「セルフコントロール」の版間の差分

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 セルフコントロールの発達は、満足の遅延課題で検討される<ref><pubmed>2658056 </pubmed></ref>。この課題では、子どもは菓子などの報酬を与えられる。但し、実験者が所用でその場を離れなければならないため、実験者が子どもに対して、戻ってくるまでお菓子を食べないようにと教示する。この際に、子どもがその間待てるかどうかを研究する。このような実験では2歳児は20秒、3歳児でも1分程度しか待てないのに対して、4歳児は5分以上も待てるということが報告されており、幼児期に著しい発達が見られることが示されている<ref><pubmed>16144429  </pubmed></ref>。もっとも、2歳児でも、報酬を増やすためにはセルフコントロールができることもある。2-4歳児に、実験者がいない間に待つことができれば、報酬を2、4、8倍にすると告げると、3、4歳児は、すべての条件でより待つことができた。2歳児はこれらの条件では待つことができなかったが、報酬が40倍になる条件では待つことができる<ref><pubmed>    22153324 </pubmed></ref>。
 セルフコントロールの発達は、満足の遅延課題で検討される<ref><pubmed>2658056 </pubmed></ref>。この課題では、子どもは菓子などの報酬を与えられる。但し、実験者が所用でその場を離れなければならないため、実験者が子どもに対して、戻ってくるまでお菓子を食べないようにと教示する。この際に、子どもがその間待てるかどうかを研究する。このような実験では2歳児は20秒、3歳児でも1分程度しか待てないのに対して、4歳児は5分以上も待てるということが報告されており、幼児期に著しい発達が見られることが示されている<ref><pubmed>16144429  </pubmed></ref>。もっとも、2歳児でも、報酬を増やすためにはセルフコントロールができることもある。2-4歳児に、実験者がいない間に待つことができれば、報酬を2、4、8倍にすると告げると、3、4歳児は、すべての条件でより待つことができた。2歳児はこれらの条件では待つことができなかったが、報酬が40倍になる条件では待つことができる<ref><pubmed>    22153324 </pubmed></ref>。


 初期のセルフコントロールの能力は、その後の発達を長期的に予測する。例えば、4歳時点において満足の遅延実験で衝動的な行動を示した子どもは、青年期において問題行動を示す率が高く、情緒的にも不安定であったのに対し、4歳時点でセルフコントロールができた子どもは学業成績が良かったという。さらに、最初の実験から40年後に被験者24名に[[Go/Nogo課題]]を与えて、その課題の成績とfMRIを用いて脳活動を計測した研究がある。この課題では、被験者は悲しい顔に対してはボタンを押し(“Go”)、笑顔に対してはボタンを押さない(“[[Nogo]]”)ように教示された。その結果、4歳時点でセルフコントロールに長けていた被験者は、笑顔刺激に対しても行動を制御することができ、関連する脳領域である下前頭回の活動も強かった。一方、4歳時点で衝動的な行動を選択した被験者は、笑顔に対しても反応してしまい、[[下前頭回]]の活動も比較的弱く、さらに、報酬処理と関連する腹側線条体の活動も強かったという<ref><pubmed>21876169 </pubmed></ref>。  
 初期のセルフコントロールの能力は、その後の発達を長期的に予測する。例えば、4歳時点において満足の遅延実験で衝動的な行動を示した子どもは、青年期において問題行動を示す率が高く、情緒的にも不安定であったのに対し、4歳時点でセルフコントロールができた子どもは学業成績が良かったという。さらに、最初の実験から40年後に被験者24名に[[Go/Nogo課題]]を与えて、その課題の成績とfMRIを用いて脳活動を計測した研究がある。この課題では、被験者は悲しい顔に対してはボタンを押し(“Go”)、笑顔に対してはボタンを押さない(“Nogo”)ように教示された。その結果、4歳時点でセルフコントロールに長けていた被験者は、笑顔刺激に対しても行動を制御することができ、関連する脳領域である下前頭回の活動も強かった。一方、4歳時点で衝動的な行動を選択した被験者は、笑顔に対しても反応してしまい、[[下前頭回]]の活動も比較的弱く、さらに、報酬処理と関連する腹側線条体の活動も強かったという<ref><pubmed>21876169 </pubmed></ref>。


== ヒト以外の動物のセルフコントロール  ==
== ヒト以外の動物のセルフコントロール  ==

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