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同義語:ProSAP (Proline-rich synapse-associated protein), CortBP (Cortactin-binding protein), Somatostatin receptor-interacting protein (SSTRIP), GKAP/SAPAP-interacting protein, SPANK, Synamon | 同義語:ProSAP (Proline-rich synapse-associated protein), CortBP (Cortactin-binding protein), Somatostatin receptor-interacting protein (SSTRIP), GKAP/SAPAP-interacting protein, SPANK, Synamon | ||
Shankは、多くのタンパク質と相互作用する2000個以上の[[アミノ酸]]からなる巨大な足場タンパク質である。選択的スプライシングによりさまざまな遺伝子産物が得られるが、最も長いものはアンキリンリピート、SH3ドメイン、PDZドメイン、プロリンリッチ配列、SAMドメインからなる。それぞれのドメインが相互作用するタンパク質を持つので、結合タンパク質は多岐にわたる。自閉症との関連が指摘されている。 | |||
== Shankの構造 == | == Shankの構造 == | ||
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== Shankの機能 == | == Shankの機能 == | ||
Shankを神経細胞に過剰発現するとスパインの肥大化が起こり、特にShank結合タンパク質であるHomerとの共発現はスパインのを更なる肥大化を引き起こす<ref><pubmed>11498055</pubmed></ref>。 さらに、本来、スパインを持たない抑制性の小脳顆粒細胞にShankを導入すると、 NMDA型やAMPA型のグルタミン酸受容体をもつスパインを形成するようになる<ref><pubmed>15814786</pubmed></ref>。 | |||
Shank分子間のドメイン間相互作用によりオリゴマーを形成するShankと、両端に2つずつのリガンド結合部位をもつ逆平行4量体を形成するHomerは互いに架橋して、高次のネットワーク構造を形成する。このShankとHomerの高次複合体がシナプス後肥厚の骨格となると考えられる<ref><pubmed>19345194</pubmed></ref> 。 | Shank分子間のドメイン間相互作用によりオリゴマーを形成するShankと、両端に2つずつのリガンド結合部位をもつ逆平行4量体を形成するHomerは互いに架橋して、高次のネットワーク構造を形成する。このShankとHomerの高次複合体がシナプス後肥厚の骨格となると考えられる<ref><pubmed>19345194</pubmed></ref> 。 | ||
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== Shankの分子内・分子間相互作用 == | == Shankの分子内・分子間相互作用 == | ||
Shank分子内、あるいはShank分子間の相互作用としては、アンキリンリピートとSH3ドメインが相互作用する<ref><pubmed>15496675</pubmed></ref>ほか、PDZドメインはホモ二量体を<ref name="ref2"><pubmed>12954649</pubmed></ref>、SAMドメインは多量体を<ref name="ref3"><pubmed>16439662</pubmed></ref> | Shank分子内、あるいはShank分子間の相互作用としては、アンキリンリピートとSH3ドメインが相互作用する<ref><pubmed>15496675</pubmed></ref>ほか、PDZドメインはホモ二量体を<ref name="ref2"><pubmed>12954649</pubmed></ref>、SAMドメインは多量体を<ref name="ref3"><pubmed>16439662</pubmed></ref> 形成する。このPDZドメインによるホモ二量体形成には、PDZドメイン本来のタンパク質結合部位は関与しないので、二量体を形成しても、他のPDZリガンドは結合できる(図2)。一方、結晶化されたSAMドメインは一周6分子の螺旋状ポリマーを形成しており(図3)、更にこの螺旋が側面で会合して、Zn2+イオンに依存性の二次元の広がりをもつシートを形成する。 | ||
但し、SAMドメインの大きさはShank全長の3%にしか相当しないので、上流の長い配列も含めて大きなポリマーを形成できるかどうかは不明である。 | 但し、SAMドメインの大きさはShank全長の3%にしか相当しないので、上流の長い配列も含めて大きなポリマーを形成できるかどうかは不明である。 | ||
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[[Image:Shank-SAM 2F44.png|thumb|250px|'''図3.Shank SAM ドメインの結晶構造'''<ref name="ref3" />]] | [[Image:Shank-SAM 2F44.png|thumb|250px|'''図3.Shank SAM ドメインの結晶構造'''<ref name="ref3" />]] | ||
== | == Shankと相互作用するタンパク質 == | ||
=== | === 受容体・膜タンパク質 === | ||
いずれも、カルボキシ端がShankのPDZドメインに結合する。 | いずれも、カルボキシ端がShankのPDZドメインに結合する。 | ||
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GluR delta 2<ref><pubmed>15207857</pubmed></ref> | GluR delta 2<ref><pubmed>15207857</pubmed></ref> | ||
=== | === シナプス足場タンパク質 === | ||
DLGAP1/GKAP<ref><pubmed>10488079</pubmed></ref> | DLGAP1/GKAP<ref><pubmed>10488079</pubmed></ref> | ||
69行目: | 69行目: | ||
Sharpin<ref><pubmed>11178875</pubmed></ref> | Sharpin<ref><pubmed>11178875</pubmed></ref> | ||
=== | === 低分子量GTP結合タンパク質を制御するタンパク質 === | ||
IRSp53 | IRSp53 | ||
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[[Image:3L4F.jpg|thumb|250px|'''図4.Shank PDZ ドメインとbetaPIXとの相互作用'''<ref><pubmed>20117114</pubmed></ref>]] | [[Image:3L4F.jpg|thumb|250px|'''図4.Shank PDZ ドメインとbetaPIXとの相互作用'''<ref><pubmed>20117114</pubmed></ref>]] | ||
=== [[アクチン]] | === [[アクチン]]結合タンパク質 === | ||
IRSp53 | IRSp53 | ||
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Spectrin-alpha<ref><pubmed>11509555</pubmed></ref> | Spectrin-alpha<ref><pubmed>11509555</pubmed></ref> | ||
=== | === その他のタンパク質 === | ||
Phospholipse beta 3<ref><pubmed>15632121</pubmed></ref> | Phospholipse beta 3<ref><pubmed>15632121</pubmed></ref> |