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== 構造 == | == 構造 == | ||
哺乳類のArcタンパク質は約400個のアミノ酸からなる('''図1''')。酵素活性領域などの既知の機能ドメインを持たず、他のタンパク質との直接的あるいは非直接的な相互作用の場を提供する“Hubタンパク質”であることが提唱されている<ref name=Nikolaienko2018><pubmed>28890419</pubmed></ref> 。N末側にはArcタンパク質の多量体化や他のタンパク質との相互作用に関わるCoiled-Coil構造をもつ<ref name=Chowdhury2006><pubmed>17088211</pubmed></ref><ref name=Eriksen2021><pubmed>33175445</pubmed></ref> 。また、近年、結晶構造解析の結果から、Arcタンパク質のC末側(従来、スペクトリン相同領域と報告されていた領域付近)には、レトロウイルスHuman immunodeficiency virus (HIV)やレトロトランスポゾンTy3/gypsyのgagタンパク質の一部(カプシド部)と高い構造上の相同性があることが明らかになった<ref name=Pastuzyn2018><pubmed>29570995</pubmed></ref><ref name=Zhang2015><pubmed>25864631</pubmed></ref> 。 | |||
神経細胞で活動依存的に発現誘導されたArcタンパク質は細胞内で速やかにユビキチンプロテアソーム系により分解される<ref name=Mabb2014><pubmed>24945773</pubmed></ref> 。Arcタンパク質はユビキチン化以外にもSUMO化、リン酸化、パルミトイル化などの多様な翻訳後修飾を受けることが示されており、これらの修飾により細胞内局在や機能が調節されていると考えられるが詳細は不明である。 | 神経細胞で活動依存的に発現誘導されたArcタンパク質は細胞内で速やかにユビキチンプロテアソーム系により分解される<ref name=Mabb2014><pubmed>24945773</pubmed></ref> 。Arcタンパク質はユビキチン化以外にもSUMO化、リン酸化、パルミトイル化などの多様な翻訳後修飾を受けることが示されており、これらの修飾により細胞内局在や機能が調節されていると考えられるが詳細は不明である。 | ||
[[ファイル:Okuno Arc Fig2.png|サムネイル|'''図1. Arcタンパク質の構造と主な翻訳後修飾'''<br>Ub : ユビキチン化部位、SUMO : SUMO化、P : リン酸化部位]] | |||
== Arc遺伝子の起源とウイルス様性質 == | == Arc遺伝子の起源とウイルス様性質 == |