35
回編集
Kazutofujishima (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Kazutofujishima (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
17行目: | 17行目: | ||
バーグマングリアの細胞体は、小脳皮質プルキンエ細胞層に整列するプルキンエ細胞の細胞体周辺に不規則に配置する(図1)。プルキンエ細胞とバーグマングリアの割合はおよそ1:8とされる。細胞体から垂線方向に伸び軟膜へ到達する特徴的な放射状線維(radial fiber)は細胞毎に5本程度で、幹に多数の薄片状または刺状の突起を形成する。同じ細胞由来の放射状線維は、扇形に展開するプルキンエ細胞樹状突起と垂直に小脳冠状面(正中面に垂直な面)に広がる傾向がある。樹状突起と異なり、放射状線維は分岐が少なく先細りしない。先端で膨張してendfeetを形成し、軟膜と結合する(図2)。 | バーグマングリアの細胞体は、小脳皮質プルキンエ細胞層に整列するプルキンエ細胞の細胞体周辺に不規則に配置する(図1)。プルキンエ細胞とバーグマングリアの割合はおよそ1:8とされる。細胞体から垂線方向に伸び軟膜へ到達する特徴的な放射状線維(radial fiber)は細胞毎に5本程度で、幹に多数の薄片状または刺状の突起を形成する。同じ細胞由来の放射状線維は、扇形に展開するプルキンエ細胞樹状突起と垂直に小脳冠状面(正中面に垂直な面)に広がる傾向がある。樹状突起と異なり、放射状線維は分岐が少なく先細りしない。先端で膨張してendfeetを形成し、軟膜と結合する(図2)。 | ||
=== 微細構造 === | === 微細構造 === | ||
電子顕微鏡では電子密度が低くミトコンドリアなどの細胞内小器官がまばらで明調な細胞として観察される。放射状線維も明調で、突出した薄片状突起がプルキンエ細胞樹状突起スパインに形成される平行線維(顆粒細胞軸索)、登上線維(下オリーブ核ニューロン軸索)、抑制性介在ニューロンとのシナプスを被包する。放射状突起末端のendfeetは二重膜が渦巻状に折り畳まれた球根様の構造で、軟膜上皮細胞と密接に結合する。 | 電子顕微鏡では電子密度が低くミトコンドリアなどの細胞内小器官がまばらで明調な細胞として観察される。放射状線維も明調で、突出した薄片状突起がプルキンエ細胞樹状突起スパインに形成される平行線維(顆粒細胞軸索)、登上線維(下オリーブ核ニューロン軸索)、抑制性介在ニューロンとのシナプスを被包する。放射状突起末端のendfeetは二重膜が渦巻状に折り畳まれた球根様の構造で、軟膜上皮細胞と密接に結合する。 | ||
=== 分子発現 === | === 分子発現 === | ||
バーグマングリアは中間系フィラメントGFAP (glial fibrillary acidic protein)、グリア型グルタミン酸トランスポーターEAAT1(GLAST)、脂質結合分子BLBP(brain lipid-binding protein 別名FABP7)などのアストロサイト系譜細胞のマーカー分子の多くを発現する。その他、成熟したアストロサイトには消失するヴィメンチン(vimentin)の強い発現が見られ、Sox1,Sox2,Hes1,RC1抗原などの幹細胞マーカーの発現がある。網膜ミューラーグリアと共に、放射状突起をもつ形態的特徴と未分化なアストロサイト特有の分子発現から胎生神経幹細胞の放射状グリアと比較されるが、2012年現在ではバーグマングリアが幹細胞として機能する証拠はない。 | バーグマングリアは中間系フィラメントGFAP (glial fibrillary acidic protein)、グリア型グルタミン酸トランスポーターEAAT1(GLAST)、脂質結合分子BLBP(brain lipid-binding protein 別名FABP7)などのアストロサイト系譜細胞のマーカー分子の多くを発現する。その他、成熟したアストロサイトには消失するヴィメンチン(vimentin)の強い発現が見られ、Sox1,Sox2,Hes1,RC1抗原などの幹細胞マーカーの発現がある。網膜ミューラーグリアと共に、放射状突起をもつ形態的特徴と未分化なアストロサイト特有の分子発現から胎生神経幹細胞の放射状グリアと比較されるが、2012年現在ではバーグマングリアが幹細胞として機能する証拠はない。 | ||
32行目: | 32行目: | ||
バーグマングリアは個体の一生を通じて様々な機能を果たす。 | バーグマングリアは個体の一生を通じて様々な機能を果たす。 | ||
===支持構造=== | === 支持構造=== | ||
バーグマングリアの放射状線維は分子層を柵状に縦断し、小脳皮質の支持構造となる一方、先端部のendfeetは軟膜境界を覆い、軟膜外と皮質のグリア境界膜(glia limitans)として機能する。Endfeetと軟膜の結合にはβ1-インテグリンが関与し、β1-インテグリン欠損動物ではendfeetの発達が阻害され、著しい小脳皮質形成不全が起こる(Graus-Porta)。 | |||
===分化制御=== | ===分化制御=== |
回編集