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プロテアーゼはいくつかのタイプに分類される。触媒部位を形成する[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]による分類およびターゲットとなるタンパク質の基質特異性による分類である。前者ではプロテアーゼの結合サイトとハサミの部分を活性部位の特徴による分類がある。アミノ酸の[[wikipedia:ja:セリン|セリン]]を活性部位にもつものは[[細胞外プロテアーゼ#.E3.82.BB.E3.83.AA.E3.83.B3.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|セリンプロテアーゼ]]と呼び、同様に、[[細胞外プロテアーゼ#.E3.82.A2.E3.82.B9.E3.83.91.E3.83.A9.E3.82.AE.E3.83.B3.E9.85.B8.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|アスパラギン酸プロテアーゼ]]および[[細胞外プロテアーゼ#.E3.83.A1.E3.82.BF.E3.83.AD.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|メタロ(金属)プロテアーゼ]]などがある。 | プロテアーゼはいくつかのタイプに分類される。触媒部位を形成する[[wikipedia:ja:アミノ酸|アミノ酸]]による分類およびターゲットとなるタンパク質の基質特異性による分類である。前者ではプロテアーゼの結合サイトとハサミの部分を活性部位の特徴による分類がある。アミノ酸の[[wikipedia:ja:セリン|セリン]]を活性部位にもつものは[[細胞外プロテアーゼ#.E3.82.BB.E3.83.AA.E3.83.B3.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|セリンプロテアーゼ]]と呼び、同様に、[[細胞外プロテアーゼ#.E3.82.A2.E3.82.B9.E3.83.91.E3.83.A9.E3.82.AE.E3.83.B3.E9.85.B8.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|アスパラギン酸プロテアーゼ]]および[[細胞外プロテアーゼ#.E3.83.A1.E3.82.BF.E3.83.AD.E3.83.97.E3.83.AD.E3.83.86.E3.82.A2.E3.83.BC.E3.82.BC|メタロ(金属)プロテアーゼ]]などがある。 | ||
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{| width="1107" cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" height="414" | |||
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| style="text-align:center" | プロテアーゼ | |||
| style="text-align:center" | 基質(候補) | |||
| style="text-align:center" | プロテアーゼの発現調節に関わる機構 | |||
| style="text-align:center" | プロテアーゼに関係すると考えられている機能 | |||
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| thrombin | |||
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| tPA | |||
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| plasmin | |||
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| neurotrypsin | |||
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| neuropsin | |||
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| MMP-9 | |||
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| ADAM-10, 17 | |||
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| ADAM-22, 23 | |||
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| ADAMTS-1, 8, 9, 15 | |||
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| ADAMTS-4, 5 | |||
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| BACE1 | |||
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[[Image:Hsuzuki table4.png|thumb|center|800px|細胞外プロテアーゼの基質と機能発現をまとめた表]] | [[Image:Hsuzuki table4.png|thumb|center|800px|細胞外プロテアーゼの基質と機能発現をまとめた表]] | ||
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[[Image:図tPA2.jpg|thumb|300px|<b>図1.tPAのレセプターを介したシグナル伝達経路</b><br />参考:中枢神経系におけるtPAの役割 永井信夫 血栓止血誌20(1)18~22 2009]] | [[Image:図tPA2.jpg|thumb|300px|<b>図1.tPAのレセプターを介したシグナル伝達経路</b><br />参考:中枢神経系におけるtPAの役割 永井信夫 血栓止血誌20(1)18~22 2009]] | ||
組織プラスミノーゲンアクチベーター(tissue plasminogen activator; tPA)は神経細胞、[[グリア細胞]]、[[wikipedia:ja:上皮細胞|上皮細胞]]によって合成分泌され、[[海馬]]など様々な脳領域に高発現している。多くの研究によってtPAは[[シナプス]]機能を修飾することが示されてきた。tPAの神経機能修飾作用としてタンパク質分解活性依存的なものと非依存的なものの2種類あることが知られている。tPAのタンパク質分解活性は[[GluN1]]サブユニットの切断を介してNMDAシグナルを増強する。一方、tPAはNMDA受容体GluN2Bサブユニットと結合して、その[[リン酸化]]を促進する。この結果[[EPK|ERK]]/[[MAPK]]経路の活性化を引き起こす。さらに、tPAは[[wikipedia:low-density lipoprotein receptor related protein|low-density lipoprotein receptor related protein]](LRP)と結合してNMDAシグナルに間接的に影響を与える可能性がある。その他tPAは[[wikipedia:ja:アネキシンA2|アネキシンA2]]と結合して[[ミクログリア]]の活性化を行うことが示唆されている。これらの経路を通じてtPAは神経可塑性の調節に深く関わる(図1参照)。海馬[[スライス]]において、tPA活性を阻害するかあるいはtPA[[遺伝子欠損マウス]]を用いると[[Late phase long-term potentiation]](L-LTP)が阻害される。tPA欠損マウスは[[能動的回避反応]]と[[ステップダウン型回避試験]]の成績の低下や新規空間と物体への反応の欠如、[[文脈付恐怖条件づけ]]のすくみの低下、[[小脳]]依存的な[[運動学習]]タスクの獲得の低下など学習タスクで障害を示した。<ref name="ref1" /> <ref name="ref3" /> | 組織プラスミノーゲンアクチベーター(tissue plasminogen activator; tPA)は神経細胞、[[グリア細胞]]、[[wikipedia:ja:上皮細胞|上皮細胞]]によって合成分泌され、[[海馬]]など様々な脳領域に高発現している。多くの研究によってtPAは[[シナプス]]機能を修飾することが示されてきた。tPAの神経機能修飾作用としてタンパク質分解活性依存的なものと非依存的なものの2種類あることが知られている。tPAのタンパク質分解活性は[[GluN1]]サブユニットの切断を介してNMDAシグナルを増強する。一方、tPAはNMDA受容体GluN2Bサブユニットと結合して、その[[リン酸化]]を促進する。この結果[[EPK|ERK]]/[[MAPK]]経路の活性化を引き起こす。さらに、tPAは[[wikipedia:low-density lipoprotein receptor related protein|low-density lipoprotein receptor related protein]](LRP)と結合してNMDAシグナルに間接的に影響を与える可能性がある。その他tPAは[[wikipedia:ja:アネキシンA2|アネキシンA2]]と結合して[[ミクログリア]]の活性化を行うことが示唆されている。これらの経路を通じてtPAは神経可塑性の調節に深く関わる(図1参照)。海馬[[スライス]]において、tPA活性を阻害するかあるいはtPA[[遺伝子欠損マウス]]を用いると[[Late phase long-term potentiation]](L-LTP)が阻害される。tPA欠損マウスは[[能動的回避反応]]と[[ステップダウン型回避試験]]の成績の低下や新規空間と物体への反応の欠如、[[文脈付恐怖条件づけ]]のすくみの低下、[[小脳]]依存的な[[運動学習]]タスクの獲得の低下など学習タスクで障害を示した。<ref name="ref1" /> <ref name="ref3" /> | ||
=== プラスミン === | === プラスミン === | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||
<br>(執筆者:鈴木春満 担当編集委員:河西春郎) | <br>(執筆者:鈴木春満 担当編集委員:河西春郎) |