「中心体」の版間の差分

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210 バイト追加 、 2012年4月17日 (火)
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=== 神経幹細胞の非対称分裂  ===
=== 神経幹細胞の非対称分裂  ===


[[大脳皮質]]の神経幹細胞は発生初期においては対称分裂により自らと同じ性質をもつ娘細胞を二つ産生し神経幹細胞の数を増大させる。その後、神経幹細胞は'''非対称分裂'''により一つの神経細胞と一つの神経幹細胞を産生し、神経幹細胞の数を維持しながら神経細胞を産生していく。中心体は細胞分裂に必要であるのに加えて非対称分裂の制御にも関与していると考えられている。Cdk5rap2などの中心体関連蛋白質を欠失させると神経幹細胞が維持できなくなり、大脳皮質の神経細胞数が著しく減少する('''小頭症''')。また、非対称分裂の際には”より古い”方の中心小体が神経幹細胞側の娘細胞に継承され、subdistal appendageに局在するNineinが神経幹細胞の維持に必要であることが報告されている。
[[大脳皮質]]の神経幹細胞は発生初期においては対称分裂により自らと同じ性質をもつ娘細胞を二つ産生し神経幹細胞の数を増大させる。その後、神経幹細胞は'''非対称分裂'''により一つの神経細胞と一つの神経幹細胞を産生し、神経幹細胞の数を維持しながら神経細胞を産生していく。中心体は細胞分裂に必要であるのに加えて非対称分裂の制御にも関与していると考えられている。Cdk5rap2などの中心体関連蛋白質を欠失させると神経幹細胞が維持できなくなり、大脳皮質の神経細胞数が著しく減少する('''小頭症''')。また、非対称分裂の際には”より古い”方の中心小体が神経幹細胞側の娘細胞に継承され、subdistal appendageに局在するNineinが神経幹細胞の維持に必要であることが報告されている<ref><pubmed>21632253</pubmed></ref>。


=== 神経細胞移動  ===
=== 神経細胞移動  ===
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== 中心体関連蛋白質と神経疾患  ==
== 中心体関連蛋白質と神経疾患  ==


これまで脳の形成不全を伴う神経疾患の原因遺伝子として多くの中心体関連分子が同定されている。小頭症ではその原因遺伝子として7つの中心体関連遺伝子(MCPH1~7)が同定されている。小頭症では大脳皮質の神経細胞数が著しく減少していることから、細胞分裂または対称・非対称分裂の制御に異常があることが示唆される。ただし、中心体関連蛋白質の多くはDNA損傷修復機構にも関与しており、DNA損傷に伴う細胞死が関与している可能性もある。一方、小頭症では皮質の層構造には異常が見られないことから神経細胞移動の関与は少ないと考えられる。'''Ⅰ型滑脳症'''では神経細胞移動の障害に伴う層構造の異常が見られる。Ⅰ型滑脳症の原因遺伝子としてLis1、Doublecortinなど微小管関連分子が同定されているがこれらの分子もまた中心体に局在することが報告されている。
これまで脳の形成不全を伴う神経疾患の原因遺伝子として多くの中心体関連分子が同定されている。小頭症ではその原因遺伝子として7つの中心体関連遺伝子(MCPH1~7)が同定されている。小頭症では大脳皮質の神経細胞数が著しく減少していることから、細胞分裂または対称・非対称分裂の制御に異常があることが示唆される。ただし、中心体関連蛋白質の多くはDNA損傷応答にも関与しており、DNA損傷に伴う細胞死が関与している可能性もある。一方、小頭症では皮質の層構造には異常が見られないことから神経細胞移動の関与は少ないと考えられる。'''Ⅰ型滑脳症'''では神経細胞移動の障害に起因する皮質の層構造異常が見られる。Ⅰ型滑脳症の原因遺伝子としてLis1、Doublecortinなど微小管関連分子が同定されているがこれらの分子もまた中心体に局在することが報告されている。
 
==関連項目==
 
・[[微小管]]
・[[大脳皮質の発生]]
・[[神経幹細胞]]
・[[細胞増殖]]
・[[神経細胞移動]]
 
==参考文献==
 
<references />
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回編集

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