「ERMタンパク質」の版間の差分

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== 発現==
== 発現==
===その他の組織===
 Ezrinは、胃の壁細胞の管腔側膜や、小腸、大腸の刷子縁膜で高発現しており、腎臓の近位尿細管の刷子縁膜や糸球体、肺や気管支などの呼吸上皮にも発現する<ref name=Bretscher1983 /><ref name=Hanzel1991><pubmed>1831124</pubmed></ref><ref name=Yoshida2016><pubmed>27108882</pubmed></ref><ref name=Hugo1998><pubmed>9853258</pubmed></ref><ref name=Hatano2013><pubmed>22895514</pubmed></ref><ref name=Laoukili2001><pubmed>11748265</pubmed></ref>[1][20][21][22][23][24]。Radixinは、肝臓の管腔側膜で高発現しており、腎臓の糸球体にも発現が見られる<ref name=Tsukita1989 /><ref name=Hugo1996><pubmed>8647942</pubmed></ref>[3][25]。Moesinは、血管内皮細胞、リンパ球、T細胞、B細胞やマスト細胞などで高発現するほか、肺や脾臓、腎臓のヘンレループの太い上行脚および糸球体内皮細胞にも発現が見られる<ref name=Berryman1993><pubmed>8227193</pubmed></ref><ref name=Schwartz1995><pubmed>7588875</pubmed></ref><ref name=Hirata2012><pubmed>22875842</pubmed></ref><ref name=Kawaguchi2018><pubmed>29541861</pubmed></ref>[26][27][28][29]。ERMタンパク質は微絨毛や糸状仮足における皮質アクチン線維と結合することで、これらの構造を維持し、細胞内において極性をもって分布する。特に、上皮細胞の頂端部に局在することで、後述する膜タンパク質の局在制御やRho-GTPaseの活性調節を行うほか、シグナル伝達関連タンパク質の制御をはじめとする生理機能を実現する。
=== 神経系 ===
=== 神経系 ===
 ERMタンパク質は脳、神経系組織にも発現するが、どのERMタンパク質が発現するかは細胞種や発生段階によって異なる。このような、部位や発生過程における発現の違いが、各ERMタンパク質の生体内での役割の違いに繋がると考えられる。
 ERMタンパク質は脳、神経系組織にも発現するが、どのERMタンパク質が発現するかは細胞種や発生段階によって異なる。このような、部位や発生過程における発現の違いが、各ERMタンパク質の生体内での役割の違いに繋がると考えられる。
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 成体脳とは異なり、培養海馬錐体ニューロンには、Ezrin、Radixin、Moesinが発現する。後述するようにRadixinおよびMoesinは、成長円錐の形成や伸長に関わる<ref name=Paglini1998><pubmed>9786954</pubmed></ref> [38]。
 成体脳とは異なり、培養海馬錐体ニューロンには、Ezrin、Radixin、Moesinが発現する。後述するようにRadixinおよびMoesinは、成長円錐の形成や伸長に関わる<ref name=Paglini1998><pubmed>9786954</pubmed></ref> [38]。
===その他の組織===
 Ezrinは、胃の壁細胞の管腔側膜や、小腸、大腸の刷子縁膜で高発現しており、腎臓の近位尿細管の刷子縁膜や糸球体、肺や気管支などの呼吸上皮にも発現する<ref name=Bretscher1983 /><ref name=Hanzel1991><pubmed>1831124</pubmed></ref><ref name=Yoshida2016><pubmed>27108882</pubmed></ref><ref name=Hugo1998><pubmed>9853258</pubmed></ref><ref name=Hatano2013><pubmed>22895514</pubmed></ref><ref name=Laoukili2001><pubmed>11748265</pubmed></ref>[1][20][21][22][23][24]。Radixinは、肝臓の管腔側膜で高発現しており、腎臓の糸球体にも発現が見られる<ref name=Tsukita1989 /><ref name=Hugo1996><pubmed>8647942</pubmed></ref>[3][25]。Moesinは、血管内皮細胞、リンパ球、T細胞、B細胞やマスト細胞などで高発現するほか、肺や脾臓、腎臓のヘンレループの太い上行脚および糸球体内皮細胞にも発現が見られる<ref name=Berryman1993><pubmed>8227193</pubmed></ref><ref name=Schwartz1995><pubmed>7588875</pubmed></ref><ref name=Hirata2012><pubmed>22875842</pubmed></ref><ref name=Kawaguchi2018><pubmed>29541861</pubmed></ref>[26][27][28][29]。ERMタンパク質は微絨毛や糸状仮足における皮質アクチン線維と結合することで、これらの構造を維持し、細胞内において極性をもって分布する。特に、上皮細胞の頂端部に局在することで、後述する膜タンパク質の局在制御やRho-GTPaseの活性調節を行うほか、シグナル伝達関連タンパク質の制御をはじめとする生理機能を実現する。


== 分子機能 ==
== 分子機能 ==

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