「サザンブロット」の版間の差分

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== ノーザンブロットとの相違点  ==
== ノーザンブロットとの相違点  ==


基本原理、手順ともに両者に大きな相違はないが、ノーザンブロットは検出する対象がDNAではなくRNAであること、さらにRNAは1本鎖であるために泳動後のアガロースを塩基性 溶液で処理する必要がないことである。なお、サザンブロットは考案者の名前から命名されているため、英文では大文字から表記される (Southern blot)が、ノーザンブロットはサザンブロットに対する「洒落」で命名されているため小文字から表記 (northern blot)される。これは抗体を用いてSDS-PAGE後のタンパク質を検出するウェスタンブロット (western blot)においても同様である。  
 基本原理、手順ともに両者に大きな相違はないが、ノーザンブロットは検出する対象がDNAではなくRNAであること、さらにRNAは1本鎖であるために泳動後のアガロースを塩基性 溶液で処理する必要がないことである。なお、サザンブロットは考案者の名前から命名されているため、英文では大文字から表記される (Southern blot)が、ノーザンブロットはサザンブロットに対する「洒落」で命名されているため小文字から表記 (northern blot)される。これは抗体を用いてSDS-PAGE後のタンパク質を検出するウェスタンブロット (western blot)においても同様である。  


== 使用例  ==
== 使用例  ==
[[Image:サザンブロット図3.jpg|thumb|right|350px|'''図3.サザンブロットにより遺伝子変異の検出例''']]
[[Image:サザンブロット図4.jpg|thumb|right|350px|'''図4.サザンブロットによるDNAメチル化状態の解析例''']]


=== 遺伝子変異の検出  ===
=== 遺伝子変異の検出  ===


サザンブロットにより検出されるバンドの大きさの変化で遺伝子の変異を検出することが出来る。例えば遺伝子改変動物をジーンターゲティング法で作製した場合には、そのバンドの大きさで遺伝子型(野生型、ヘテロ、ホモ)の判別に用いられる(図3)。 [[Image:サザンブロット図3.jpg|thumb|right|350px|'''図3.サザンブロットにより遺伝子変異の検出例''']]
 サザンブロットにより検出されるバンドの大きさの変化で遺伝子の変異を検出することが出来る。例えば遺伝子改変動物をジーンターゲティング法で作製した場合には、そのバンドの大きさで遺伝子型(野生型、ヘテロ、ホモ)の判別に用いられる(図3)。


=== DNAメチル化状態の解析  ===
=== DNAメチル化状態の解析  ===


[[Image:サザンブロット図4.jpg|thumb|right|350px|'''図4.サザンブロットによるDNAメチル化状態の解析例''']]
 ゲノムDNAメチル化は遺伝子発現における調節因子であるため、その解析は遺伝子発現制御の分野では重要である。 制限酵素HpaIIとMspIは同じ5'- CCGG - 3'を認識し切断するが、メチル化感受性制限酵素であるHpaIIは2番目のCがメチル化された配列 (5'- CmCGG - 3')は切断することが出来ない。一方MspIはメチル化状態にかかわらず切断することが出来る。そこで、これらの制限酵素を利用したサザンブロットで特定のCpG配列のメチル化状態を調べることが出来る(図4)。
 
ゲノムDNAメチル化は遺伝子発現における調節因子であるため、その解析は遺伝子発現制御の分野では重要である。 制限酵素HpaIIとMspIは同じ5'- CCGG - 3'を認識し切断するが、メチル化感受性制限酵素であるHpaIIは2番目のCがメチル化された配列 (5'- CmCGG - 3')は切断することが出来ない。一方MspIはメチル化状態にかかわらず切断することが出来る。そこで、これらの制限酵素を利用したサザンブロットで特定のCpG配列のメチル化状態を調べることが出来る(図4)。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

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