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P-type ATPaseは、カチオンから脂質にわたる広範な輸送基質を、よく保存されたATP加水分解機構によって能働輸送する膜タンパク質の一群である。初めて同定されたNa+,K+-ATPaseに続き、近縁のH+,K+-ATPase<ref name=Ganser1973><pubmed>4351147</pubmed></ref> やCa2+-ATPase<ref name=Bastide1973><pubmed>4357737</pubmed></ref> が次々と同定され、いまでは配列相同性や輸送基質の種類によってP1~P5までのサブタイプとして分類される大きなファミリーを形成している<ref name=Axelsen1998 | P-type ATPaseは、カチオンから脂質にわたる広範な輸送基質を、よく保存されたATP加水分解機構によって能働輸送する膜タンパク質の一群である。初めて同定されたNa+,K+-ATPaseに続き、近縁のH+,K+-ATPase<ref name=Ganser1973><pubmed>4351147</pubmed></ref> やCa2+-ATPase<ref name=Bastide1973><pubmed>4357737</pubmed></ref> が次々と同定され、いまでは配列相同性や輸送基質の種類によってP1~P5までのサブタイプとして分類される大きなファミリーを形成している<ref name=Axelsen1998></ref><ref name=Palmgren2023></ref>。この中でNa+,K+-ATPase はP2Cタイプに分類される。ヒトのNa+,K+-ATPaseはα-subunitについて4つ(α1 ~ α4、ATP1A1 ~ ATP1A4)、β-subunitでは3つ(1 ~ 3、ATP1B1 ~ ATP1B3)のアイソフォームが存在し、その組み合わせによって複合体に多様な機能をもたらしている。これに加え哺乳類では7つのFXYD(FXYD1 ~ FXYD7)が組織特異的に発現し、複合体の性質を適切に調節していると考えられている。α-subunitのアイソフォームは高い相同性を持ち、α1 ~ α3の間では約87%、α4では少し低い78%のアミノ酸が同一である。それぞれのアイソフォームは異なる反応速度論的な性質を有し、例えばα1はK+に対する親和性が比較的高く、一方でα3はNa+に対する親和性が低い。これに加え、-subunitやFXYDが発現部位や機能を調節することで、細胞はその機能に適したNa+,K+-ATPase 複合体を利用している<ref name=Clausen2017><pubmed>28634454</pubmed></ref>。 | ||
== 発現と生理機能 == | == 発現と生理機能 == | ||