「シュワン細胞」の版間の差分

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 シュワン細胞の分化は、おおむね可逆的である(前駆細胞から未成熟シュワン細胞への分化は不可逆的)。最終的に分化する細胞の形態は、関連する軸索からのシグナルから決定される。一部のシュワン細胞前駆細胞は、神経細胞や線維芽細胞などグリア細胞系譜以外の細胞へも分化する。[[ニューレグリン]] (NRG)、[[エンドセリン]]、[[Notch]]、[[骨形成タンパク質]](Bone Morphogenetic Protein, BMP)、[[インスリン様成長因子]] (IGF)、[[血小板由来成長因子]](PDGF)、[[神経栄養因子]]など数多くの因子が、シュワン細胞の分化や脱分化、そして生存機構に関与すると報告されている。
 シュワン細胞の分化は、おおむね可逆的である(前駆細胞から未成熟シュワン細胞への分化は不可逆的)。最終的に分化する細胞の形態は、関連する軸索からのシグナルから決定される。一部のシュワン細胞前駆細胞は、神経細胞や線維芽細胞などグリア細胞系譜以外の細胞へも分化する。[[ニューレグリン]] (NRG)、[[エンドセリン]]、[[Notch]]、[[骨形成タンパク質]](Bone Morphogenetic Protein, BMP)、[[インスリン様成長因子]] (IGF)、[[血小板由来成長因子]](PDGF)、[[神経栄養因子]]など数多くの因子が、シュワン細胞の分化や脱分化、そして生存機構に関与すると報告されている。


 各分化段階でシュワン細胞に発現するたんぱく質は変化する。幹細胞から未成熟シュワン細胞までに共通して発現する因子として、[[SOX10]]、[[p75神経栄養因子受容体]]、[[L1]]、[[ニューレグリン#.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|ErbB]]3などが挙げられる。シュワン前駆細胞と未成熟シュワン細胞では、[[protein zero]] (P0)、[[GAP43]]、[[peripheral myelin protein]] 22-kDa (PMP22)、[[desert hedgehog]] (DHH)や[[brain fatty acid-binding protein]] (BEABP)などが発現している<ref><pubmed>16136171</pubmed></ref>。  
 各分化段階でシュワン細胞に発現するたんぱく質は変化する。幹細胞から未成熟シュワン細胞までに共通して発現する因子として、[[SOX10]]、[[p75神経栄養因子受容体]]、[[L1]]、[[ニューレグリン#.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|ErbB]]3などが挙げられる。シュワン前駆細胞と未成熟シュワン細胞では、[[protein zero]] (P0)、[[GAP43]]、[[peripheral myelin protein]] 22-kDa (PMP22)、[[desert hedgehog]] (DHH)や[[brain fatty acid-binding protein]] (BFABP)などが発現している<ref><pubmed>16136171</pubmed></ref>。  


 一部のシュワン細胞は、ミエリンを形成する。ミエリンには切れ目があり、発見者 (フランスの病理学者[[wikipedia:Louis-Antoine_Ranvier|Louis-Antoine Ranvier]]) の名前から、[[ランヴィエ絞輪]]と呼ばれている。末梢の有髄神経のランヴィエ絞輪の間隔は200-1500 µm程度ある(無髄神経で隣接するシュワン細胞の核の間隔は90 µm以下)。ランヴィエ絞輪部分は細胞外液にさらされており、また、高い密度で[[イオンチャネル]]が分布している (Na<sup>+</sup>チャネルは1000 µm<sup>-2</sup>) 。そのため、髄鞘に覆われている部分と比較し[[活動電位]]が発生しやすい状態であり、跳躍伝導が生じる場となっている<ref><pubmed>7679565</pubmed></ref>。これらの構造のため、有髄神経は同じ直径の無髄神経と比較し、活動電位の伝導がおよそ10倍早まる。ランヴィエ絞輪部分へのNa<sup>+</sup>チャネルの集積には、ミエリン化したシュワン細胞が発現する[[Gliomedin]]の関与が示唆されている<ref><pubmed>16039564</pubmed></ref> <ref><pubmed>20188654</pubmed></ref>。
 一部のシュワン細胞は、ミエリンを形成する。ミエリンには切れ目があり、発見者 (フランスの病理学者[[wikipedia:Louis-Antoine_Ranvier|Louis-Antoine Ranvier]]) の名前から、[[ランヴィエ絞輪]]と呼ばれている。末梢の有髄神経のランヴィエ絞輪の間隔は200-1500 µm程度ある(無髄神経で隣接するシュワン細胞の核の間隔は90 µm以下)。ランヴィエ絞輪部分は細胞外液にさらされており、また、高い密度で[[イオンチャネル]]が分布している (Na<sup>+</sup>チャネルは1000 µm<sup>-2</sup>) 。そのため、髄鞘に覆われている部分と比較し[[活動電位]]が発生しやすい状態であり、跳躍伝導が生じる場となっている<ref><pubmed>7679565</pubmed></ref>。これらの構造のため、有髄神経は同じ直径の無髄神経と比較し、活動電位の伝導がおよそ10倍早まる。ランヴィエ絞輪部分へのNa<sup>+</sup>チャネルの集積には、ミエリン化したシュワン細胞が発現する[[Gliomedin]]の関与が示唆されている<ref><pubmed>16039564</pubmed></ref> <ref><pubmed>20188654</pubmed></ref>。