「グルココルチコイド」の版間の差分

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===  HPA axisの調節 ===  
===  HPA axisの調節 ===  


 海馬はグルココルチコイドホルモンに対して脳内で最も感受性の高い部位であり、GR、MRともに豊富に存在すること、また同一細胞において両者が共存すること、などが報告されている。こうしたことからグルココルチコイドにより[[wikipedia:JA:ネガテイブフィードバック|ネガテイブフィードバック]]を受けるHPA axisの調節に海馬が関与することが示されている。一般的には、海馬がHPA axisを抑制的に作用する<ref name=ref13><pubmed>2070776</pubmed></ref>のに対し、扁桃体が促進作用を示すことが知られている<ref name=ref14><pubmed>8782536</pubmed></ref>。種々のストレス条件下における海馬の傷害によりコルチゾールの分泌が上昇する。さらに、グルココルチコイドの海馬への直接投与実験によっても、従来の海馬によるHPAaxisのフィードバック制御と同等な効果がみられることが示されている。また海馬と同様に、分界条床核や視索前野を経由して視床下部へ至る線維連絡をもつ[[wikipedia:JA:内側前頭前皮質|内側前頭前皮質]](帯状回)もHPAaxisの制御に重要な役割を果たすことがわかってきた<ref name=ref15><pubmed>19120092</pubmed></ref>。
 海馬はグルココルチコイドホルモンに対して脳内で最も感受性の高い部位であり、GR、MRともに豊富に存在すること、また同一細胞において両者が共存すること、などが報告されている。こうしたことからグルココルチコイドにより[[wikipedia:JA:ネガテイブフィードバック|ネガテイブフィードバック]]を受けるHPA axisの調節に海馬が関与することが示されている。一般的には、海馬がHPA axisを抑制的に作用する<ref name=ref13><pubmed>2070776</pubmed></ref>のに対し、扁桃体が促進作用を示すことが知られている<ref name=ref14><pubmed>8782536</pubmed></ref>。種々のストレス条件下における海馬の傷害によりコルチゾールの分泌が上昇する。さらに、グルココルチコイドの海馬への直接投与実験によっても、従来の海馬によるHPAaxisのフィードバック制御と同等な効果がみられることが示されている。また海馬と同様に、分界条床核や視索前野を経由して視床下部へ至る線維連絡をもつ[[内側前頭前皮質]]([[帯状回]])もHPAaxisの制御に重要な役割を果たすことがわかってきた<ref name=ref15><pubmed>19120092</pubmed></ref>。


 HPAaxisの活性化には海馬や前頭前皮質のGRあるいはMRの減少が起因することが報告されている。海馬のMRは平常時のACTHやグルココルチコイドレベルの維持に、また前頭前皮質のGRはACTHの分泌に、それぞれ関与するとされているが、海馬のGRとMRの発現レベルとHPAaxis活性との関連が、海馬に対するグルココルチコイドのフィードバックを意味するものか、あるいはHPAaxisが神経系によるストレス応答に適合するように働くグルココルチコイドの調節作用を示すのかは未だ明確ではない。しかしながら、CRHや[[バソプレッシン]]などの視床下部からの出力系を制御する神経活動に対するステロイドの調節に関して、海馬が主として働いている事実は、HPAaxisの制御に海馬が中心的な役割を果たしていることを裏付ける重要な根拠である。
 HPAaxisの活性化には海馬や前頭前皮質のGRあるいはMRの減少が起因することが報告されている。海馬のMRは平常時のACTHやグルココルチコイドレベルの維持に、また前頭前皮質のGRはACTHの分泌に、それぞれ関与するとされているが、海馬のGRとMRの発現レベルとHPAaxis活性との関連が、海馬に対するグルココルチコイドのフィードバックを意味するものか、あるいはHPAaxisが神経系によるストレス応答に適合するように働くグルココルチコイドの調節作用を示すのかは未だ明確ではない。しかしながら、CRHや[[バソプレッシン]]などの視床下部からの出力系を制御する神経活動に対するステロイドの調節に関して、海馬が主として働いている事実は、HPAaxisの制御に海馬が中心的な役割を果たしていることを裏付ける重要な根拠である。

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