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Hiromasamorishita (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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脳組織ホモジネートを用いて、興奮性アミノ酸であるグルタミン酸と抑制性アミノ酸であるGABAを測定した例を述べる。 | 脳組織ホモジネートを用いて、興奮性アミノ酸であるグルタミン酸と抑制性アミノ酸であるGABAを測定した例を述べる。 | ||
図2- | 図2-Bに示したHPLCの構成で、グラジエント法を用いて分析した。移動相は2種類あり、移動相Aの組成は、100 mM リン酸緩衝液(pH5.6)、移動相Bの組成は100%アセトニトリルでステップワイズに濃度を変え、25分間で1分析を行った(グラジエントの条件:0 min→1 min 15%, 1 min→4.5 min 16%, 4.5 min→8 min 21%, 8 min→11 min 24%, 11 min→13.5 min 31%, 13.5 min→16.5 min 35%, 16.5 min→25 min 15%)。 | ||
蛍光誘導化試薬は、OPA試薬7.5 mgをメタノール300 μLで溶解した後、2メルカプトエタノールを7.5μLを加え、さらにミリQ水1200 μLを加えた。100 mMホウ酸緩衝液(pH 10.0)は、Na4B4O7・10H2O 1. | 蛍光誘導化試薬は、OPA試薬7.5 mgをメタノール300 μLで溶解した後、2メルカプトエタノールを7.5μLを加え、さらにミリQ水1200 μLを加えた。100 mMホウ酸緩衝液(pH 10.0)は、Na4B4O7・10H2O 1.905 gをミリQ水50 mLに溶解し調製した。 | ||
試料の前処理として、摘出した脳組織にすみやかに5〜10倍量の0.2 M PCA( | 試料の前処理として、摘出した脳組織にすみやかに5〜10倍量の0.2 M PCA(100 μM EDTA・2Na含有)を加え、超音波で30秒間ホモジナイズした。次に、除タンパクを完全にするため氷中で30分間放置した後、4℃で10,000 rpm × 15分間遠心し、上清を採取した。上清は20倍に希釈し、15 μLを HPLCサンプルとした。サンプルは、オートサンプラー内にてOPA試薬と反応し、HPLCで分析した。すなわち蛍光誘導化のため反応型のオートサンプラーのサンプルラックを12℃に冷却、蛍光誘導化試薬15 μL、サンプル15 μL、100 mM ホウ酸緩衝液(pH 10.0)20 μLを加え30℃で2分間インキュベートし、誘導体化されたサンプル35μLをHPLCにインジェクションした。 | ||
分析例として、図2に0.5~ | 分析例として、図2に0.5~20 pmol/μLのスタンダード(C)と脳組織をホモジネートしたサンプル(D)を分析したクロマトグラフを示した。定量限界は、0.5 pmol/μLであった。このクロマト条件においては、脳内のグルタミン酸と GABAの濃度は充分な測定感度範囲に入り、その他の生体アミノ酸(アスパラギン酸、セリン、アスパラギン、アルギニン、グリシン、アラニン、タウリン)も同時一斉分析を行うことが可能である。 | ||
====測定例2 (スイッチングバルブ法)==== | ====測定例2 (スイッチングバルブ法)==== | ||
図3-Aに示したHPLCの構成で、アイソクラティック法を用いて脳組織のホモジネートを分析した。移動相は2種類あり、移動相Aにクエン酸−リン酸緩衝液 pH5.8, 12%アセトニトリル、移動相Bにクエン酸−リン酸緩衝液 pH6.2, 25%アセトニトリルを用い15分間で1分析を行った。スイッチングバルブは、インジェクションから1分30秒で切り替わり、12分後に元の流路に戻るセッティングをした。 | 図3-Aに示したHPLCの構成で、アイソクラティック法を用いて脳組織のホモジネートを分析した。移動相は2種類あり、移動相Aにクエン酸−リン酸緩衝液 pH5.8, 12%アセトニトリル、移動相Bにクエン酸−リン酸緩衝液 pH6.2, 25%アセトニトリルを用い15分間で1分析を行った。スイッチングバルブは、インジェクションから1分30秒で切り替わり、12分後に元の流路に戻るセッティングをした。 | ||
蛍光誘導化試薬は、OPA試薬5 mgをメタノール200 μLで溶解した後、2メルカプトエタノール5 μL、0.1M Na2CO3溶液800 μL加え、調製した。 | |||
試料の前処理は、測定例(1)と同様に行い、上清を1200倍に希釈して15μLをHPLCサンプルにした。 | 試料の前処理は、測定例(1)と同様に行い、上清を1200倍に希釈して15μLをHPLCサンプルにした。 | ||
蛍光誘導化のため、オートサンプラーのサンプルラックを12℃に冷却、蛍光誘導化試薬15μL、サンプル15 μLを加え30℃で2分間インキュベートし、誘導体化されたサンプル10 μLをインジェクションした。 | |||
===神経伝達モノアミンとその代謝物、およびアセチルコリンの分析(電気化学検出法)=== | ===神経伝達モノアミンとその代謝物、およびアセチルコリンの分析(電気化学検出法)=== | ||
====電気化学検出の原理==== | ====電気化学検出の原理==== | ||
酸化還元活性を有する物質を高感度に検出する方法である。一定の電位を印加した電極上で物質が酸化又は還元された時に流れる電流を検出する。電流量は濃度に比例する為、定量分析が可能である。検出器には、電流測定検出器 (Amperometric detector) と電量検出器(Coulometric detector) の2種類があり、一般的にHPLCにおいては電流測定検出器を用いることが多い。これは、電量検出器に比べて電解効率が大幅に低いものの、良いシグナルノイズ比・感度が得られるためである。検出セルは作用電極、参照電極、対極電極からなり、作用電極は測定対象に応じてグラッシーカーボン、グラファイト、白金などを使用する。 | 酸化還元活性を有する物質を高感度に検出する方法である。一定の電位を印加した電極上で物質が酸化又は還元された時に流れる電流を検出する。電流量は濃度に比例する為、定量分析が可能である。検出器には、電流測定検出器 (Amperometric detector) と電量検出器(Coulometric detector) の2種類があり、一般的にHPLCにおいては電流測定検出器を用いることが多い。これは、電量検出器に比べて電解効率が大幅に低いものの、良いシグナルノイズ比・感度が得られるためである。検出セルは作用電極、参照電極、対極電極からなり、作用電極は測定対象に応じてグラッシーカーボン、グラファイト、白金などを使用する。 | ||
電気化学検出は1950年代にKemuraによって最初にクロマトグラフィーの検出法として用いられ、1960年代後半から1970年代前半にかけてAdamsらによりカテコールアミンおよびアスコルビン酸の分析に応用された。それからさらなる改良が重ねられ、現在神経伝達物質およびその代謝物の定量方法として、一般的な技術となっている。 | 電気化学検出は1950年代にKemuraによって最初にクロマトグラフィーの検出法として用いられ、1960年代後半から1970年代前半にかけてAdamsらによりカテコールアミンおよびアスコルビン酸の分析に応用された。それからさらなる改良が重ねられ、現在神経伝達物質およびその代謝物の定量方法として、一般的な技術となっている。 | ||
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グラファイト電極に +700 mV 程度の電位を印加することでカテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン等)や、インドールアミン(セロトニン等)、およびその代謝物の酸化反応をfmolオーダーで検出する。酸化還元電位は物質に固有であり、印加電位を変えることで選択的な検出が可能である。カテコールアミンは特に酸化を受けやすく、印加電位を +500 mV 程度まで下げることで選択的に検出することができる。 | グラファイト電極に +700 mV 程度の電位を印加することでカテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン等)や、インドールアミン(セロトニン等)、およびその代謝物の酸化反応をfmolオーダーで検出する。酸化還元電位は物質に固有であり、印加電位を変えることで選択的な検出が可能である。カテコールアミンは特に酸化を受けやすく、印加電位を +500 mV 程度まで下げることで選択的に検出することができる。 | ||
HPLCにおける各成分の分離はアイソクラティック法で行われ、移動相に用いる有機溶媒の種類および濃度、イオンペア試薬の濃度、 pH が大きな影響を及ぼす。有機溶媒には主にメタノールおよびアセトニトリルが用いられるが、濃度を上げることでアミンとその代謝物の溶出時間は早くなり、イオンペア試薬の濃度を上げることでアミンの溶出時間のみ遅くなる。またpH を上げると、DOPAC や HVA など酸性の代謝物の溶出時間は早くなる。 | |||
最適な印加電圧、移動相条件、カラムの種類を選択することで、脳組織中のモノアミンとその代謝物の一斉分析や、脳透析液中のドーパミンおよびセロトニンの短時間での高感度同時分析も可能である。 | 最適な印加電圧、移動相条件、カラムの種類を選択することで、脳組織中のモノアミンとその代謝物の一斉分析や、脳透析液中のドーパミンおよびセロトニンの短時間での高感度同時分析も可能である。 | ||
[測定例] マウス脳組織中のモノアミンとその代謝物の一斉分析 | [測定例] マウス脳組織中のモノアミンとその代謝物の一斉分析 | ||
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==最近のHPLCの傾向== | ==最近のHPLCの傾向== | ||
===UHPLC (Ultra High Performance Liquid Chromatography)=== | ===UHPLC (Ultra High Performance Liquid Chromatography)=== | ||
UHPLCは、HPLCの最新機種である。原理はHPLCと全く同じであるが、分析時間を比較すると格段に短くなっている。HPLCと大きく異なる点は、カラムと送液圧力である。まずカラムは、カラム担体の粒径が従来より小さくなったため高い分離度がえられるようになった。ただし高圧となるため、高耐圧カラムを用いる。次に送液ポンプは、高耐圧カラムを使用するのに耐えるシステムになっている。さらにUHPLCは,高速分析のためピーク幅は数十秒ときわめて狭いため、検出器のフローセル部分も改良されている。その結果、高感度、高分離、高速分析が可能となった。 | |||
現在UHPLCは、ペプチドマッピング、メタボローム、アミノ酸分析そして医薬品の分析など様々な分野で活用されているが、カラムの種類はHPLCに比べ、まだ少ない状況である。今後、カラムの種類が豊富になることによりUHPLCの需要が高まることが期待される。 | 現在UHPLCは、ペプチドマッピング、メタボローム、アミノ酸分析そして医薬品の分析など様々な分野で活用されているが、カラムの種類はHPLCに比べ、まだ少ない状況である。今後、カラムの種類が豊富になることによりUHPLCの需要が高まることが期待される。 | ||
===LC-MS (Liquid Chromatography-Mass Spectrometry)=== | ===LC-MS (Liquid Chromatography-Mass Spectrometry)=== |
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