「ケージド試薬」の版間の差分

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'''ケージドカルシウム<br>'''カルシウムイオンは保護基と共有結合できないため、高親和性のカルシウムキレート剤(BAPTA、EDTA、EGTA)に保護基が結合したケージド試薬が合成されている。保護基が結合した状態はカルシウムイオンに高親和性を持つが、保護基の解離によってキレート剤内の共有結合がはずれ低親和性(Kd = 5-300 nM)となり、カルシウムイオンを放出する。しかし解離したキレーターは低親和性ながらも結合能(Kd = 0.006-3 mM)を有すること、光解離しなかったケージドカルシウムは放出されたカルシウムイオンと速やかに結合するため、カルシウムイオン濃度の時空間制御法には、注意を払う必要がある<ref name="ref1" />。一方で全視野照射によって細胞全体にステップ状の活性上昇を与えることも可能であるため、通常では計測困難な、例えばカルシウムチャネル直下で起こる一過的なカルシウム濃度上昇による細胞内現象を、細胞全体の均一な濃度上昇によって誘導することが可能であり、カルシウム蛍光指示薬と併用することでカルシウム濃度上昇の定量計測が可能である。この方法は特に分泌現象の解明に役立っている<ref><pubmed> 10092049 </pubmed></ref>。2光子励起可能なケージドカルシウム、NDBF-EGTA (0.6 GM)やazid-1 (1 .4 GM)も報告されている<ref name="ref1" />。  
'''ケージドカルシウム<br>'''カルシウムイオンは保護基と共有結合できないため、高親和性のカルシウムキレート剤(BAPTA、EDTA、EGTA)に保護基が結合したケージド試薬が合成されている。保護基が結合した状態はカルシウムイオンに高親和性を持つが、保護基の解離によってキレート剤内の共有結合がはずれ低親和性(Kd = 5-300 nM)となり、カルシウムイオンを放出する。しかし解離したキレーターは低親和性ながらも結合能(Kd = 0.006-3 mM)を有すること、光解離しなかったケージドカルシウムは放出されたカルシウムイオンと速やかに結合するため、カルシウムイオン濃度の時空間制御法には、注意を払う必要がある<ref name="ref1" />。一方で全視野照射によって細胞全体にステップ状の活性上昇を与えることも可能であるため、通常では計測困難な、例えばカルシウムチャネル直下で起こる一過的なカルシウム濃度上昇による細胞内現象を、細胞全体の均一な濃度上昇によって誘導することが可能であり、カルシウム蛍光指示薬と併用することでカルシウム濃度上昇の定量計測が可能である。この方法は特に分泌現象の解明に役立っており<ref><pubmed> 10092049 </pubmed></ref>、またプルキンエ細胞の樹状突起においては、長期抑圧の誘導に必要な細胞内カルシウム濃度上昇の時空間パターンが詳細に明らかにされている<ref><pubmed> 17553426 </pubmed></ref>。2光子励起可能なケージドカルシウム、NDBF-EGTA (0.6 GM)やazid-1 (1 .4 GM)も報告されている<ref name="ref1" />。  


'''ケージドペプチド・ケージドタンパク質<br>'''G-アクチンが最初にケージド化されたタンパク質であり<ref><pubmed> 8049211 </pubmed></ref>、コフィリンなどもケージド化されてそれを瞬時に光照射することでその機能が明らかにされている<ref><pubmed> 15118165 </pubmed></ref>。市販の試薬を使うことでケージド化することも可能である。  
'''ケージドペプチド・ケージドタンパク質<br>'''G-アクチンが最初にケージド化されたタンパク質であり<ref><pubmed> 8049211 </pubmed></ref>、コフィリンなどもケージド化されてそれを瞬時に光照射することでその機能が明らかにされている<ref><pubmed> 15118165 </pubmed></ref>。市販の試薬を使うことでケージド化することも可能である。  
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