「14-3-3タンパク質」の版間の差分

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== 構造 ==
== 構造 ==
=== 一次構造 ===
=== 一次構造 ===
 14-3-3は等電点 4.6~5.1、分子量約30kDaのサブユニットから構成される二量体分子である<ref name=Ichimura1988 /> [6]。14-3-3のサブユニットには複数の分子種(アイソフォーム)の存在が確認されており、それらの一次構造は生物種間において高度に(60%以上の一致性)保存されている(後述)。各アイソフォームのアミノ酸配列には、リーダー配列や膜貫通領域などの極端な疎水性領域は含まれていない。また結合糖鎖の存在も確認されていない。14-3-3はこれらのアイソフォームがホモ或いはヘテロに結合することで形成される可溶性タンパク質の集団である<ref name=Ichimura1988 /><ref name=Shinkai1996 /> [6][8]。
 14-3-3は[[等電点]] 4.6~5.1、分子量約30kDaのサブユニットから構成される二量体分子である<ref name=Ichimura1988 /> [6]。複数の分子種([[アイソフォーム]])の存在が確認されており、それらの一次構造は生物種間において高度に(60%以上の一致性)保存されている(後述)。各アイソフォームのアミノ酸配列には、リーダー配列や[[膜貫通領域]]などの極端な[[疎水性]]領域は含まれていない。また結合[[糖鎖]]の存在も確認されていない。14-3-3はこれらのアイソフォームがホモ或いはヘテロに結合することで形成される可溶性タンパク質の集団である<ref name=Ichimura1988 /><ref name=Shinkai1996 /> [6][8]。


=== 高次構造 ===
=== 高次構造 ===
 14-3-3を構成する各サブユニットは、9個のα-ヘリックスとそれらをつなぐ短いリンカーからなり、U字型の溝構造を作るためにダイマーを形成する<ref name=Xiao1995><pubmed>7603573</pubmed></ref><ref name=Liu1995><pubmed>7603574</pubmed></ref>[9][10](図1A)。片方のサブユニットの第1および第2ヘリックスと、他方のサブユニットの第3および第4ヘリックスは静電相互作用と疎水結合によって結合し、14-3-3のダイマー形成に関与している。一方、それぞれのサブユニットの第3、5、7、9ヘリックスは全体として屈曲し、U字型構造の内部に標的(リガンド)に対する結合部位を形成している(図1B)。14-3-3の各サブユニットはこのリガンド結合部位を介して、1サブユニットあたり1つのリガンドと、ダイマー分子あたり2個のリガンドを同時に結合できる。
 14-3-3を構成する各サブユニットは、9個の[[α-ヘリックス]]とそれらをつなぐ短いリンカーからなり、U字型の溝構造を作るためにダイマーを形成する<ref name=Xiao1995><pubmed>7603573</pubmed></ref><ref name=Liu1995><pubmed>7603574</pubmed></ref>[9][10]('''図1A''')。片方のサブユニットの第1および第2ヘリックスと、他方のサブユニットの第3および第4ヘリックスは[[静電相互作用]]と[[疎水結合]]によって結合し、14-3-3のダイマー形成に関与している。一方、それぞれのサブユニットの第3、5、7、9ヘリックスは全体として屈曲し、U字型構造の内部に標的(リガンド)に対する結合部位を形成している('''図1B''')。14-3-3の各サブユニットはこのリガンド結合部位を介して、1サブユニットあたり1つのリガンドと、ダイマー分子あたり2個のリガンドを同時に結合できる。


 上記したように14-3-3ファミリーのアミノ酸配列は生物種を超えて高度に保存されているが、U字構造内部の配列はとりわけ高く保存されている<ref name=Liu1995 /> [10](図1)。このU字構造とnonsense mediated mRNA decay factor (SMG7)タンパク質(ナンセンスmRNAの崩壊因子)のN末端領域が形成する構造は、立体的に相同であることが報告されている<ref name=Fukuhara2005><pubmed>15721257</pubmed></ref>[11]。
 上記したように14-3-3ファミリーのアミノ酸配列は生物種を超えて高度に保存されているが、U字構造内部の配列はとりわけ高く保存されている<ref name=Liu1995 /> [10]('''図1''')。このU字構造と[[nonsense mediated mRNA decay factor]] ([[SMG7]])タンパク質([[ナンセンスmRNA]]の崩壊因子)のN末端領域が形成する構造は、立体的に相同であることが報告されている<ref name=Fukuhara2005><pubmed>15721257</pubmed></ref>[11]。


== ファミリー ==
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