「受容野」の版間の差分

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===ガボール関数による単純型細胞の受容野構造近似と画像表現===
===ガボール関数による単純型細胞の受容野構造近似と画像表現===
単純型細胞の古典的受容野は、図4に示すガウス関数(緑)とサイン波(青)の積であるガボール関数(赤、図4の式参照)でよく近似できることが知られている。ガボール関数のパラメーターを変えることで、サイズ(σx, σy)、方位(θ)、空間周波数(fx, fy)、そして位相(φ)の異なる様々な構造を表すことができる。
 単純型細胞の古典的受容野は、図4に示すガウス関数(緑)とサイン波(青)の積であるガボール関数(赤、図4の式参照)でよく近似できることが知られている。ガボール関数のパラメーターを変えることで、サイズ(σx, σy)、方位(θ)、空間周波数(fx, fy)、そして位相(φ)の異なる様々な構造を表すことができる。
 様々な形のガボール型受容野構造が視野の各位置に一セット揃っており、その結果、画像情報は、網膜視細胞での画素表現から、V1野の単純型細胞のレベルでは、ガボール関数のセットを基底成分とする表現へと変換されて伝達されることになる。この表現には画像情報を効率的に伝達する上でいくつかの望ましい特性がある。第一に、分解された画像成分は高次視覚野へと伝達されて利用されるので、初期の段階では画像情報は失われないようにする必要があるが、ガボール関数を用いた分解表現ではそれが十分実現されていることが示されている。さらに、ガボール関数により、自然画像はスパースコーディングという非常に効率のよい方式で伝達できることも知られており、視覚系が自然界の膨大な画像情報を少ないエネルギーで伝送できる鍵になっていると考えられている。
 様々な形のガボール型受容野構造が視野の各位置に一セット揃っており、その結果、画像情報は、網膜視細胞での画素表現から、V1野の単純型細胞のレベルでは、ガボール関数のセットを基底成分とする表現へと変換されて伝達されることになる。この表現には画像情報を効率的に伝達する上でいくつかの望ましい特性がある。第一に、分解された画像成分は高次視覚野へと伝達されて利用されるので、初期の段階では画像情報は失われないようにする必要があるが、ガボール関数を用いた分解表現ではそれが十分実現されていることが示されている。さらに、ガボール関数により、自然画像はスパースコーディングという非常に効率のよい方式で伝達できることも知られており、視覚系が自然界の膨大な画像情報を少ないエネルギーで伝送できる鍵になっていると考えられている。


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 非古典的受容野は網膜の段階ですでに存在しており、視覚経路のほとんど全ての段階でみられるが、ここでは最も多くの研究が行われてきたV1野の非古典的受容野について述べる。V1野ではこの構造は周辺領域と呼ばれることも多いが、これは網膜細胞の周辺領域とは全く異なるので注意が必要である。V1野でこの領域は古典的受容野の周囲に一様に広がるのではなく、ある程度の局在化がみられ、最適方位の延長上に広がるもの、最適方位と直交する軸方向に広がるもののほか、斜め方向に位置するものもある。多くは抑制性の影響を及ばすが興奮性の影響も報告されている。また非古典的受容野の抑制には特徴選択性があり、古典的受容野の最適な方位、空間周波数にたいして最も抑制が強くなる。これらの構造は、古典的受容野に最適な縞模様の境界部分を検出するのに適しており、テクスチャー分析に役立っているものと考えられている。とくに、古典的受容野と周辺領域が同じ向きに伸びているものが報告されており、このような構造は異なるテクスチャーのエッジ部分の検出に好都合である。これ以外にも非古典的受容野は、視野に配置された複数刺激の中で1つだけ異なる刺激にたいして細胞が強く応答するポップアップと呼ばれる特性の基盤、あるいは線分の長さや折れ線や曲線の角度や極率を検出するための初期機構としても注目されている。
 非古典的受容野は網膜の段階ですでに存在しており、視覚経路のほとんど全ての段階でみられるが、ここでは最も多くの研究が行われてきたV1野の非古典的受容野について述べる。V1野ではこの構造は周辺領域と呼ばれることも多いが、これは網膜細胞の周辺領域とは全く異なるので注意が必要である。V1野でこの領域は古典的受容野の周囲に一様に広がるのではなく、ある程度の局在化がみられ、最適方位の延長上に広がるもの、最適方位と直交する軸方向に広がるもののほか、斜め方向に位置するものもある。多くは抑制性の影響を及ばすが興奮性の影響も報告されている。また非古典的受容野の抑制には特徴選択性があり、古典的受容野の最適な方位、空間周波数にたいして最も抑制が強くなる。これらの構造は、古典的受容野に最適な縞模様の境界部分を検出するのに適しており、テクスチャー分析に役立っているものと考えられている。とくに、古典的受容野と周辺領域が同じ向きに伸びているものが報告されており、このような構造は異なるテクスチャーのエッジ部分の検出に好都合である。これ以外にも非古典的受容野は、視野に配置された複数刺激の中で1つだけ異なる刺激にたいして細胞が強く応答するポップアップと呼ばれる特性の基盤、あるいは線分の長さや折れ線や曲線の角度や極率を検出するための初期機構としても注目されている。


高次視覚野における受容野構造
===高次視覚野における受容野構造===


 霊長類視覚系には30以上もの領域があり、これらの領野はV1野、V2野を経て側頭連合野へと至る腹側経路と頭頂連合野へと至る背側経路の2つの経路として構成されている。多くの領野では受容野構造の詳細はわかっていないが、細胞が伝達する視覚特徴については、適切な刺激セットを用いて細胞の応答に適切な刺激を同定するという方法で数多くの知見が得られている。これに基づき、腹側経路は物体の色、テクスチャーや形の分析に、背側経路は空間情報の伝達に関与していると考えられている。
 霊長類視覚系には30以上もの領域があり、これらの領野はV1野、V2野を経て側頭連合野へと至る腹側経路と頭頂連合野へと至る背側経路の2つの経路として構成されている。多くの領野では受容野構造の詳細はわかっていないが、細胞が伝達する視覚特徴については、適切な刺激セットを用いて細胞の応答に適切な刺激を同定するという方法で数多くの知見が得られている。これに基づき、腹側経路は物体の色、テクスチャーや形の分析に、背側経路は空間情報の伝達に関与していると考えられている。
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