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==== 大麻 ==== | ==== 大麻 ==== | ||
特異的な薬物療法はなく、急性期の精神病症状は薬物治療なしで経過観察が基本であるが、強い[[恐怖感]]、[[発汗]]、[[動悸]]などの顕著な[[自律神経症状]]が認められる場合は、ジアゼパムなどの穏和精神安定薬を投与する。[[誇大妄想]]などの[[幻覚]]・[[妄想]]や[[躁性]]の興奮を伴うときはハロペリドールなどの抗精神病薬を投与する。精神病症状が遷延化する場合は抗精神病薬の少量長期(1年以上)投与が有効である。 | |||
==== ギャンブル ==== | ==== ギャンブル ==== | ||
ギャンブルなど、物質以外への依存については薬物療法が確立していない。海外では[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬]](selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI)の使用報告が多い。[[イミプラミン]]、[[リチウム]]、[[バルプロ酸]]などの併用も報告されている。 | |||
=== 心理社会的治療 === | === 心理社会的治療 === | ||
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==== 認知行動療法 ==== | ==== 認知行動療法 ==== | ||
行動・情緒・認知的な問題を治療の標的として、学習理論をはじめとする行動科学の諸理論や行動変容の諸技法を用いて、不適応な反応を軽減するとともに、適応的な反応を学習させていく治療法である。[[認知行動療法]]は依存性物質の種類を超えて有効性のエビデンスが最も多く提示されている<ref>'''森田展彰(著)、福居顯二(編)'''<br>VIII章 予防と治療 認知行動療法(脳とこころのプライマリケア(8)依存)<br>''株式会社シナジー''、2011</ref>。依存症に対する認知行動療法の主な手法は以下のとおりである。 | |||
#再発防止法<br> Marlattら<ref>'''GA Marlatt, JR Gordon'''<br>Relapse prevention: Maintenance Strategies in the Treatment of Addictive Behaviors. <br>''Guilford Press, London'', 1985</ref>がBanduraの社会的学習理論をもとに、物質依存者がいったん物質使用から離れた後に、再発する過程を防ぐことに焦点を当てた認知行動療法として開発した。薬物使用につながる認知行動パターンを「きっかけ・危険な状況→認知・対処スキル→行動→結果」という枠組みで明確化し、「行動」を変えるための方法を検討する技法である。 | #再発防止法<br> Marlattら<ref>'''GA Marlatt, JR Gordon'''<br>Relapse prevention: Maintenance Strategies in the Treatment of Addictive Behaviors. <br>''Guilford Press, London'', 1985</ref>がBanduraの社会的学習理論をもとに、物質依存者がいったん物質使用から離れた後に、再発する過程を防ぐことに焦点を当てた認知行動療法として開発した。薬物使用につながる認知行動パターンを「きっかけ・危険な状況→認知・対処スキル→行動→結果」という枠組みで明確化し、「行動」を変えるための方法を検討する技法である。 | ||
#認知療法<br> | #認知療法<br> [[うつ病]]などに用いられてきた認知療法モデルを依存症にあてはめて、非機能的な認知の同定と認知の修正を中心とする技法である<ref>'''AT Beck, FD Wright, CF Newman, BS Liese'''<br>Cognitive Therapy of Substance Abuse.<br>''Guilford Press, London'', 1993</ref>。 | ||
#動機づけ面接<br> 「底つき」(依存症に対して自分が無力で、自分の力ではどうにもならない状況となっ<br>ていることを認めている状態)を待たず、依存症者それぞれの動機づけのレベルに合わせ、共感的な対話を通じて動機を強化し、行動変容を促す技法である<ref>'''GJ Connors, DM Donovan, CC DiClemente'''<br>Substance Abuse Treatment and the Stages of Change: Selecting and Planning Interventions.<br>''Guilford Press, New York'', 2001</ref><ref>'''WR Miller, SP Rollnick'''<br>Motivational Interviewing. Preparing People for Change, 2nd ed<br>''Guilford Press, New York'', 2002</ref>。 | #動機づけ面接<br> 「底つき」(依存症に対して自分が無力で、自分の力ではどうにもならない状況となっ<br>ていることを認めている状態)を待たず、依存症者それぞれの動機づけのレベルに合わせ、共感的な対話を通じて動機を強化し、行動変容を促す技法である<ref>'''GJ Connors, DM Donovan, CC DiClemente'''<br>Substance Abuse Treatment and the Stages of Change: Selecting and Planning Interventions.<br>''Guilford Press, New York'', 2001</ref><ref>'''WR Miller, SP Rollnick'''<br>Motivational Interviewing. Preparing People for Change, 2nd ed<br>''Guilford Press, New York'', 2002</ref>。 | ||
#随伴性マネージメント<br> | #随伴性マネージメント<br>[[オペラント条件付け]](ある環境下における行動がもたらす結果に基づいて、行動が再強化され、維持されること)の手法を用いて、薬物を再使用すれば罰則を受けることおよび断薬や治療遵守ができていれば[[報酬]]を得られることを明確に示す枠づけをおこない、行動変容を促す方法である。 | ||
#コミュニティ再強化法<br> 随伴性マネージメントの方法を地域社会サービスに結び付けたもの。たとえば、報酬として家族や仲間との社会活動や娯楽活動、職探し訓練を提示する。 | #コミュニティ再強化法<br> 随伴性マネージメントの方法を地域社会サービスに結び付けたもの。たとえば、報酬として家族や仲間との社会活動や娯楽活動、職探し訓練を提示する。 | ||