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<font size="+1">[https://researchmap.jp/nozomiasaoka 浅岡 希美]</font><br> | |||
''京都大学 大学院医学研究科 システム神経薬理学分野''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2023年4月25日 原稿完成日:2023年XX月X日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0048432 定藤 規弘](立命館大学 総合科学技術研究機構 )<br> | |||
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英:goal-directed behavior/goal-oriented behavior | |||
{{box|text= 報酬の獲得など、特定の目的を達成するための行動を目的指向行動と呼び、行動(response)とそれによりもたらされる結果(outcome)の二者間の連合学習により形成される。目的指向行動は目的達成を動機づけとした意識的な行動であり、置かれた状況が変化した場合でも柔軟に行動を変化させて対応することが可能である。目的指向行動の学習、遂行には意思決定や報酬予測に関連する脳領域が重要な働きを担っており、これらの脳領域が障害される神経・精神疾患においては目的指向行動の障害に起因する様々な行動異常が出現する。}} | {{box|text= 報酬の獲得など、特定の目的を達成するための行動を目的指向行動と呼び、行動(response)とそれによりもたらされる結果(outcome)の二者間の連合学習により形成される。目的指向行動は目的達成を動機づけとした意識的な行動であり、置かれた状況が変化した場合でも柔軟に行動を変化させて対応することが可能である。目的指向行動の学習、遂行には意思決定や報酬予測に関連する脳領域が重要な働きを担っており、これらの脳領域が障害される神経・精神疾患においては目的指向行動の障害に起因する様々な行動異常が出現する。}} | ||
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=== Three-Phase Instrumental Learning Task=== | === Three-Phase Instrumental Learning Task=== | ||
(日本語は?) | (日本語は?) | ||
[[ファイル:Asaoka 目的指向行動 Fig1.jpg|サムネイル|'''図1. Three-phase instrumental Learning Task''']] | |||
Three-Phase Instrumental Learning Task (Slips-of-Action test) とは、意図した行動とはうっかり違う行動をとってしまう、という[[実行機能]]のエラーを表し、習慣的な行動をとる際に出現しやすい。そこで、認知行動課題におけるSlips-of-Actionの発生を評価することで、被験者の意思決定が目的指向的/習慣的であるかどうかを相対的に評価する。この課題では、既に存在する行動の目的指向性評価ではなく、新たに学習した行動の目的指向性/習慣性の評価を行うものであり、被験者の意思決定特性(連合学習が行われる際にR-O連関、S-R連関のどちらが優位であるか)の評価として行われる。 | Three-Phase Instrumental Learning Task (Slips-of-Action test) とは、意図した行動とはうっかり違う行動をとってしまう、という[[実行機能]]のエラーを表し、習慣的な行動をとる際に出現しやすい。そこで、認知行動課題におけるSlips-of-Actionの発生を評価することで、被験者の意思決定が目的指向的/習慣的であるかどうかを相対的に評価する。この課題では、既に存在する行動の目的指向性評価ではなく、新たに学習した行動の目的指向性/習慣性の評価を行うものであり、被験者の意思決定特性(連合学習が行われる際にR-O連関、S-R連関のどちらが優位であるか)の評価として行われる。 | ||
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=== Two-Step Sequential Decision-Making Task === | === Two-Step Sequential Decision-Making Task === | ||
(日本語は?) | (日本語は?) | ||
[[ファイル:Asaoka 目的指向行動Fig2.jpg|サムネイル|'''図2.Two-Step Sequential Decision-Making Task''']] | |||
Slips-of-Action testと同様に主にヒトもしくは非ヒト霊長類の試験で用いられる課題であり、モニターに表示された画像に応じて手元のスイッチ(左右2つ)を押し分けることで報酬を獲得するという基本パラダイムは共通するが、こちらの課題では正解の選択があらかじめ明示されることはない。また、画像の提示や報酬の有無を含めたresponseは確率によって変動するなど、被験者に明確なルールが分からないように設計されている。このように正解の不確かな課題に対する行動戦略が心的モデルあり(model-based)かモデルなし(model-free)かを評価する <ref name=Daw2011><pubmed>21435563</pubmed></ref>。 | Slips-of-Action testと同様に主にヒトもしくは非ヒト霊長類の試験で用いられる課題であり、モニターに表示された画像に応じて手元のスイッチ(左右2つ)を押し分けることで報酬を獲得するという基本パラダイムは共通するが、こちらの課題では正解の選択があらかじめ明示されることはない。また、画像の提示や報酬の有無を含めたresponseは確率によって変動するなど、被験者に明確なルールが分からないように設計されている。このように正解の不確かな課題に対する行動戦略が心的モデルあり(model-based)かモデルなし(model-free)かを評価する <ref name=Daw2011><pubmed>21435563</pubmed></ref>。 | ||