「細胞外記録」の版間の差分

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==細胞外記録に用いられる電極==
==細胞外記録に用いられる電極==
 細胞外記録用の電極には、ガラス管の先端を熱で加工し[[wikipedia:jp:電解質|電解質]]を内部に充填したガラス電極、[[wikipedia:jp:タングステン|タングステン]]や[[wikipedia:jp:銀|銀]]などをガラスや[[wikipedia:jp:テフロン|テフロン]]など[[wikipedia:ja:|絶縁材料]]で被覆した金属電極、[[wikipedia:jp:半導体|半導体]]技術を応用して複数の電極を配置した[[シリコンプローブ]]、イオン選択性交換剤をガラス管に詰めた[[イオン(イオン選択性)電極]]やアンペロメトリーに使用する[[カーボンファイバー電極]]などがある。
 細胞外記録用の電極には、ガラス管の先端を熱で加工し[[wikipedia:jp:電解質|電解質]]を内部に充填したガラス電極、[[wikipedia:jp:タングステン|タングステン]]や[[wikipedia:jp:銀|銀]]などをガラスや[[wikipedia:jp:テフロン|テフロン]]など[[wikipedia:ja:絶縁材料|絶縁材料]]で被覆した金属電極、[[wikipedia:jp:半導体|半導体]]技術を応用して複数の電極を配置した[[シリコンプローブ]]、イオン選択性交換剤をガラス管に詰めた[[イオン(イオン選択性)電極]]やアンペロメトリーに使用する[[カーボンファイバー電極]]などがある。
通常、1本の電極を[[マイクロドライブ]]や[[wikipedia:ja:|マニピュレータ]]をもちいて脳内の目的部位に正確に刺入するが、複数本の電極をワイヤ束状、櫛の歯状、あるいは剣山状に並べて刺入することも可能である。動きやすい神経細胞や組織には、軽い陰圧をかけて記録対象を機械的に保持する[[吸引電極]]が用いられる。柔らかい電極材料を脳内に慢性的に埋め込んで脳の機械的な変位に柔軟に対応する[[フローティング電極]]も開発が試みられている。[[脳スライス標本]]や[[初代培養|分散培養]]した神経細胞には、碁盤の目状に電極を配置した[[マルチ電極アレー]]が用いられることもある。
通常、1本の電極を[[マイクロドライブ]]や[[wikipedia:ja:マニピュレータ|マニピュレータ]]をもちいて脳内の目的部位に正確に刺入するが、複数本の電極をワイヤ束状、櫛の歯状、あるいは剣山状に並べて刺入することも可能である。動きやすい神経細胞や組織には、軽い陰圧をかけて記録対象を機械的に保持する[[吸引電極]]が用いられる。柔らかい電極材料を脳内に慢性的に埋め込んで脳の機械的な変位に柔軟に対応する[[フローティング電極]]も開発が試みられている。[[脳スライス標本]]や[[初代培養|分散培養]]した神経細胞には、碁盤の目状に電極を配置した[[マルチ電極アレー]]が用いられることもある。


==細胞外記録の種類==
==細胞外記録の種類==
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 目的とする脳部位に測定電極(関電極)を刺入し、十分に離れて電気的変動の少ない部位に基準電極(不関電極)を設けると、神経細胞の集団活動の結果生じる局所フィールド電位 local field potential (LFP)を記録することができる。一般には、低い[[wikipedia:jp:インピーダンス|インピーダンス]](数百kΩ程度)の金属電極やガラス電極を使用し、1Hz以下から数百Hzまでの成分を含む、数~数百μV程度の振幅の電位変化を観測の対象とする。機械的変位に強く、行動中の動物から長期間にわたって記録することが可能である。大脳皮質の局所フィールド電位を頭皮上または[[硬膜]]下から間接的に測定したものが、それぞれ[[脳波]](electroencephalogram, EEG)、[[皮質脳波]](electrocoticogram, ECoG)である。そこで局所フィールド電位を[[深部脳波]]と呼ぶこともある。
 目的とする脳部位に測定電極(関電極)を刺入し、十分に離れて電気的変動の少ない部位に基準電極(不関電極)を設けると、神経細胞の集団活動の結果生じる局所フィールド電位 local field potential (LFP)を記録することができる。一般には、低い[[wikipedia:jp:インピーダンス|インピーダンス]](数百kΩ程度)の金属電極やガラス電極を使用し、1Hz以下から数百Hzまでの成分を含む、数~数百μV程度の振幅の電位変化を観測の対象とする。機械的変位に強く、行動中の動物から長期間にわたって記録することが可能である。大脳皮質の局所フィールド電位を頭皮上または[[硬膜]]下から間接的に測定したものが、それぞれ[[脳波]](electroencephalogram, EEG)、[[皮質脳波]](electrocoticogram, ECoG)である。そこで局所フィールド電位を[[深部脳波]]と呼ぶこともある。


 大脳皮質などで観測される局所フィールド電位は、主に[[錐体細胞]]群への集団的な[[シナプス]]入力によって発生すると説明される(フィールドfield EPSP)。例えば、大脳皮質の錐体細胞の尖頭[[樹状突起]]の遠位部(皮質浅層に相当)に興奮性の[[グルタミン酸]]作動性のシナプス入力が来た場合、[[グルタミン酸受容体]]を介して[[wikipedia:ja:|陽イオン]](つまり電流)が細胞内へ流れ込む(吸い込み、シンクsink)。この電流は樹状突起内を流れて近位部などから細胞外へ流れ出る(湧き出し、ソースsource)。局所フィールド電位は、シンク付近でマイナス、ソース付近でプラスの極性を示し、このシンクとソースの対を[[wikipedia:ja:|双極子]]dipoleと呼ぶ。双極子の方向に沿って等間隔の部位から得られた局所フィールド電位を使って[[電流源密度解析]] current source density (CSD) analysisをおこなうと、記録部位に沿ったシンクとソースの時間的、空間的分布を調べることができる。なお、海馬の錐体細胞層など神経細胞の細胞体が密に分布する部位においては、細胞集団の発火活動の総和である[[集合スパイク]] population spikeが観測される。脳スライス標本や分散培養した神経細胞からも、シリコンプローブやマルチ電極アレーをもちいて、[[フィールドEPSP]]や集合スパイクを計測することが可能である。
 大脳皮質などで観測される局所フィールド電位は、主に[[錐体細胞]]群への集団的な[[シナプス]]入力によって発生すると説明される(フィールドfield EPSP)。例えば、大脳皮質の錐体細胞の尖頭[[樹状突起]]の遠位部(皮質浅層に相当)に興奮性の[[グルタミン酸]]作動性のシナプス入力が来た場合、[[グルタミン酸受容体]]を介して[[wikipedia:ja:陽イオン|陽イオン]](つまり電流)が細胞内へ流れ込む(吸い込み、シンクsink)。この電流は樹状突起内を流れて近位部などから細胞外へ流れ出る(湧き出し、ソースsource)。局所フィールド電位は、シンク付近でマイナス、ソース付近でプラスの極性を示し、このシンクとソースの対を[[wikipedia:ja:双極子|双極子]]dipoleと呼ぶ。双極子の方向に沿って等間隔の部位から得られた局所フィールド電位を使って[[電流源密度解析]] current source density (CSD) analysisをおこなうと、記録部位に沿ったシンクとソースの時間的、空間的分布を調べることができる。なお、海馬の錐体細胞層など神経細胞の細胞体が密に分布する部位においては、細胞集団の発火活動の総和である[[集合スパイク]] population spikeが観測される。脳スライス標本や分散培養した神経細胞からも、シリコンプローブやマルチ電極アレーをもちいて、[[フィールドEPSP]]や集合スパイクを計測することが可能である。


===単一ユニット記録===
===単一ユニット記録===
 高いインピーダンス(数MΩ程度)の金属微小電極などを単一の神経細胞に接近させて、その記録細胞に発生する活動電位を反映した細胞外の微弱な電位変化(ユニットunit。スパイクspike、発火discharge/firingとも呼ぶ)を測定することを単一ユニット記録single unit recordingと呼ぶ。このユニット活動の記録を(狭義の)細胞外記録と称することも多い。通常、ユニット活動は数百μVまでの一定振幅の陰性ピークとして観測される。細胞内記録と異なり、[[シナプス後電位]]など[[閾値]]下の[[膜電位]]変化は観察できない。行動中の動物から安定して記録し、およその記録部位をマークすることもできるが、記録細胞を可視化することは困難である。各ユニットの発生時間を時間軸上にプロットしたものを[[ラスタープロット]] raster plot、ある事象に関連したユニットの発生確率を示す[[wikipedia:ja:|ヒストグラム]]を[[peri-stimulus time histogram]] (PSTH)または[[peri-event time histogram]] (PETH)と呼び、記録細胞の発火特性や機能を表現する図として多用される。単一ユニット記録を使った先駆的な研究例として、[[wikipedia:David H. Hubel|D. H. Hubel]]と[[wikipedia:Torsten Wiesel|T. N. Wiesel]]によるネコの[[視覚野]]の研究<ref><pubmed> 14403679 </pubmed></ref>やE. V. Evartsによるサルの運動野の研究<ref><pubmed> 14283057 </pubmed></ref>が挙げられる。
 高いインピーダンス(数MΩ程度)の金属微小電極などを単一の神経細胞に接近させて、その記録細胞に発生する活動電位を反映した細胞外の微弱な電位変化(ユニットunit。スパイクspike、発火discharge/firingとも呼ぶ)を測定することを単一ユニット記録single unit recordingと呼ぶ。このユニット活動の記録を(狭義の)細胞外記録と称することも多い。通常、ユニット活動は数百μVまでの一定振幅の陰性ピークとして観測される。細胞内記録と異なり、[[シナプス後電位]]など[[閾値]]下の[[膜電位]]変化は観察できない。行動中の動物から安定して記録し、およその記録部位をマークすることもできるが、記録細胞を可視化することは困難である。各ユニットの発生時間を時間軸上にプロットしたものを[[ラスタープロット]] raster plot、ある事象に関連したユニットの発生確率を示す[[wikipedia:ja:ヒストグラム|ヒストグラム]]を[[peri-stimulus time histogram]] (PSTH)または[[peri-event time histogram]] (PETH)と呼び、記録細胞の発火特性や機能を表現する図として多用される。単一ユニット記録を使った先駆的な研究例として、[[wikipedia:David H. Hubel|D. H. Hubel]]と[[wikipedia:Torsten Wiesel|T. N. Wiesel]]によるネコの[[視覚野]]の研究<ref><pubmed> 14403679 </pubmed></ref>やE. V. Evartsによるサルの運動野の研究<ref><pubmed> 14283057 </pubmed></ref>が挙げられる。


注)同時に記録する細胞の数(単一か複数か)にかかわらず、個別の細胞由来に分離した(isolated)ユニット活動を単一ユニット活動single unit activity (SUA)と称して、集合的な(分離しない)ユニット活動multi-unit activity (MUA)と区別する場合もある。しかし、ここでは分離の有無にかかわらず、複数の細胞からの同時記録は次のマルチユニット記録に含めることとする。
注)同時に記録する細胞の数(単一か複数か)にかかわらず、個別の細胞由来に分離した(isolated)ユニット活動を単一ユニット活動single unit activity (SUA)と称して、集合的な(分離しない)ユニット活動multi-unit activity (MUA)と区別する場合もある。しかし、ここでは分離の有無にかかわらず、複数の細胞からの同時記録は次のマルチユニット記録に含めることとする。


===マルチユニット記録===
===マルチユニット記録===
 同一個体の脳などから、同時に複数の神経細胞のユニット活動を記録することをマルチユニット記録multi-unit recording(マルチニューロン記録multi-neuronal recording、多細胞同時記録などともいう)と呼ぶ。最も単純なマルチユニット記録は、1本(1チャンネル)の電極から数細胞のユニット活動を同時に記録し、波形の違いをもとに個別の数細胞のユニット活動に分離する方法である(1電極-数細胞)。なお、1電極における多細胞のユニット活動を集合的に(分離せずに)解析したものは、マルチプルユニットmultiple unit活動(またはmulti-unit activity (MUA))と称する。一方、櫛状や剣山状にした複数の電極(数百ミクロン~数ミリ間隔)を使って、各電極から単一ユニット活動をそれぞれ同時に記録する方法は、特に広範囲の脳領域の活動を調べるのに適している(多電極-各1細胞)。また、複数の電極を近接配置(約25~50ミクロン間隔)したワイヤ・[[テトロード]]やシリコンプローブをもちいると、多数の細胞のユニット活動を効率的に分離することができ、局所回路内の細胞間相互作用を詳細に解析することができる(多電極-多細胞)<ref><pubmed> 8351520 </pubmed></ref>。
 同一個体の脳などから、同時に複数の神経細胞のユニット活動を記録することをマルチユニット記録multi-unit recording(マルチニューロン記録multi-neuronal recording、多細胞同時記録などともいう)と呼ぶ。最も単純なマルチユニット記録は、1本(1チャンネル)の電極から数細胞のユニット活動を同時に記録し、波形の違いをもとに個別の数細胞のユニット活動に分離する方法である(1電極-数細胞)。なお、1電極における多細胞のユニット活動を集合的に(分離せずに)解析したものは、[[マルチプルユニット]]multiple unit活動(またはmulti-unit activity (MUA))と称する。一方、櫛状や剣山状にした複数の電極(数百ミクロン~数ミリ間隔)を使って、各電極から単一ユニット活動をそれぞれ同時に記録する方法は、特に広範囲の脳領域の活動を調べるのに適している(多電極-各1細胞)。また、複数の電極を近接配置(約25~50ミクロン間隔)したワイヤ・[[テトロード]]や[[シリコンプローブ]]をもちいると、多数の細胞のユニット活動を効率的に分離することができ、局所回路内の細胞間相互作用を詳細に解析することができる(多電極-多細胞)<ref><pubmed> 8351520 </pubmed></ref>。


 近接電極から記録した多数の細胞のユニット活動を分離するためには、スパイク・ソーティングspike sortingという解析技術をもちいる。一般に、スパイク・ソーティングでは、スパイク検出、特徴抽出、クラスタリングの3過程を経て、個別の細胞に由来するスパイク群(クラスターcluster)に分類していく。スパイク検出では、記録トレースにおいて基準を超える電位変化をスパイク候補として選び出す。特徴抽出では、[[wikipedia:jp:主成分分析|主成分分析]] principal component analysis (PCA)や[[wikipedia:jp:ウェーブレット変換|ウェーブレット変換]]などをもちいて、各チャンネルのスパイク波形の特徴情報を算出する。最後に、多次元の特徴空間におけるスパイクの分布に基づいて、classification EM (CEM)法や変分ベイズvarietional Bayes法などにより、個々のスパイクをクラスターに分類する。クラスタリングには米国で開発された[http://osiris.rutgers.edu/frontmid/indexmid.html KlustaKwik]や我が国の[http://etos.sourceforge.net/ EToS]などの無料ソフトウェアが公開されている。また、複数の重複したスパイクを分離するために、[[wikipedia:jp:独立成分分析|独立成分分析]] independent component analysis (ICA)が用いられることもある。
 近接電極から記録した多数の細胞のユニット活動を分離するためには、[[スパイク・ソーティング]]spike sortingという解析技術をもちいる。一般に、スパイク・ソーティングでは、スパイク検出、特徴抽出、クラスタリングの3過程を経て、個別の細胞に由来するスパイク群(クラスターcluster)に分類していく。スパイク検出では、記録トレースにおいて基準を超える電位変化をスパイク候補として選び出す。特徴抽出では、[[主成分分析]] principal component analysis (PCA)や[[ウェーブレット変換]]などをもちいて、各チャンネルのスパイク波形の特徴情報を算出する。最後に、多次元の特徴空間におけるスパイクの分布に基づいて、[[classification EM]] (CEM)法や[[変分ベイズ]]varietional Bayes法などにより、個々のスパイクをクラスターに分類する。クラスタリングには米国で開発された[http://osiris.rutgers.edu/frontmid/indexmid.html KlustaKwik]や我が国の[http://etos.sourceforge.net/ EToS]などの無料ソフトウェアが公開されている。また、複数の重複したスパイクを分離するために、[[独立成分分析]] independent component analysis (ICA)が用いられることもある。


===ジャクスタセルラー記録===
===ジャクスタセルラー記録===
 ジャクスタセルラー記録juxtacellular recording(傍細胞記録ともいう)とは、単一の神経細胞の細胞膜にガラス電極(10MΩ程度)の先端を押し当ててユニット活動を記録した後に、細胞内に可視化色素(バイオサイチンやニューロビオチンなど)や核酸などを電気浸透的に付加することにより、その記録細胞の形態を可視化することができる方法である<ref><pubmed> 8740589 </pubmed></ref>。従来の単一ユニット記録法とは、スパイク波形が数mV程度の陽性となる点と、記録細胞のサブタイプ(錐体細胞か介在細胞か、興奮性か抑制性か、など)や存在部位(大脳皮質の第何層か)や軸索結合(シナプス部位や軸索投射先)などを同定できる点で異なる。また、数nA程度の微弱電流によって記録細胞に特異的に発火を誘発することができる(ナノ刺激nano-stimulation)<ref><pubmed> 19955285 </pubmed></ref>。単一ユニット記録法と同様に、行動中の動物の脳からも安定して記録することが可能である。
 ジャクスタセルラー記録juxtacellular recording(傍細胞記録ともいう)とは、単一の神経細胞の細胞膜にガラス電極(10MΩ程度)の先端を押し当ててユニット活動を記録した後に、細胞内に可視化色素([[バイオサイチン]]や[[ニューロビオチン]]など)や[[wikipedia:ja:核酸|核酸]]などを電気浸透的に付加することにより、その記録細胞の形態を可視化することができる方法である<ref><pubmed> 8740589 </pubmed></ref>。従来の単一ユニット記録法とは、スパイク波形が数mV程度の陽性となる点と、記録細胞のサブタイプ([[錐体細胞]]か[[介在細胞]]か、[[興奮性]]か[[抑制性]]か、など)や存在部位(大脳皮質の第何層か)や[[軸索]]結合(シナプス部位や軸索[[投射]]先)などを同定できる点で異なる。また、数nA程度の微弱電流によって記録細胞に特異的に発火を誘発することができる(ナノ刺激nano-stimulation)<ref><pubmed> 19955285 </pubmed></ref>。単一ユニット記録法と同様に、行動中の動物の脳からも安定して記録することが可能である。


注)[[パッチクランプ記録]]の一形態であるセル・アタッチcell-attached法は、概念上、細胞外からの単一神経細胞の電気的活動の記録法であるといえるが、この項では触れないこととする。
注)[[パッチクランプ記録]]の一形態である[[セル・アタッチcell-attached法]]は、概念上、細胞外からの単一神経細胞の電気的活動の記録法であるといえるが、この項では触れないこととする。


===アンペロメトリー===
===アンペロメトリー===
 アンペロメトリーamperometry(アンペロメトリック電気化学検出法)は、微小カーボン電極を細胞に接近させ、細胞外に存在する特定の化学物質を測定する方法である。電極の電位を固定した状態で、電極周辺物質の酸化還元によって生じる電流を測定する。アンペロメトリーは神経細胞以外の細胞における開口放出の研究によく用いられてきたが、測定は酸化還元されやすい物質に限られているため、神経細胞におけるグルタミン酸やGABAなどの検出はできない。脳内において酸化されやすいドーパミンなどのカテコールアミンやセロトニンの測定に用いられることもあるが、その場合はアンペロメトリーよりも[[ボルタメトリー]] voltammetryがよく用いられいる(アンペロメトリーはボルタメトリーの一種)<ref><pubmed> 4145914 </pubmed></ref>。
 アンペロメトリーamperometry(アンペロメトリック電気化学検出法)は、微小[[カーボン電極]]を細胞に接近させ、細胞外に存在する特定の化学物質を測定する方法である。電極の電位を固定した状態で、電極周辺物質の[[酸化]][[還元]]によって生じる電流を測定する。アンペロメトリーは神経細胞以外の細胞における開口放出の研究によく用いられてきたが、測定は酸化還元されやすい物質に限られているため、神経細胞におけるグルタミン酸やGABAなどの検出はできない。脳内において酸化されやすい[[ドーパミン]]などの[[カテコールアミン]]や[[セロトニン]]の測定に用いられることもあるが、その場合はアンペロメトリーよりも[[ボルタメトリー]] voltammetryがよく用いられいる(アンペロメトリーはボルタメトリーの一種)<ref><pubmed> 4145914 </pubmed></ref>。


==関連項目==
==関連項目==

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