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神経細胞における極性輸送の機構は、[[wikipedia:JA:上皮細胞|上皮細胞]]の[[wikipedia:JA:頂端面|頂端面]](apical)や[[wikipedia:JA:側底面|側底面]](basolateral)への極性輸送機構とある程度共通している。実際、上皮細胞で頂端面へと選択的に輸送される膜タンパク質は神経細胞でも軸索に選択的に運ばれる傾向にあり、反対に側底面へと選択的に運ばれる膜タンパク質は樹状突起に選択的に運ばれる傾向にある<ref><pubmed>9620691</pubmed></ref>。ただし、上皮細胞と神経細胞の極性輸送機構は全てにおいて共通している訳ではなく、例えば神経細胞の樹状突起に特異的に局在する[[テレンセファリン]]の樹状突起ターゲティングシグナルは、上皮細胞においては側底面への輸送シグナルとしては機能しない<ref><pubmed>15689548</pubmed></ref>。 | 神経細胞における極性輸送の機構は、[[wikipedia:JA:上皮細胞|上皮細胞]]の[[wikipedia:JA:頂端面|頂端面]](apical)や[[wikipedia:JA:側底面|側底面]](basolateral)への極性輸送機構とある程度共通している。実際、上皮細胞で頂端面へと選択的に輸送される膜タンパク質は神経細胞でも軸索に選択的に運ばれる傾向にあり、反対に側底面へと選択的に運ばれる膜タンパク質は樹状突起に選択的に運ばれる傾向にある<ref><pubmed>9620691</pubmed></ref>。ただし、上皮細胞と神経細胞の極性輸送機構は全てにおいて共通している訳ではなく、例えば神経細胞の樹状突起に特異的に局在する[[テレンセファリン]]の樹状突起ターゲティングシグナルは、上皮細胞においては側底面への輸送シグナルとしては機能しない<ref><pubmed>15689548</pubmed></ref>。 | ||
神経細胞における極性輸送の分子機構に関する詳細は未解明の部分も多いが、近年その一端が解明されつつある。一例を挙げると、輸送小胞の[[微小管]]上の移動を司る[[モータータンパク質]]・[[キネシン]]ファミリー分子のうち、軸索特異的な輸送に関与する[[KIF1A]]は[[シナプトタグミン]]1、[[Rab3]]、[[ | 神経細胞における極性輸送の分子機構に関する詳細は未解明の部分も多いが、近年その一端が解明されつつある。一例を挙げると、輸送小胞の[[微小管]]上の移動を司る[[モータータンパク質]]・[[キネシン]]ファミリー分子のうち、軸索特異的な輸送に関与する[[KIF1A]]は[[シナプトタグミン]]1、[[Rab|Rab3]]、[[シナプトフィジン]]といったシナプス小胞の構成因子を輸送する<ref><pubmed>7539720 </pubmed></ref>。一方、[[KIF17]]はNMDA型グルタミン酸受容体のサブユニットである[[NR2B]]を樹状突起へと輸送する<ref><pubmed>10846156</pubmed></ref>。 | ||
細胞体との境界に位置する軸索の根元には[[アクチン]]線維が高密度に存在している[[軸索小丘]](axon initial segment, AIS)と呼ばれる領域があり、ここでキネシン分子依存的に軸索に輸送される分子と樹状突起へ輸送される分子の選択が行われるという説が提唱されている<ref><pubmed>19268344 </pubmed></ref>。また、[[クラスリン]]被覆小胞形成の[[アダプタータンパク質]]であるAP複合体ファミリーの1つ[[AP-4]]が、AMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットであるGluR1およびGluR2の樹状突起への選択的輸送に関与することが明らかになっている<ref><pubmed>18341993 </pubmed></ref>。さらに、メンブレントラフィックの普遍的制御因子である[[低分子量Gタンパク質]][[Rab]]ファミリーの幾つかが、軸索あるいは樹状突起特異的に局在することが最近報告され、これらの分子の極性輸送への関与が示唆されている<ref><pubmed>22291024 </pubmed></ref>。 | 細胞体との境界に位置する軸索の根元には[[アクチン]]線維が高密度に存在している[[軸索小丘]](axon initial segment, AIS)と呼ばれる領域があり、ここでキネシン分子依存的に軸索に輸送される分子と樹状突起へ輸送される分子の選択が行われるという説が提唱されている<ref><pubmed>19268344 </pubmed></ref>。また、[[クラスリン]]被覆小胞形成の[[アダプタータンパク質]]であるAP複合体ファミリーの1つ[[AP-4]]が、AMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットであるGluR1およびGluR2の樹状突起への選択的輸送に関与することが明らかになっている<ref><pubmed>18341993 </pubmed></ref>。さらに、メンブレントラフィックの普遍的制御因子である[[低分子量Gタンパク質]][[Rab]]ファミリーの幾つかが、軸索あるいは樹状突起特異的に局在することが最近報告され、これらの分子の極性輸送への関与が示唆されている<ref><pubmed>22291024 </pubmed></ref>。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |