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Shank遺伝子の異常<br>自閉症のごく一部の患者でShank2ならびに3の変異が報告されている.また、シナプスの形成に関与し、Shankにも結合するシナプス接着分子であるニューロリギンのうちNLGN3およびNLGN4の変異も自閉症に関与することが報告されており、シナプス形成の異常が発症の原因となっていることが示唆されている.また、脆弱X症候群など、シナプスの形成不全が背景にある疾患で、自閉症の症状を伴うものもある5).<br>Shank1のノックアウトマウスでは、樹状突起棘やシナプス後肥厚がやや小さくなり、シナプス伝達効率が低下していた .また、Shankに結合するGKAPやHomerの樹状突起棘やシナプス後肥厚に対する局在が減少していた.行動面では、不安に関連した行動がよく見られ、文脈的恐怖条件付け試験の成績は良くなかった反面、海馬長期増強現象(LTP)と空間学習の成績は野生型より向上していた.こういった研究結果を解釈する際には、Shankには3つのサブタイプがあるので、単独のノックアウトや変異の場合、他のサブタイプによる補完が行われる可能性があることを念頭に置く必要がある.<br>
Shank遺伝子の異常<br>自閉症のごく一部の患者でShank2ならびに3の変異が報告されている.また、シナプスの形成に関与し、Shankにも結合するシナプス接着分子であるニューロリギンのうちNLGN3およびNLGN4の変異も自閉症に関与することが報告されており、シナプス形成の異常が発症の原因となっていることが示唆されている.また、脆弱X症候群など、シナプスの形成不全が背景にある疾患で、自閉症の症状を伴うものもある5).<br>Shank1のノックアウトマウスでは、樹状突起棘やシナプス後肥厚がやや小さくなり、シナプス伝達効率が低下していた .また、Shankに結合するGKAPやHomerの樹状突起棘やシナプス後肥厚に対する局在が減少していた.行動面では、不安に関連した行動がよく見られ、文脈的恐怖条件付け試験の成績は良くなかった反面、海馬長期増強現象(LTP)と空間学習の成績は野生型より向上していた.こういった研究結果を解釈する際には、Shankには3つのサブタイプがあるので、単独のノックアウトや変異の場合、他のサブタイプによる補完が行われる可能性があることを念頭に置く必要がある.<br>
SHANK1 (SH3 and multiple ankyrin repeat domains protein); SPANK-1; SSTRIP (Somatostatin receptor-interacting protein); synamon, proline-rich synapse-associated protein, GKAP/SAPAP-interacting protein
SHANK2; AUTS17; CORTBP1; CTTNBP1; ProSAP1; SHANK; SPANK-3 Cortactin-binding protein 1
Short name=CortBP1
Proline-rich synapse-associated protein 1
Shank1
Shankの複雑なドメイン構造を反映して、多数の結合タンパク質が知られている。
DLGAP1/GKAP 10488079, 10433268 PDZ domain – C term
Phospholipse beta 3 15632121 PDZ domain – C term
G protein-coupled alpha-latrotoxin receptor CL1 10958799  PDZ domain – C term
somatostatin receptor subtype 2  10551867 PDZ domain – C term
Na+/H+ exchanger 3 16293618 PDZ domain – C term
cystic fibrosis transmembrane conductance regulator 14679199  PDZ domain – C term
Cortactin 10433268, 9742101 Proline-rich – SH3.
Multimerization of SAM 10433268
Homer 10433269 Proline-rich – EVH1
Spectrin-alpha 11509555 Ankyrin repeats
Sharpin 11178875 Ankyrin repeats
IRSp53 12504591  Proline-rich – SH3
GluR delta 2 15207857 C-term-PDZ
Dynamin 2 11583995. Proline-rich – Proline-rich
Abp1 15014124 Proline-rich – SH3
ProSAPiP1 16522626  PDZ domain – C term
GluA1 16606358  PDZ domain – C term
mGluR1,5 10433269 PDZ domain – C term
βPIX  12626503 PDZ domain – C term
dendrite arborization and synapse maturation 1 (Dasm1) 15340156 PDZ domain – C term
神経細胞に発現することで、スパイン形成を誘導し、また、スパインサイズを大きくする。結合タンパク質Homerとの共発現でこの作用はさらに顕著になる。
このようなスパイン形成における機能は、Shank自身がSAMドメインを介してポリマーを形成すること、また、Homerとの相互作用によりポリマーを形成することで、構造的な役割を担うことで説明できる。
自閉症との関連
自閉症との関連については、Shank3が最初に報告されたが、17173049、その後、Shank2 20531469, Shank1 22503632についても報告されている。Phelan–McDermid 症候群は染色体22q13部位の欠失によるもので、Shank3 の異常が原因の一つと考えられている。また、Shank3のノックアウトマウスは社会的相互作用の欠如や過剰な毛繕いなど自閉症様の表現型を呈する21423165。また、自閉症患者にみられるShank3のC末の欠失変異体は、優性にShank3のプロテアーゼ分解を促進して、シナプスの形成を阻害する21565394。
ドメイン構造
アミノ端から順に、最も長いもので、アンキリンリピート6個、SH3ドメイン、PDZドメイン、プロリンリッチ配列、SAMドメインからなる。選択的スプライシングにより、アンキリンリピートを欠くもの、アンキリンリピートとSH3ドメインを欠くもの、SAMドメインを欠くものがつくられる。
このうち、アンキリンリピートとSH3ドメインは互いに相互作用する。また、PDZ ドメインはダイマーを形成する。そして、SAMドメインは一周6サブユニットの螺旋状ポリマーを形成する。
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