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Toshikiiwabuchi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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===単語認知に関するモデル=== | ===単語認知に関するモデル=== | ||
ことばを見聞きしたとき、われわれは苦も無く語彙情報にアクセスして意味を理解する。こうした単語認知研究の初期における重要なモデルとして、Mortonのロゴジェン・モデル(logogen | ことばを見聞きしたとき、われわれは苦も無く語彙情報にアクセスして意味を理解する。こうした単語認知研究の初期における重要なモデルとして、Mortonのロゴジェン・モデル(logogen model)<ref> '''J Morton''' Interaction of information in word recognition ''Psychol Rev'':1983, 76();165-178 </ref>がある。このモデルではメンタル・レキシコンの構成ユニットはロゴジェンと呼ばれ、個々の単語に対応する。ロゴジェンは感覚入力(たとえば単語の視覚刺激)に対して応答するが、この応答値がある閾値を超えたときにのみ「対応する単語が認識された」ものとする。さらに、ロゴジェンは単語の使用頻度や文脈の効果を受け、それによって閾値が低下するという特徴を持つ。以上がロゴジェン・モデルの概要である。このモデルは出現頻度効果や文脈効果による語彙アクセスへの影響をある程度定量的に説明することができる。 | ||
ロゴジェン・モデルに続く重要な単語認知モデルとしては、相互作用活性化(interactive activation: IA)モデルが挙げられる。IAモデルは特徴レベル・文字レベル・単語レベルの3つの階層から成る[[ニューラルネットワーク・モデル]]である。ロゴジェン・モデルとは異なり、IAモデルには上述した3つのレベルごとに構成ユニットが存在する。たとえば垂直な線分に対応する特徴ユニット、“A”の文字ユニット、“CAT”の単語ユニットなどがそれぞれの層を構成するのである。特徴ユニットは、対応する特徴を含む文字ユニットに対しては興奮性の、そうでない文字ユニットには抑制性の結合を持つ。文字ユニットと単語ユニットは相互に結合しており、前者の文字が後者の単語に含まれる場合(例.“T”と“TIME”)には両者の結合は興奮性、そうでない場合には抑制性である。また単語レベルのユニット間には強い相互抑制が存在する。IAモデルではこれらの結合を通じてレベル内およびレベル間の相互作用が生じる。単語の視覚入力を最初に受けるのは特徴ユニットであるが、レベル間の結合があるためにその後の処理は各階層で並列的に進行する。またIAモデルの構成ユニットは閾値を持たないが、入力と合う特定の単語ユニットが最も強く活動することで単語認知が実現される。IAモデルもロゴジェン・モデルと同様、頻度や文脈による単語認知の促進効果を再現することが可能である。さらに高次(単語レベル)から低次(文字レベル)へのフィードバックを組み込むことで、先述した単語優位効果も説明できるようになっている。 | ロゴジェン・モデルに続く重要な単語認知モデルとしては、相互作用活性化(interactive activation: IA)モデルが挙げられる。IAモデルは特徴レベル・文字レベル・単語レベルの3つの階層から成る[[ニューラルネットワーク・モデル]]である。ロゴジェン・モデルとは異なり、IAモデルには上述した3つのレベルごとに構成ユニットが存在する。たとえば垂直な線分に対応する特徴ユニット、“A”の文字ユニット、“CAT”の単語ユニットなどがそれぞれの層を構成するのである。特徴ユニットは、対応する特徴を含む文字ユニットに対しては興奮性の、そうでない文字ユニットには抑制性の結合を持つ。文字ユニットと単語ユニットは相互に結合しており、前者の文字が後者の単語に含まれる場合(例.“T”と“TIME”)には両者の結合は興奮性、そうでない場合には抑制性である。また単語レベルのユニット間には強い相互抑制が存在する。IAモデルではこれらの結合を通じてレベル内およびレベル間の相互作用が生じる。単語の視覚入力を最初に受けるのは特徴ユニットであるが、レベル間の結合があるためにその後の処理は各階層で並列的に進行する。またIAモデルの構成ユニットは閾値を持たないが、入力と合う特定の単語ユニットが最も強く活動することで単語認知が実現される。IAモデルもロゴジェン・モデルと同様、頻度や文脈による単語認知の促進効果を再現することが可能である。さらに高次(単語レベル)から低次(文字レベル)へのフィードバックを組み込むことで、先述した単語優位効果も説明できるようになっている。 |
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