「神経堤」の版間の差分

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==== 頭部神経堤  ====
==== 頭部神経堤  ====


 背外側に移動し、顔面頭蓋の[[wikipedia:ja:間葉|間葉]]組織や[[wikipedia:ja:咽頭弓|咽頭弓]]・[[wikipedia:ja:咽頭嚢|咽頭嚢]]に侵入する。顔面頭蓋の間葉に移動した神経堤細胞より、[[脳神経]]節([[第V脳神経|Ⅴ]]・[[第VII脳神経|ⅤII]]・[[第IX脳神経|IX]]・[[第X脳神経|X]])の神経細胞、[[シュワン細胞]]、顔面頭蓋の[[wikipedia:ja:骨格筋|骨格筋]]・骨・軟骨、血管平滑筋や[[wikipedia:ja:血管周皮細胞|血管周皮細胞]]、角膜や虹彩の実質、[[くも膜]]や[[軟膜]]などが形成される。咽頭弓・咽頭嚢に侵入した神経堤細胞は、[[wikipedia:ja:甲状腺|甲状腺]][[wikipedia:ja:傍濾胞細胞|傍濾胞細胞]]、[[wikipedia:ja:耳小骨|耳小骨]]、[[wikipedia:ja:下顎骨|下顎骨]]、[[wikipedia:ja:象牙芽細胞|象牙芽細胞]]などを形成するとともに、[[wikipedia:ja:胸腺|胸腺]]や[[wikipedia:ja:副甲状腺|副甲状腺]]の形成を誘導する。  
 背外側に移動し、顔面頭蓋の[[wikipedia:ja:間葉|間葉]]組織や[[wikipedia:ja:咽頭弓|咽頭弓]]・[[wikipedia:ja:咽頭嚢|咽頭嚢]]に侵入する。顔面頭蓋の間葉に移動した神経堤細胞より、[[脳神経]]節([[第V脳神経|Ⅴ]]・[[第VII脳神経|ⅤII]]・[[第IX脳神経|IX]]・[[第X脳神経|X]])の神経細胞、シュワン細胞、顔面頭蓋の[[wikipedia:ja:骨格筋|骨格筋]]・骨・軟骨、血管平滑筋や[[wikipedia:ja:血管周皮細胞|血管周皮細胞]]、角膜や虹彩の実質、[[くも膜]]や[[軟膜]]などが形成される。咽頭弓・咽頭嚢に侵入した神経堤細胞は、[[wikipedia:ja:甲状腺|甲状腺]][[wikipedia:ja:傍濾胞細胞|傍濾胞細胞]]、[[wikipedia:ja:耳小骨|耳小骨]]、[[wikipedia:ja:下顎骨|下顎骨]]、[[wikipedia:ja:象牙芽細胞|象牙芽細胞]]などを形成するとともに、[[wikipedia:ja:胸腺|胸腺]]や[[wikipedia:ja:副甲状腺|副甲状腺]]の形成を誘導する。  


==== 心臓神経堤  ====
==== 心臓神経堤  ====
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== 多分化能  ==
== 多分化能  ==


 移動を開始する前の神経堤細胞には、神経細胞や[[シュワン細胞]]、メラニン細胞など複数の細胞種に分化できる多能性を有した細胞が存在すると報告されている<ref name="ref32"><pubmed> 2457813 </pubmed></ref>。しかしながら、神経堤細胞の全てが多能性を有している訳ではなく、遊走前から分化の方向が決定されている細胞も存在する。初期に神経堤を離脱した細胞の多くは、神経細胞には分化するがメラニン細胞には分化せず、逆に後期に神経堤を離脱した細胞はメラニン細胞には分化するが神経細胞には分化できない<ref name="ref33"><pubmed> 9334283 </pubmed></ref>。これらの神経堤細胞の分化方向は、[[wikipedia:en:SOX9|Sox9]]や[[wikipedia:en:SOX10|Sox10]]によって活性化される[[wikipedia:en:Microphthalmia-associated transcription factor|Mitf]]・[[wikipedia:en:CD117|c-Kit]](メラニン細胞)や[[wikipedia:en:Myelin protein zero|P0]](シュワン細胞)などによって運命づけられる<ref name="ref20" />。一方、神経堤細胞の最終的な分化は移動後の環境にも大きく依存するとされる。例えば、脊髄神経節の形成には[[脳由来神経成長因子]](brain-derived neurotrophic factor, BDNF)が、シュワン細胞への分化にはグリア増殖因子である[[ニューレグリン]](neuregulin)が、平滑筋の形成には[[wikipedia:en:Transforming growth factor beta|TGF-β]]の存在が重要である。  
 移動を開始する前の神経堤細胞には、神経細胞やシュワン細胞、メラニン細胞など複数の細胞種に分化できる多能性を有した細胞が存在すると報告されている<ref name="ref32"><pubmed> 2457813 </pubmed></ref>。しかしながら、神経堤細胞の全てが多能性を有している訳ではなく、遊走前から分化の方向が決定されている細胞も存在する。初期に神経堤を離脱した細胞の多くは、神経細胞には分化するがメラニン細胞には分化せず、逆に後期に神経堤を離脱した細胞はメラニン細胞には分化するが神経細胞には分化できない<ref name="ref33"><pubmed> 9334283 </pubmed></ref>。これらの神経堤細胞の分化方向は、[[wikipedia:en:SOX9|Sox9]]や[[wikipedia:en:SOX10|Sox10]]によって活性化される[[wikipedia:en:Microphthalmia-associated transcription factor|Mitf]]・[[wikipedia:en:CD117|c-Kit]](メラニン細胞)や[[wikipedia:en:Myelin protein zero|P0]](シュワン細胞)などによって運命づけられる<ref name="ref20" />。一方、神経堤細胞の最終的な分化は移動後の環境にも大きく依存するとされる。例えば、脊髄神経節の形成には[[脳由来神経成長因子]](brain-derived neurotrophic factor, BDNF)が、シュワン細胞への分化にはグリア増殖因子である[[ニューレグリン]](neuregulin)が、平滑筋の形成には[[wikipedia:en:Transforming growth factor beta|TGF-β]]の存在が重要である。  


== 神経堤症(neurocristopathy)  ==
== 神経堤症(neurocristopathy)  ==

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