「心的回転」の版間の差分

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ShepardとMetzlerの研究以降,ランダムな2次元図形<ref>'''L A Cooper'''<br>Mental rotation of random two-dimensional shapes.<br>''Cognitive psychology'':1975, 7(1), 20-43</ref>,英数字<ref>'''L A Cooper, R N Shepard'''<br>The time required to prepare for a rotated stimulus.<br>''Mem Cognit'':1973, 3, 246-250</ref>を刺激とした正像・鏡映像の識別課題や,様々な方位で呈示された手が左手か右手かを判断する課題<ref><pubmed>1141835</pubmed></ref>でも正立姿勢からの回転角度に対して反応時間が線形に増加することが分かっている.  
ShepardとMetzlerの研究以降,ランダムな2次元図形<ref>'''L A Cooper'''<br>Mental rotation of random two-dimensional shapes.<br>''Cognitive psychology'':1975, 7(1), 20-43</ref>,英数字<ref>'''L A Cooper, R N Shepard'''<br>The time required to prepare for a rotated stimulus.<br>''Mem Cognit'':1973, 3, 246-250</ref>を刺激とした正像・鏡映像の識別課題や,様々な方位で呈示された手が左手か右手かを判断する課題<ref><pubmed>1141835</pubmed></ref>でも正立姿勢からの回転角度に対して反応時間が線形に増加することが分かっている.  


しかし,例えば正立像とは異なる方位の英数字を見せ,その英数字が何であるか同定させるような場合は正立像との回転角度差に対して反応時間が増加しない<ref><pubmed>661562</pubmed></ref>ことから,英数字のような比較的単純なパターンの同定は正立姿勢からの回転に対しては不変に行われると考えられる.また,高野<ref>'''高野陽太郎'''<br>傾いた図形の謎<br>''東京大学出版会(東京)'':1987</ref>は回転角度に伴う反応時間の増加が見られる条件と反応時間が増加しない条件について検討を行い,刺激ペアが方位によらず識別可能な特徴で見分けられる場合は心的回転が行われないという「情報タイプ理論」を提案している.  
しかし,例えば正立像とは異なる方位の英数字を見せ,その英数字が何であるか同定させるような場合は正立像との回転角度差に対して反応時間が増加しない<ref><pubmed>661562</pubmed></ref>ことから,英数字のような比較的単純なパターンの同定は正立像からの回転に対しては不変に行われると考えられる.また,高野<ref>'''高野陽太郎'''<br>傾いた図形の謎<br>''東京大学出版会(東京)'':1987</ref>は回転角度に伴う反応時間の増加が見られる条件と反応時間が増加しない条件について検討を行い,刺激ペアが方位によらず識別可能な特徴で見分けられる場合は心的回転が行われないという「情報タイプ理論」を提案している.  


また,心的回転において刺激全体のイメージが回転されているのではなく,単に刺激の一部を比較しているのに過ぎないとする批判もある(例えば,<ref>'''M A Just, P A Carpenter'''<br>Eye fixations and cognitive processes.<br>''Cognitive psychology'':1976, 8(4), 441-480</ref><ref><pubmed>431403</pubmed></ref>).JustとCarpenterは心的回転中の実験協力者の眼球運動を調べた.その結果,刺激ペアの回転角度差が大きくなるにつれて二つの刺激図形の対応する場所を比較する眼球運動が増えたことから,方位差によって刺激図形の間の対応点を同定する困難さが増したことが反応時間の増加に繋がったとしている.  
また,心的回転において刺激全体のイメージが回転されているのではなく,単に刺激の一部を比較しているのに過ぎないとする批判もある(例えば,<ref>'''M A Just, P A Carpenter'''<br>Eye fixations and cognitive processes.<br>''Cognitive psychology'':1976, 8(4), 441-480</ref><ref><pubmed>431403</pubmed></ref>).JustとCarpenterは心的回転中の実験協力者の眼球運動を調べた.その結果,刺激ペアの回転角度差が大きくなるにつれて二つの刺激図形の対応する場所を比較する眼球運動が増えたことから,方位差によって刺激図形の間の対応点を同定する困難さが増したことが反応時間の増加に繋がったとしている.  
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