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Hiromasamorishita (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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#: 様々な検出器が開発されておりUV検出器、蛍光検出器、電気化学検出器、質量分析器、蒸発光散乱検出器などが用いられている。HPLCにおいて、最も汎用的な検出器はUV 検出器であり、次いで蛍光検出器、電気化学検出器の順である。 | #: 様々な検出器が開発されておりUV検出器、蛍光検出器、電気化学検出器、質量分析器、蒸発光散乱検出器などが用いられている。HPLCにおいて、最も汎用的な検出器はUV 検出器であり、次いで蛍光検出器、電気化学検出器の順である。 | ||
#データ処理ソフトウェア | #データ処理ソフトウェア | ||
#:検出されたデータを取得し、そこからピークの検出・解析をおこなう。各HPLCメーカーから装置の制御機能を合わせ持った製品が出されている。様々なメーカーの装置と接続可能な汎用ソフトウェアには、 EZChrom (Agilent)、 Empower (Waters)、 PowerChrom (eDAQ Pty Ltd)、 Unicorn(GE)などがある。 | #:検出されたデータを取得し、そこからピークの検出・解析をおこなう。各HPLCメーカーから装置の制御機能を合わせ持った製品が出されている。様々なメーカーの装置と接続可能な汎用ソフトウェアには、 EZChrom (Agilent)、 Empower (Waters)、 PowerChrom (eDAQ Pty Ltd)、 Unicorn(GE)などがある。[[ファイル:HPLC 図3.jpg|thumb|300px|right|図 3. (A) HPLCのフローチャート, (B) 2pmol/μLのスタンダード, (C) 脳組織ホモジネートのサンプル.<br />[分析条件] 装置:ポンプHITACHI L-2130,検出器:EICOM L7480とGL Sciences GL-7453A,カラムオーブン:EICOM CTC-100,デガッサー:EICOM DG-100,オートサンプラー:EICOM,ソフトウェア:PowerChrom EPC-500,トラップカラム:COSMOSIL Guard 5C18-MS-II(4.6ID×10mm), 分離用カラム:COSMOSIL 5C18-MS-II(4.6ID×150mm), 流速:1.1ml/min, カラム温度:36℃, 励起波長:340nm, 蛍光波長:440nm. | ||
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===測定方法=== | ===測定方法=== | ||
#プレカラム法とポストカラム法 | #プレカラム法とポストカラム法 | ||
#: HPLCで目的の物質がそのまま分析できない場合、感度を上げるために誘導化を行うことが多い。その誘導化の方法には、プレカラム法(図1-B)と ポストカラム法(図1-C)がある。。<br />プレカラム法は成分を分離する前に誘導化する方法であり、ポストカラム法はカラムで成分を分離してから誘導化する方法である。一般に感度を上げるためにプレカラム法で蛍光誘導化が行われる事が多い。蛍光誘導化(ラベル化)とは、蛍光を発しない物質を化学反応で蛍光を発する物質に変換すること、蛍光物質を化学的に結合させることである。測定する物質の種類にもよるが蛍光誘導化するとfmol~pmolまで測定可能になる。ポストカラム法では、分離後誘導化試薬と反応するため別途ポンプが必要となる。また、反応させるための反応コイルや反応カラムを使用することによってサンプルが拡散するため、ポストカラム法はプレカラム法に比べ特に溶出時間が遅くなり物質の感度が悪くなることがある。 | #: HPLCで目的の物質がそのまま分析できない場合、感度を上げるために誘導化を行うことが多い。その誘導化の方法には、プレカラム法(図1-B)と ポストカラム法(図1-C)がある。。<br />プレカラム法は成分を分離する前に誘導化する方法であり、ポストカラム法はカラムで成分を分離してから誘導化する方法である。一般に感度を上げるためにプレカラム法で蛍光誘導化が行われる事が多い。蛍光誘導化(ラベル化)とは、蛍光を発しない物質を化学反応で蛍光を発する物質に変換すること、蛍光物質を化学的に結合させることである。測定する物質の種類にもよるが蛍光誘導化するとfmol~pmolまで測定可能になる。ポストカラム法では、分離後誘導化試薬と反応するため別途ポンプが必要となる。また、反応させるための反応コイルや反応カラムを使用することによってサンプルが拡散するため、ポストカラム法はプレカラム法に比べ特に溶出時間が遅くなり物質の感度が悪くなることがある。 | ||
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#: イオンペア試薬は、陽イオンと陰イオンの2種類ある。目的の物質が正に電荷して陽イオン(+)の場合はアルキルスルホン酸塩を、負に電荷して陰イオン(−)の場合は第4級アンモニウム塩を用いる。イオン性物質のサンプルは、イオンペア試薬とイオン結合して電気的に中性となり、さらにイオンペア試薬のアルキル鎖により逆相カラムに保持されて分離できるようになる。数種類のアルキル鎖の長さが異なる試薬があり、分離の度合いを見て選択する。 | #: イオンペア試薬は、陽イオンと陰イオンの2種類ある。目的の物質が正に電荷して陽イオン(+)の場合はアルキルスルホン酸塩を、負に電荷して陰イオン(−)の場合は第4級アンモニウム塩を用いる。イオン性物質のサンプルは、イオンペア試薬とイオン結合して電気的に中性となり、さらにイオンペア試薬のアルキル鎖により逆相カラムに保持されて分離できるようになる。数種類のアルキル鎖の長さが異なる試薬があり、分離の度合いを見て選択する。 | ||
HPLCの分析では、検出器の選択、カラムの選択、高感度にするための誘導化、移動相の種類、分離条件(2つの移動相の割合を変えて分離する)、などを組み合わせて目的物質の分析法を確立する。 | HPLCの分析では、検出器の選択、カラムの選択、高感度にするための誘導化、移動相の種類、分離条件(2つの移動相の割合を変えて分離する)、などを組み合わせて目的物質の分析法を確立する。 | ||
===応用例(スイッチングバルブ法)=== | ===応用例(スイッチングバルブ法)=== | ||
 これまでHPLCの一般的な装置構成について述べてきた。ここでは、装置構成の応用例としてスイッチングバルブ装置を用いたHPLCのシステムについて述べる。<br />図2-AのHPLCシステムではアイソクラティック法にスイッチングバルブ装置を組んでいる(構成:移動相2液、ポンプ2台、スイッチングバルブ1台、トラップカラム1本、分離用カラム2本、検出器2台)。スイッチングバルブとは、特定な時間を設定してその時間になると流路を切り替えることができる装置のことである。トラップカラムは、サンプル内の物質を一時的に保持するための長さが短いカラム(1cm程度)である。インジェクション前の流路は、移動相AはポンプA → インジェクター → トラップカラム → カラムA → 検出器Aへ流れている。このとき移動相Bは、ポンプB → カラムB → 検出器Bを流れており、トラップカラムには流れない。インジェクション後スイッチングバルブ設定時間にバルブが作動するとトラップカラムに移動相Bが流れる。このシステムで重要な点は、スイッチングバルブ設定時間である。設定時間を調節することによりカラムBで検出する物質の溶出時間を変えることができる。また目的物質の溶出が移動相の変わり目になると正確な分析ができなくなるため注意が必要である。溶出時間の速いものと遅いものを同時に分析したい場合、スイッチングバルブ法は1本のカラムで分析する場合と比較し約半分の時間でかつ溶出時間の遅い物質を感度良く分析できる利点がある。 |  これまでHPLCの一般的な装置構成について述べてきた。ここでは、装置構成の応用例としてスイッチングバルブ装置を用いたHPLCのシステムについて述べる。<br />図2-AのHPLCシステムではアイソクラティック法にスイッチングバルブ装置を組んでいる(構成:移動相2液、ポンプ2台、スイッチングバルブ1台、トラップカラム1本、分離用カラム2本、検出器2台)。スイッチングバルブとは、特定な時間を設定してその時間になると流路を切り替えることができる装置のことである。トラップカラムは、サンプル内の物質を一時的に保持するための長さが短いカラム(1cm程度)である。インジェクション前の流路は、移動相AはポンプA → インジェクター → トラップカラム → カラムA → 検出器Aへ流れている。このとき移動相Bは、ポンプB → カラムB → 検出器Bを流れており、トラップカラムには流れない。インジェクション後スイッチングバルブ設定時間にバルブが作動するとトラップカラムに移動相Bが流れる。このシステムで重要な点は、スイッチングバルブ設定時間である。設定時間を調節することによりカラムBで検出する物質の溶出時間を変えることができる。また目的物質の溶出が移動相の変わり目になると正確な分析ができなくなるため注意が必要である。溶出時間の速いものと遅いものを同時に分析したい場合、スイッチングバルブ法は1本のカラムで分析する場合と比較し約半分の時間でかつ溶出時間の遅い物質を感度良く分析できる利点がある。 | ||
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===神経伝達アミノ酸の分析(蛍光誘導化法)=== | ===神経伝達アミノ酸の分析(蛍光誘導化法)=== | ||
蛍光誘導化法で用いられる誘導化試薬は、メーカーから様々な種類が出されている。その中でも本稿では非常に安価なOPA法について述べる。 | 蛍光誘導化法で用いられる誘導化試薬は、メーカーから様々な種類が出されている。その中でも本稿では非常に安価なOPA法について述べる。[[ファイル:HPLC 図4.jpg|thumb|300px|right|図 4. (A) 標準物質の分析; 10-100 pg の範囲で定量性がある。(B) マウス線条体抽出物の分析; ドーパミン作動性ニューロンが多いことが分かる。(C) マウス小脳抽出物の分析; 線条体と全く異なる溶出パターンをすることが分かる。<br />[分析条件] 装置:エイコム社製システム(デガッサー:DG-300, ポンプ:EP-300, カラムオーブン:ATC-300, 検出器:ECD-300, EICOM), カラム : EICOMPAK SC-50DS (Φ3.0 x 150 mm, EICOM), 移動相: 83% 0.1 M 酢酸-クエン酸緩衝液(pH 3.5)/17% メタノール(190 mg/L SOS, 5 mg/L EDTA•2Na を含む), 流速:0.5 mL/min, 作用電極: グラファイト電極(WE-3G, EICOM), 印加電圧:+750 mV vs. Ag/AgCl(RE-100, EICOM), 注入量:10 μL, 温度: 25℃,<br /> | ||
[[ファイル:HPLC 図4.jpg|thumb|300px|right|図 4. (A) 標準物質の分析; 10-100 pg の範囲で定量性がある。(B) マウス線条体抽出物の分析; ドーパミン作動性ニューロンが多いことが分かる。(C) マウス小脳抽出物の分析; 線条体と全く異なる溶出パターンをすることが分かる。<br />[分析条件] 装置:エイコム社製システム(デガッサー:DG-300, ポンプ:EP-300, カラムオーブン:ATC-300, 検出器:ECD-300, EICOM), カラム : EICOMPAK SC-50DS (Φ3.0 x 150 mm, EICOM), 移動相: 83% 0.1 M 酢酸-クエン酸緩衝液(pH 3.5)/17% メタノール(190 mg/L SOS, 5 mg/L EDTA•2Na を含む), 流速:0.5 mL/min, 作用電極: グラファイト電極(WE-3G, EICOM), 印加電圧:+750 mV vs. Ag/AgCl(RE-100, EICOM), 注入量:10 μL, 温度: 25℃,<br /> | |||
MHPG:3-Methoxy-4-hydroxyphenylglycol, NA:Noradrenaline, AD:Adrenaline, DOPAC:3,4-dihydroxy-phenylacetic acid, NM:Normethanephrine, DA:Dopamine, 5-HIAA:5-Hydroxyindoleacetic acid, ISO:Isoproterenol, HVA:Homovanillic acid, 3-MT:3-Methoxytyramine, 5-HT:5-Hydroxytryptamine | MHPG:3-Methoxy-4-hydroxyphenylglycol, NA:Noradrenaline, AD:Adrenaline, DOPAC:3,4-dihydroxy-phenylacetic acid, NM:Normethanephrine, DA:Dopamine, 5-HIAA:5-Hydroxyindoleacetic acid, ISO:Isoproterenol, HVA:Homovanillic acid, 3-MT:3-Methoxytyramine, 5-HT:5-Hydroxytryptamine | ||
]] | ]] | ||
#蛍光検出の原理 | #蛍光検出の原理 | ||
#: OPA法は、オルトフタルアルデヒド(o-Phthalaldehyde, OPA)、メルカプトエタノール、アミノ酸由来のアミノ基が環化反応し蛍光を発する物質になり、分析を可能にする方法である(図2-A)。OPA誘導体は、励起波長350±10 nm,蛍光波長450±10 nm程度で蛍光検出することができる。一般に誘導化する場合は過剰の試薬を加えなければならず、残った蛍光誘導化試薬が蛍光を発して分析する物質の妨害となり分析が困難になることがある。その点OPAは、環化反応しないと蛍光を発しないため残存する誘導化試薬を気にする必要がないのが利点である。一方OPA試薬の欠点として、蛍光の持続時間が短いこと、第2級アミンと反応しないためプロリンやハイドロキシプロリンの検出はできないことがあげられる。 | #: OPA法は、オルトフタルアルデヒド(o-Phthalaldehyde, OPA)、メルカプトエタノール、アミノ酸由来のアミノ基が環化反応し蛍光を発する物質になり、分析を可能にする方法である(図2-A)。OPA誘導体は、励起波長350±10 nm,蛍光波長450±10 nm程度で蛍光検出することができる。一般に誘導化する場合は過剰の試薬を加えなければならず、残った蛍光誘導化試薬が蛍光を発して分析する物質の妨害となり分析が困難になることがある。その点OPAは、環化反応しないと蛍光を発しないため残存する誘導化試薬を気にする必要がないのが利点である。一方OPA試薬の欠点として、蛍光の持続時間が短いこと、第2級アミンと反応しないためプロリンやハイドロキシプロリンの検出はできないことがあげられる。 |
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