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==== プリオン様伝播 ==== | ==== プリオン様伝播 ==== | ||
2003年ドイツの神経病理学者[[w:Heiko Braak|Braak]]は、パーキンソン病患者脳内においてαシヌクレイン/Lewy病理は病初期に[[延髄]][[迷走神経]][[背側核]]に出現し、その後[[中脳]]から[[大脳辺縁系]]・[[新皮質]]へ拡大するという病変進展モデル([[Braak仮説]])を発表した<ref name=Braak2003><pubmed>12498954</pubmed></ref> 。さらに、胎児黒質組織片移植後を受けたパーキンソン病剖検脳において、ドナーである胎児由来の神経細胞内にαシヌクレイン陽性のLewy小体様封入体が確認されたという事実が報告され<ref name=Kordower2008><pubmed>18391962</pubmed></ref> 、αシヌクレインが細胞間を伝播して病変を拡大させる可能性が示された。伝播現象は感染性タンパク粒子である[[プリオン]]と類似性があることからプリオン様伝播とも表現される<ref name=Hasegawa2017><pubmed>28539529</pubmed></ref> 。疫学および病理学的検討から、αシヌクレイン病理は消化管粘膜や心臓交感神経など末梢神経系に出現し、一定の年月を経て中枢神経系に移行する可能性が指摘されている<ref name= | 2003年ドイツの神経病理学者[[w:Heiko Braak|Braak]]は、パーキンソン病患者脳内においてαシヌクレイン/Lewy病理は病初期に[[延髄]][[迷走神経]][[背側核]]に出現し、その後[[中脳]]から[[大脳辺縁系]]・[[新皮質]]へ拡大するという病変進展モデル([[Braak仮説]])を発表した<ref name=Braak2003><pubmed>12498954</pubmed></ref> 。さらに、胎児黒質組織片移植後を受けたパーキンソン病剖検脳において、ドナーである胎児由来の神経細胞内にαシヌクレイン陽性のLewy小体様封入体が確認されたという事実が報告され<ref name=Kordower2008><pubmed>18391962</pubmed></ref> 、αシヌクレインが細胞間を伝播して病変を拡大させる可能性が示された。伝播現象は感染性タンパク粒子である[[プリオン]]と類似性があることからプリオン様伝播とも表現される<ref name=Hasegawa2017><pubmed>28539529</pubmed></ref> 。疫学および病理学的検討から、αシヌクレイン病理は消化管粘膜や心臓交感神経など末梢神経系に出現し、一定の年月を経て中枢神経系に移行する可能性が指摘されている<ref name=VanDenBerge2019><pubmed>31254094</pubmed></ref><ref name=Borghammer2019><pubmed>31498132</pubmed></ref> 。細胞間を伝播するαシヌクレインは、[[ワクチン]]・[[抗体療法]]などの治療標的としても注目されている<ref name=Castonguay2020><pubmed>33104039</pubmed></ref> 。 | ||
== 関連語 == | == 関連語 == | ||