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===オリゴデンドロサイトへの分化とその調節機構 === | ===オリゴデンドロサイトへの分化とその調節機構 === | ||
オリゴデンドロサイトの最終分化やミエリン形成は一般的に、神経回路形成が終わった後に始まる。この発生の最終段階には、神経活動が大きな影響を与えている。[[後根神経節]]のニューロンをモデルとした実験では、ニューロンの活動により軸索から[[wikipedia:JA: | オリゴデンドロサイトの最終分化やミエリン形成は一般的に、神経回路形成が終わった後に始まる。この発生の最終段階には、神経活動が大きな影響を与えている。[[後根神経節]]のニューロンをモデルとした実験では、ニューロンの活動により軸索から[[wikipedia:JA:アデノシン三リン酸|ATP]]が分泌され、これがアストロサイトに作用する。ATPで刺激を受けたアストロサイトから[[leukemia inhibitory factor]](LIF)が分泌され、これがOPCを刺激して成熟オリゴデンドロサイトとなりミエリン形成が始まる<ref name=ref38><pubmed>16543131</pubmed></ref>。また、軸索からはその活動依存的に[[グルタミン酸]]も放出される。オリゴデンドロサイトの[[wikipedia:JA:細胞膜|細胞膜]]の局所に作用し、[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Fyn]]依存性に[[ミエリン塩基性タンパク質]]の[[wikipedia:JA:翻訳_(生物学)|翻訳]]を上昇させ、ミエリン形成を促進する<ref name=ref39><pubmed>21817014</pubmed></ref>。 | ||
細胞内因子として注目されている分子として[[MAPキナーゼ]]の一つである[[extracellular-signal regulated kinase]](ERK)がある。脊髄背側部のOPCはFGFにより分化することから<ref name=ref27><pubmed>14660548</pubmed></ref>、[[受容体型チロシンキナーゼ]]の下流分子として注目されている面もある。このうちERK2を神経幹細胞特異的に欠損させると、OPCの増殖や生存には影響がない一方でGalC陽性オリゴデンドロサイトの出現が遅れることから、オリゴデンドロサイトの最終分化のタイミングを調節していると考えられている<ref name=ref40><pubmed>21248107</pubmed></ref>。 | 細胞内因子として注目されている分子として[[MAPキナーゼ]]の一つである[[extracellular-signal regulated kinase]](ERK)がある。脊髄背側部のOPCはFGFにより分化することから<ref name=ref27><pubmed>14660548</pubmed></ref>、[[受容体型チロシンキナーゼ]]の下流分子として注目されている面もある。このうちERK2を神経幹細胞特異的に欠損させると、OPCの増殖や生存には影響がない一方でGalC陽性オリゴデンドロサイトの出現が遅れることから、オリゴデンドロサイトの最終分化のタイミングを調節していると考えられている<ref name=ref40><pubmed>21248107</pubmed></ref>。 |