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オートファジーの細胞内品質管理における役割と、栄養(アミノ酸)供給システムとしての役割が、[[wikipedia:JA:がん|がん]]においては相反する作用を発揮する<ref><pubmed> 20056400 </pubmed></ref>。一部のオートファジー不全マウスでは、がんの発症率や腫瘍形成能が増加することから、がん初期段階では、オートファジーはがん抑制的に機能している。オートファジーを介した異常タンパク質や異常ミトコンドリアの分解により、酸化ストレスの減少、慢性[[wikipedia:JA:炎症|炎症]]の抑制、および二次的ながん発症を抑制していると考えられている。一方で、抗がん剤投与時にオートファジー阻害剤を同時投与すると、がん抑制効果が増強される。がん細胞が増殖する段階においては、栄養が枯渇した条件下における生存をオートファジーが促していると考えられている。 | オートファジーの細胞内品質管理における役割と、栄養(アミノ酸)供給システムとしての役割が、[[wikipedia:JA:がん|がん]]においては相反する作用を発揮する<ref><pubmed> 20056400 </pubmed></ref>。一部のオートファジー不全マウスでは、がんの発症率や腫瘍形成能が増加することから、がん初期段階では、オートファジーはがん抑制的に機能している。オートファジーを介した異常タンパク質や異常ミトコンドリアの分解により、酸化ストレスの減少、慢性[[wikipedia:JA:炎症|炎症]]の抑制、および二次的ながん発症を抑制していると考えられている。一方で、抗がん剤投与時にオートファジー阻害剤を同時投与すると、がん抑制効果が増強される。がん細胞が増殖する段階においては、栄養が枯渇した条件下における生存をオートファジーが促していると考えられている。 | ||
=== クローン病とAtg16L1 | === クローン病とAtg16L1=== | ||
炎症性腸疾患[[wikipedia:JA:クローン病|クローン病]]に関連する遺伝子変異として、Atg16L1 | 炎症性腸疾患[[wikipedia:JA:クローン病|クローン病]]に関連する遺伝子変異として、Atg16L1 T300Aの一塩基多型(SNPs)が報告されている<ref name="ref11" />。遺伝子欠損マウスを用いた解析から、Atg16L1が腸管における炎症反応や腸管上皮細胞の成熟に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。しかしながら、T300AがAtg16L1の機能にどのような影響を及ぼすのか、オートファジー不全がクローン病の病態形成の一因なのか、まだ不明な点が多い。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |