「成長円錐」の版間の差分

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成長円錐には小胞体やmRNA、リボソーム、翻訳制御因子等タンパク質の翻訳合成に必要な分子機構が備わっており、成長円錐において実際にタンパク質合成が起きていることは古くから知られていた。近年、このタンパク質の局所翻訳が軸索ガイダンス因子が誘導する成長円錐の旋回運動に関与することが報告されている。  
成長円錐には小胞体やmRNA、リボソーム、翻訳制御因子等タンパク質の翻訳合成に必要な分子機構が備わっており、成長円錐において実際にタンパク質合成が起きていることは古くから知られていた。近年、このタンパク質の局所翻訳が軸索ガイダンス因子が誘導する成長円錐の旋回運動に関与することが報告されている。  


Holtのグループは、細胞体から切り離した軸索の成長円錐のネトリン-1に応答するがタンパク質合成阻害剤により消失することを報告した。このことは成長円錐の旋回運動には成長円錐における局所タンパク質合成が必要であることを示している。その後、BDNF、Sema3A、Slit2など、他の軸索ガイダンス因子ついても成長円錐の旋回運動の誘導に局所タンパク質合成が必要であることが報告されている。
Holtのグループは、細胞体から切り離した軸索の成長円錐のネトリン-1に応答するがタンパク質合成阻害剤により消失することを報告した。このことは成長円錐の旋回運動には成長円錐における局所タンパク質合成が必要であることを示している。その後、BDNF、Sema3A、Slit2など、他の軸索ガイダンス因子ついても成長円錐の旋回運動の誘導に局所タンパク質合成が必要であることが報告されている。  


ネトリン-1による軸索誘引では、受容体であるDCCがネトリン-1非存在下ではリボソームと結合し、タンパク質合成を阻害しているが、ネトリン-1依存的にリボソームがDCCから解離することでタンパク質合成が起きるというモデルが提唱されている。また、BDNFでは受容体TrkBの下流でチロシンキナーゼであるSrcがRNA結合タンパク質であるZBP1をリン酸化しβ-アクチンmRNAの構造変化を誘導して翻訳を促進すると考えられている。
軸索ガイダンス因子による局所翻訳の制御機構は不明な点も多いが、少しずつ知見が得られている。例えば、ネトリン-1による軸索誘引では、ネトリン-1非存在下では受容体であるDCCとリボソームが結合しタンパク質合成を阻害しているが、ネトリン-1のDCCへの結合によりリボソームがDCCから解離することでタンパク質合成が起きることが報告されている。また、BDNFの誘引シグナルでは受容体TrkBの下流でチロシンキナーゼであるSrcがRNA結合タンパク質であるZBP1をリン酸化し、β-アクチンmRNAの構造変化を誘導して翻訳を促進すると考えられている。 また、旋回運動を誘導するカルシウムシグナルに応じて空間的に非対称なβ-アクチンmRNAの翻訳が誘発されることも報告されており、カルシウムシグナルの下流でタンパク質の翻訳合成を制御する機構の存在も予測されている。


これまでに、βアクチン、RhoA、
一方、成長円錐においてユビキチン-プロテアソーム系によるタンパク質分解システムも機能しており、これも旋回運動に関与する。
 
 


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