「カリウムチャネル」の版間の差分

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== 電位依存性カリウムチャネル  ==
== 電位依存性カリウムチャネル  ==


電位依存性カリウム(Kv)チャネルは静止膜電位付近ではポアが閉じているが、脱分極によって活性化(開口確率が上昇)し小孔が開口するカリウムチャネルである(図4)。Kvチャネルファミリーのαサブユニットの遺伝子はKv1-12の12クラス、さらにサブファミリーも存在し40種類ほど単離されている<ref><pubmed>14657415</pubmed></ref><ref><pubmed>16382104</pubmed></ref>。先に述べたように、6TM型の1次構造をとり、N末端から5番目、6番目の膜貫通領域(S5, S6)がポアドメインの形成に関与し、1番目から4番目の膜貫通領域(S1-S4)が電位センサーとして機能する構造を形成する。結晶構造が報告され、電位センサードメインが隣接するサブユニット由来のポアドメインと近接しているという特徴的なドメイン配置が明らかにされている(図1)。<br>Kvチャネルは、活性化の電位依存性や不活性化の有無、薬物感受性などから様々なタイプに細分類される。脱分極刺激による活性化後直ぐに不活性化され、一過的な電流を流す早期不活性化カリウムチャネル(A型Kチャネル)と不活性化が殆どおこらず活性化が持続する遅延整流性カリウムチャネルに分けることができる。また活性化のスピードから「早い成分」、「遅い成分」と、あるいは活性化の閾値から「低閾値(low-voltage-activated, LVA)型」、「高閾値(high-voltage-activated, HVA)型」と分類されることもある。<br>Kvチャネルの活性化の機構としては、膜電位変化に応じて電位センサードメインの構造変化が起こることが想定されている。この電位センサードメインの構造変化が、チャネルの開閉時に測定されるゲート電流と呼ばれる小さな電流を担っていると考えられている。電位センサードメインが脂質二重膜を横切る膜電位の変化をどのように感知し、そして小孔の開閉を制御する仕組みが精力的に研究されているが、その分子機構は明らかではない。近年は電位センサードメインの結晶構造が報告され、その構造変化とその結果起こる小孔の開口のメカニズムに関して議論が続いている。<br>Kvチャネルの不活性化の機構としては、活性化された後急速におこる不活性化機構としては、活性化後早い不活性化を担うN型の不活性化と、N型と比べて遅い不活性化機構であるC型の不活性化機構という異なる機構が報告されている。N型の不活性化機構にはKvチャネルのN末端のアミノ酸が関与している。また、βサブユニットがN型の不活性化機構に大きく影響を与えることも知られている<ref><pubmed>8799886</pubmed></ref>。チャネルのN型不活性化に関わる領域は、以前はボール状の構造をとりS4-S5のリンカー部分に結合し細胞のポア領域を塞ぐような機構(ball-and-chain機構)が提唱されていたが、最近の解析からはもう少し細い線状の構造がポア内に侵入してポアを塞ぐと考えられるようになってきた。一方、C型の不活性化機構にはP領域とS6(あるいはM2)の一部が関与していると見られる。この領域はポアの細胞外の入り口付近にあたり、この部分の構造変化が基盤であると考えられている。  
電位依存性カリウム(Kv)チャネルは静止膜電位付近ではポアが閉じているが、脱分極によって活性化(開口確率が上昇)し小孔が開口するカリウムチャネルである(図4)。Kvチャネルファミリーのαサブユニットの遺伝子はKv1-12の12クラス、さらにサブファミリーも存在し40種類ほど単離されている<ref><pubmed>14657415</pubmed></ref><ref><pubmed>16382104</pubmed></ref>。先に述べたように、6TM型の1次構造をとり、N末端から5番目、6番目の膜貫通領域(S5, S6)がポアドメインの形成に関与し、1番目から4番目の膜貫通領域(S1-S4)が電位センサーとして機能する構造を形成する。結晶構造が報告され、電位センサードメインが隣接するサブユニット由来のポアドメインと近接しているという特徴的なドメイン配置が明らかにされている(図1)。<br>Kvチャネルは、活性化の電位依存性や不活性化の有無、薬物感受性などから様々なタイプに細分類される。脱分極刺激による活性化後直ぐに不活性化され、一過的な電流を流す早期不活性化カリウムチャネル(A型Kチャネル)と不活性化が殆どおこらず活性化が持続する遅延整流性カリウムチャネルに分けることができる。また活性化のスピードから「早い成分」と「遅い成分」とに、あるいは活性化の閾値から「低閾値(low-voltage-activated, LVA)型」と「高閾値(high-voltage-activated, HVA)型」とに分類されることもある。<br>Kvチャネルの活性化の機構としては、膜電位変化に応じて電位センサードメインの構造変化が起こることが想定されている。この電位センサードメインの構造変化が、チャネルの開閉時に測定されるゲート電流と呼ばれる小さな電流を担っていると考えられている。電位センサードメインが脂質二重膜を横切る膜電位の変化をどのように感知し、そして小孔の開閉を制御する仕組みが精力的に研究されているが、その分子機構は明らかではない。近年は電位センサードメインの結晶構造が報告され、その構造変化とその結果起こる小孔の開口のメカニズムに関して議論が続いている。<br>Kvチャネルの不活性化の機構としては、活性化された後急速におこる不活性化機構としては、活性化後早い不活性化を担うN型の不活性化と、N型と比べて遅い不活性化機構であるC型の不活性化機構という異なる機構が報告されている。N型の不活性化機構にはKvチャネルのN末端のアミノ酸が関与している。また、βサブユニットがN型の不活性化機構に大きく影響を与えることも知られている<ref><pubmed>8799886</pubmed></ref>。チャネルのN型不活性化に関わる領域は、以前はボール状の構造をとりS4-S5のリンカー部分に結合し細胞のポア領域を塞ぐような機構(ball-and-chain機構)が提唱されていたが、最近の解析からはもう少し細い線状の構造がポア内に侵入してポアを塞ぐと考えられるようになってきた。一方、C型の不活性化機構にはP領域とS6(あるいはM2)の一部が関与していると見られる。この領域はポアの細胞外の入り口付近にあたり、この部分の構造変化が基盤であると考えられている。  


== Ca活性化カリウムチャネル  ==
== Ca活性化カリウムチャネル  ==
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