「分離脳」の版間の差分

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====左視野の呼称障害・失読 ====
====左視野の呼称障害・失読 ====
 スペリーらは脳梁離断術を受けた患者に瞬間露出器(タキストスコープ:現在は主にPCで代用される)を使用して、中心点を注視した状態で刺激を右視野のどちらか、あるいは左右で異なる刺激を同時に呈示した。100msecから300msecの範囲の瞬間呈示の場合、眼球運動による対側刺激の入力を避けることが可能である。脳梁離断患者では左視野に提示された物品が呼称できない。呼称できなくても左手で使用模倣などが可能な場合がある。また、左視野に提示された文字や単語を音読することができない。症例によっては音読できなかった動作命令を左手で実施できたという報告もある。左視野の言語刺激に関する症状は、後大脳動脈の分枝の閉塞による脳梁膨大部の損傷で生じる場合が多く、脳梁膨大部が視覚情報の伝達に関与している証拠とされている<ref name=Gilot1975 /><ref name= Gazzaniga1978>Gazzaniga, M, S., & LeDoux, J. E. (1978).<br> The Integrated mind. New York: Plenum Press. (柏原恵龍 他訳 二つの脳と一つの心 ―左右の半球と認知―.  ミネルヴァ書房 1980)</ref> [2][8]。
 スペリーらは脳梁離断術を受けた患者に瞬間露出器(タキストスコープ:現在は主にPCで代用される)を使用して、中心点を注視した状態で刺激を右視野のどちらか、あるいは左右で異なる刺激を同時に呈示した。100msecから300msecの範囲の瞬間呈示の場合、眼球運動による対側刺激の入力を避けることが可能である。脳梁離断患者では左視野に提示された物品が呼称できない。呼称できなくても左手で使用模倣などが可能な場合がある。また、左視野に提示された文字や単語を音読することができない。症例によっては音読できなかった動作命令を左手で実施できたという報告もある。左視野の言語刺激に関する症状は、後大脳動脈の分枝の閉塞による脳梁膨大部の損傷で生じる場合が多く、脳梁膨大部が視覚情報の伝達に関与している証拠とされている<ref name=Gilot1975 /><ref name= Gazzaniga1978 /> [2][8]。


==== 純粋失読 ====
==== 純粋失読 ====

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