アンドロステンジオン]]や[[ジヒドロテストステロン]]もアンドロゲン作用を持つ。  


 アンドロゲンはタンパク質同化作用を持ち、男性の[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]二次性徴を促進するホルモンである。[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]骨格筋の発達促進に加え、体毛の発育促進、頭髪の減少、[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]皮脂腺の発達、[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]精子形成促進、[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]輸精管・[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]前立腺・[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]精嚢・[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]カウパー腺の維持等を担い、また、交尾等の[[性行動]]もアンドロゲンによって促進される<ref name="ref1" />。  
 アンドロゲンはタンパク質同化作用を持ち、男性の[[wikipedia:ja:二次性徴|二次性徴]]を促進するホルモンである。[[wikipedia:ja:骨格筋|骨格筋]]の発達促進に加え、体毛の発育促進、頭髪の減少、[[wikipedia:ja:皮脂腺|皮脂腺]]の発達、[[wikipedia:ja:精子|精子]]形成促進、[[wikipedia:ja:輸精管|輸精管]][[wikipedia:ja:前立腺|前立腺]][[wikipedia:ja:精嚢|精嚢]][[wikipedia:ja:カウパー腺|カウパー腺]]の維持等を担い、また、交尾等の[[性行動]]もアンドロゲンによって促進される<ref name="ref1" />。  


 アンドロゲンは脳の[[性分化]]にも重要なホルモンである。「アンドロゲンシャワー」と呼ばれる、周生期動物の[[wikipedia:ja:ヒスタミン|ヒスタミン]]精巣から分泌される高濃度のアンドロゲン作用によって脳の雄性化と脱雌性化が起こり、脳の性分化の方向が決められる<ref name="kondo">近藤保彦、小川園子、菊水健史、山田一夫、富原一哉<br>脳とホルモンの行動学<br>西村書店:2010 </ref>。例えば、雄ラットの精巣を生後直後に摘出すると成熟後に雌特有の性行動を引き起こし、また出生一週間頃までの雌ラットにアンドロゲンを投与すると性成熟後も性周期は回帰せず無排卵となる。脳がアンドロゲンに対して高い感受性を示す時期は「脳の性分化の臨界期」と呼ばれる<ref name="kondo" />。  
 アンドロゲンは脳の[[性分化]]にも重要なホルモンである。「アンドロゲンシャワー」と呼ばれる、周生期動物の[[wikipedia:ja:精巣|精巣]]から分泌される高濃度のアンドロゲン作用によって脳の雄性化と脱雌性化が起こり、脳の性分化の方向が決められる<ref name="kondo">近藤保彦、小川園子、菊水健史、山田一夫、富原一哉<br>脳とホルモンの行動学<br>西村書店:2010 </ref>。例えば、雄ラットの精巣を生後直後に摘出すると成熟後に雌特有の性行動を引き起こし、また出生一週間頃までの雌ラットにアンドロゲンを投与すると性成熟後も性周期は回帰せず無排卵となる。脳がアンドロゲンに対して高い感受性を示す時期は「脳の性分化の臨界期」と呼ばれる<ref name="kondo" />。  


 テストステロンは、攻撃行動に深く関わるホルモンである。多くの動物種では、雌に比べて雄の攻撃性が高いことが知られ、また、精巣を除去するとテストステロンの減少と共に攻撃行動は低下するが、テストステロンの投与により攻撃行動の回復が見られる。
 テストステロンは、攻撃行動に深く関わるホルモンである。多くの動物種では、雌に比べて雄の攻撃性が高いことが知られ、また、精巣を除去するとテストステロンの減少と共に攻撃行動は低下するが、テストステロンの投与により攻撃行動の回復が見られる。


 テストステロンの作用経路は3種類存在し、テストステロンのまま[[アンドロゲン受容体]]に結合して作用する経路に加え、5α-リダクターゼによりジヒドロテストステロンに代謝され[[アンドロゲン受容体]]に結合する経路、さらに[[アロマターゼ]]により[[エストラジオール]]に転換されてから[[エストロゲン受容体]]に結合して作用する経路が挙げられる。程度の差はあるが、これら3種類の作用経路はどれも攻撃行動に関与する。近年、ノックアウトマウスを用いた攻撃行動解析が行われ、アロマターゼのノックアウトマウスでは、エストラジオールへの転換が起こらず血中テストステロン量が増大しているが、攻撃行動は出現しないこと<ref><pubmed>11182758</pubmed></ref>、アンドロゲン受容体やエストロゲンα受容体のノックアウトマウスでは、精巣除去前もしくは精巣除去後にテストステロンを投与してもほとんど攻撃行動を示さないことが報告されている<ref><pubmed>14747651</pubmed></ref><ref><pubmed>9037078</pubmed></ref><ref><pubmed> 9832445</pubmed></ref>。<br>  
 テストステロンの作用経路は3種類存在し、テストステロンのまま[[アンドロゲン受容体]]に結合して作用する経路に加え、5α-リダクターゼによりジヒドロテストステロンに代謝され[[アンドロゲン受容体]]に結合する経路、さらに[[アロマターゼ]]により[[エストラジオール]]に転換されてから[[エストロゲン受容体]]に結合して作用する経路が挙げられる。程度の差はあるが、これら3種類の作用経路はどれも攻撃行動に関与する。近年、ノックアウトマウスを用いた攻撃行動解析が行われ、アロマターゼのノックアウトマウスでは、エストラジオールへの転換が起こらず血中テストステロン量が増大しているが、攻撃行動は出現しないこと<ref><pubmed>11182758</pubmed></ref>、アンドロゲン受容体やエストロゲンα受容体のノックアウトマウスでは、精巣除去前もしくは精巣除去後にテストステロンを投与してもほとんど攻撃行動を示さないことが報告されている<ref><pubmed>14747651</pubmed></ref><ref><pubmed>9037078</pubmed></ref><ref><pubmed> 9832445</pubmed></ref>。<br>


==== 卵巣ホルモン   ====
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