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細 (→アクチビン受容体) |
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== アクチビン受容体 == | == アクチビン受容体 == | ||
アクチビンを含めたTGF-βファミリーの受容体は、1回膜貫通型で細胞内にセリン/ | アクチビンを含めたTGF-βファミリーの受容体は、1回膜貫通型で細胞内にセリン/スレオニンキナーゼの構造を有する('''図4''')。I型受容体とII型受容体が存在する。アクチビンは、II型受容体の細胞外領域に結合する。II型受容体は恒常的にリン酸化されている。I型受容体は単独ではアクチビンへの結合は示さないが、アクチビン/II型受容体の複合体に会合する。アクチビンが結合すると、受容体各々の二量体が会合したヘテロ四量体として機能している。II型受容体としては、ActRIIA(ACVR2A)が発現クローニングの手法でTGF-βファミリーの受容体として最初に同定された。その後、ActRIIB(ACVR2B)が発見された <ref name=Mathews1991><pubmed>1646080</pubmed></ref> <ref name=Attisano1992><pubmed>1310075</pubmed></ref><ref name=Tsuchida2008><pubmed>17878607</pubmed></ref>。ACVR2AとACVR2Bの両者はアクチビンのII型受容体として働く。I型受容体は、ALK(activin-receptor like kinase)と総称され、ALK1~7まで存在する。アクチビンのI型受容体は、主にALK4(ActRIB, ACVRIB)であり、アクチビンA, ABのシグナルを伝達する。アクチビンBに関しては、その生理活性がアクチビンAより弱いことが知られていたが、II型受容体への結合が弱いためと考えられている。そして、I型受容体として主としてALK7(ACVR1C、ActRIC)を活性化する <ref name=Bernard2006><pubmed>17040568</pubmed></ref><ref name=Tsuchida2004><pubmed>15196700</pubmed></ref>(Table 1)。ALK7(ACVR1C)は神経系と脂肪組織での発現が高く、アクチビンB以外に、GDF3 (growth differentiation factor 3), GDF1, nodalの受容体としても働く <ref name=Reissmann2001><pubmed>11485994</pubmed></ref> <ref name=Bertolino2008><pubmed>18480258</pubmed></ref>。GDF3, GDF1, Nodalの場合はEGF-CFCファミリーに属するcriptoまたはcrypticが補助因子として受容体の活性化に寄与する。 | ||
アクチビンがII型受容体の細胞外領域と結合しI型受容体と複合体を形成すると、I型受容体の細胞内領域にあるグリシン/セリンに富んだGS領域がII型受容体によりリン酸化を受ける。アクチビンの細胞内シグナルは、受容体の下流ではTGF-β型のSmadであるSmad2/3をリン酸化し、Smad4と共に核移行し様々な転写活性因子と相互作用し転写を調節している('''図5''')。フィードバックにより、抑制型SmadであるSmad6/7で阻害される。アクチビンのI型受容体(ACVR1BとACVR1C)はTGF-βのI型受容体であるALK5と構造及び機能面で類似しており、細胞内シグナルもTGF-βと共通点が多い <ref name=Tsuchida2008><pubmed>17878607</pubmed></ref>。 | |||
アクチビン受容体にはスプライシングの違いによるアイソフォームが存在する。ActRIIA(ACVR2A)には、神経系特異的なActRIIA-Nが知られている <ref name=Shoji1998><pubmed>9610356</pubmed></ref>。ActRIIB(ACVR2B)にも4種のスプライシングバリアントが報告されている <ref name=Attisano1992><pubmed>1310075</pubmed></ref>。ActRIB (ACVRIB)には下垂体腺腫特異的バリアントが存在する。カルボキシル末端欠損型が見られ、優性阻害体として作用する <ref name=Alexander1996><pubmed>8636304</pubmed></ref>。ActRIC(ACVR1C)にもバリアントが知られている <ref name=Roberts2003><pubmed>12606401</pubmed></ref>。 | アクチビン受容体にはスプライシングの違いによるアイソフォームが存在する。ActRIIA(ACVR2A)には、神経系特異的なActRIIA-Nが知られている <ref name=Shoji1998><pubmed>9610356</pubmed></ref>。ActRIIB(ACVR2B)にも4種のスプライシングバリアントが報告されている <ref name=Attisano1992><pubmed>1310075</pubmed></ref>。ActRIB (ACVRIB)には下垂体腺腫特異的バリアントが存在する。カルボキシル末端欠損型が見られ、優性阻害体として作用する <ref name=Alexander1996><pubmed>8636304</pubmed></ref>。ActRIC(ACVR1C)にもバリアントが知られている <ref name=Roberts2003><pubmed>12606401</pubmed></ref>。 | ||
細胞外では、アクチビンの結合タンパク質としてフォリスタチンが知られている。フォリスタチンは、細胞外でアクチビンと2:1(フォリスタチン2分子にアクチビン1分子)で結合しその機能を阻害する。 | 細胞外では、アクチビンの結合タンパク質としてフォリスタチンが知られている。フォリスタチンは、細胞外でアクチビンと2:1(フォリスタチン2分子にアクチビン1分子)で結合しその機能を阻害する。 | ||
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|+表2. アクチビンの受容体の構成 | |||
! リガンド !! タイプII受容体 !! タイプI受容体 !! コ・レセプター !! Smad | |||
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| アクチビン A || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1B, (ACVR1C) || || Smad 2,3 with Smad4 | |||
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| アクチビン B || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1C, ACVR1B || - || | |||
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| アクチビン AB || ACVR2A, ACVR2B || ACVR1B, (ACVR1C) || - || | |||
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| インヒビン A || ACVR2A, ACVR2B || - || Betaglycan || | |||
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| インヒビン B || ACVR2A, ACVR2B || - || TGFBR3L || | |||
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== 発現 == | == 発現 == | ||