「Chromosome 9 open reading frame 72」の版間の差分

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=== リピートRNA毒性 ===
=== リピートRNA毒性 ===
 異常伸長したリピート配列は両方向性に転写され、GGGGCCリピートおよびその逆鎖であるCCCCGGリピートを含むリピートRNAが産生される。これらのリピートRNAはRNA結合タンパク質(RBP: RNA-binding protein)と異常な相互作用を獲得して、RBPの生理的な分布や機能を撹乱し得る。特に、リピートRNAは異常な高次構造を形成してRNA fociと呼ばれるRNA凝集体を形成し、種々のRBPと共凝集することが示されている<ref name=DeJesusHernandez2011><pubmed>21944778</pubmed></ref>[3]<ref name=Haeusler2014><pubmed>24598541</pubmed></ref>[36]。例えば、GGGGCCリピートRNAが形成するRNA fociは、hnRNPH, hnRNPF, hnRNPA1, ALYREF, SRSF2, nucleolinといった多数のRBPと共局在し<ref name=Haeusler2014><pubmed>24598541</pubmed></ref>[36]<ref name=Conlon2016>Conlon E.G., Lu L., Sharma A., Yamazaki T., Tang T., Shneider N.A., Manley J.L. (2016). eLife, 5:e17820. https://doi.org/10.7554/eLife.17820.030</ref>[37]<ref name=Lee2013><pubmed>24290757</pubmed></ref>[38]<ref name=CooperKnock2014><pubmed>24866055</pubmed></ref>[39]hnRNPHのRNA fociへの共凝集は標的mRNAのスプライシング異常を来すことが報告されている<ref name=Conlon2016 />[37]。
 異常伸長したリピート配列は両方向性に転写され、GGGGCCリピートおよびその逆鎖であるCCCCGGリピートを含むリピートRNAが産生される。これらのリピートRNAはRNA結合タンパク質(RBP: RNA-binding protein)と異常な相互作用を獲得して、RBPの生理的な分布や機能を撹乱し得る。特に、リピートRNAは異常な高次構造を形成してRNA fociと呼ばれるRNA凝集体を形成し、種々のRBPと共凝集することが示されている<ref name=DeJesusHernandez2011><pubmed>21944778</pubmed></ref>[3]<ref name=Haeusler2014><pubmed>24598541</pubmed></ref>[36]。例えば、GGGGCCリピートRNAが形成するRNA fociは、hnRNPH, hnRNPF, hnRNPA1, ALYREF, SRSF2, nucleolinといった多数のRBPと共局在し<ref name=Haeusler2014><pubmed>24598541</pubmed></ref>[36]<ref name=Conlon2016><pubmed>27623008</pubmed></ref>[37]<ref name=Lee2013><pubmed>24290757</pubmed></ref>[38]<ref name=CooperKnock2014><pubmed>24866055</pubmed></ref>[39]hnRNPHのRNA fociへの共凝集は標的mRNAのスプライシング異常を来すことが報告されている<ref name=Conlon2016 />[37]。


[[ファイル:Nagai C9orf72 Fig3.jpg|サムネイル|'''図3. RAN翻訳'''<br>'''(A)''' RAN翻訳は、C9orf72連鎖性ALS/FTDなど、遺伝子の非翻訳領域内のリピート伸長変異を原因とするノンコーディングリピート病の病態に関与する非古典的な翻訳機構である。リピートRNAを鋳型として、AUGコドン非依存的に翻訳が開始し、異常なリピートペプチドを産生する。翻訳は全ての読み枠で進行する。<br>'''(B)''' C9orf72連鎖性ALS/FTD においては、GGGGCCおよびCCCCGGリピートRNAを鋳型として、RAN翻訳によって合計5種類のDPRが産生される。]]
[[ファイル:Nagai C9orf72 Fig3.jpg|サムネイル|'''図3. RAN翻訳'''<br>'''(A)''' RAN翻訳は、C9orf72連鎖性ALS/FTDなど、遺伝子の非翻訳領域内のリピート伸長変異を原因とするノンコーディングリピート病の病態に関与する非古典的な翻訳機構である。リピートRNAを鋳型として、AUGコドン非依存的に翻訳が開始し、異常なリピートペプチドを産生する。翻訳は全ての読み枠で進行する。<br>'''(B)''' C9orf72連鎖性ALS/FTD においては、GGGGCCおよびCCCCGGリピートRNAを鋳型として、RAN翻訳によって合計5種類のDPRが産生される。]]

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