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== 発現 == | == 発現 == | ||
細胞機能に重要なタンパク質であるため、ほぼすべての組織で発現が認められる。[[脳]]においても、[[脳下垂体]]や[[脳梁]]以外のすべての領域で発現が確認される。間期細胞内では主に核内に存在するが、細胞質にも存在している。GTP結合型は核内に、GDP結合型は細胞質に多いと考えられている。 | 細胞機能に重要なタンパク質であるため、ほぼすべての組織で発現が認められる。[[脳]]においても、[[脳下垂体]]や[[脳梁]]以外のすべての領域で発現が確認される。間期細胞内では主に核内に存在するが、細胞質にも存在している。GTP結合型は核内に、GDP結合型は細胞質に多いと考えられている。 | ||
[[ファイル:Yoshimura RAN Fig3.png|350px|サムネイル|'''図3. カリオフェリン依存的核輸送におけるRanの役割'''<br>'''A.''' | [[ファイル:Yoshimura RAN Fig3.png|350px|サムネイル|'''図3. カリオフェリン依存的核輸送におけるRanの役割'''<br>'''A.''' インポーチンによる核内輸送。<br>'''B.''' エクスポーチンによる核外輸送。[[Crm1]]はエクスポーチンの一つである。]] | ||
== 機能 == | == 機能 == | ||
最も重要な機能としては、細胞質-核質間のタンパク質輸送の制御があげられるが、他にも分裂期における紡錘体集合、微小管構築、核膜形成の制御などにも関与していることが知られている<ref name=Joseph2006 />。[[核膜孔複合体]]を介した核-細胞質間輸送では、[[カリオフェリン]]ファミリーのタンパク質(インポーチンやエクスポーチン)をはじめとする[[輸送担体]]が、輸送されるタンパク質(カーゴ)と結合して核膜孔の通過を助けている。Ranは、輸送単体とカーゴの結合と解離を制御している<ref name=Gorlich1999><pubmed>10611974</pubmed></ref><ref name=Weis2003><pubmed>12600309</pubmed></ref>。RanのGTP型とGDP型では細胞内局在に大きな違いが見られる。Ran-GEFである[[RCC1]]は[[クロマチン]]に結合しているため、間期核では核内のGTP型Ran濃度が細胞質に比べて高い。一方、細胞質ではRanGAPが局在しているため、GDP型が主要となる。このように、核膜を隔てたGTP型Ran-GDPの濃度勾配が、カリオフェリンを介した能動輸送の間接的なエネルギー源となっていると考えられる('''図3''')。 | 最も重要な機能としては、細胞質-核質間のタンパク質輸送の制御があげられるが、他にも分裂期における紡錘体集合、微小管構築、核膜形成の制御などにも関与していることが知られている<ref name=Joseph2006 />。[[核膜孔複合体]]を介した核-細胞質間輸送では、[[カリオフェリン]]ファミリーのタンパク質(インポーチンやエクスポーチン)をはじめとする[[輸送担体]]が、輸送されるタンパク質(カーゴ)と結合して核膜孔の通過を助けている。Ranは、輸送単体とカーゴの結合と解離を制御している<ref name=Gorlich1999><pubmed>10611974</pubmed></ref><ref name=Weis2003><pubmed>12600309</pubmed></ref>。RanのGTP型とGDP型では細胞内局在に大きな違いが見られる。Ran-GEFである[[RCC1]]は[[クロマチン]]に結合しているため、間期核では核内のGTP型Ran濃度が細胞質に比べて高い。一方、細胞質ではRanGAPが局在しているため、GDP型が主要となる。このように、核膜を隔てたGTP型Ran-GDPの濃度勾配が、カリオフェリンを介した能動輸送の間接的なエネルギー源となっていると考えられる('''図3''')。 |