「質量分析計」の版間の差分

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 2次元電気泳動によりタンパク質を分離し、個々のタンパク質を質量分析計を用いて同定する方法が2次元電気泳動質量分析法(2DE/MS)である。2DE/MSは脳科学を含む生命科学全般で用いられてきたが、現在のプロテオーム解析では分離能やスループット性で優るLC/MS/MSが使われることが多い。
 2次元電気泳動によりタンパク質を分離し、個々のタンパク質を質量分析計を用いて同定する方法が2次元電気泳動質量分析法(2DE/MS)である。2DE/MSは脳科学を含む生命科学全般で用いられてきたが、現在のプロテオーム解析では分離能やスループット性で優るLC/MS/MSが使われることが多い。
===液相クロマトグラフィータンデム質量分析法===
===液相クロマトグラフィータンデム質量分析法===
 質量分析計に液相クロマトグラフィー装置を接続し、溶液試料を解析する手法がエキソウクロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)である。さらに、1回の測定で2段階以上の質量分析を組み合せる技術であるタンデムMSと組み合わせることにより、液相クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC/MS/MS)が開発された。LC/MS/MSにより特定の''m/z''の分子を選択しフラグメント化することができるため、夾雑物の影響を抑えた構造解析が可能である。
 質量分析計に液相クロマトグラフィー装置を接続し、溶液試料を解析する手法が液相クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)である。さらに、1回の測定で2段階以上の質量分析を組み合せる技術であるタンデムMSと組み合わせることにより、液相クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC/MS/MS)が開発された。LC/MS/MSにより特定の''m/z''の分子を選択しフラグメント化することができるため、夾雑物の影響を抑えた構造解析が可能である。
プロテオーム解析において、蛋白質混合溶液をプロテアーゼ処理し、得られたペプチド断片混合液をLC/MS/MSに供し、データベース検索により質量情報からペプチドを同定し、さらにそのペプチドが由来したタンパク質を同定する手法であるショットガン法が利用されてきた。
プロテオーム解析において、蛋白質混合溶液をプロテアーゼ処理し、得られたペプチド断片混合液をLC/MS/MSに供し、データベース検索により質量情報からペプチドを同定し、さらにそのペプチドが由来したタンパク質を同定する手法であるショットガン法が利用されてきた。
===イメージング質量分析法、質量顕微鏡法===
===イメージング質量分析法、質量顕微鏡法===
 イメージング質量分析法(IMS)とは、固体試料上の各点で直接分子のイオン化と質量分析を行うことで、分子を可視化する技術である。固体試料切片に対しレーザーによる二次元走査を行い、イオン化された分子を質量分析する。得られた質量スペクトルを再構成することにより、任意のm/zの分子の試料内分布情報を得ることができる。MADLI法の登場により、イメージング質量分析法は生体分子のイメージングに広く用いられるようになった。現在では顕微鏡レベルと言ってよい空間解像度での測定が可能となっており、肉眼解像度(100 μm)を超える解像度を持つイメージング質量分析法は特に質量顕微鏡法と呼ばれる<ref><pubmed>21109523</pubmed></ref>。乳児神経軸索性ジストロフィーモデルマウスにおけるシナプス構成分子の可視化を初めとして、脳科学における質量顕微鏡法の利用は増えている<ref><pubmed>21813701</pubmed></ref>。
 イメージング質量分析法(IMS)とは、固体試料上の各点で直接分子のイオン化と質量分析を行うことで、分子を可視化する技術である。固体試料切片に対しレーザーによる二次元走査を行い、イオン化された分子を質量分析する。得られた質量スペクトルを再構成することにより、任意の''m/z''の分子の試料内分布情報を得ることができる。MADLI法の登場により、イメージング質量分析法は生体分子のイメージングに広く用いられるようになった。現在では顕微鏡レベルと言ってよい空間解像度での測定が可能となっており、肉眼解像度(100 μm)を超える解像度を持つイメージング質量分析法は特に質量顕微鏡法と呼ばれる<ref><pubmed>21109523</pubmed></ref>。乳児神経軸索性ジストロフィーモデルマウスにおけるシナプス構成分子の可視化を初めとして、脳科学における質量顕微鏡法の利用は増えている<ref><pubmed>21813701</pubmed></ref>。




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