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=== グラスゴー・コーマ・スケール === | === グラスゴー・コーマ・スケール === | ||
上述の意識の3要素に対応して三軸方式でそのレベルに応じて点数(スコア)をつける方法が国際的に広く用いられているグラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow coma scale; GCS)(表1) | 上述の意識の3要素に対応して三軸方式でそのレベルに応じて点数(スコア)をつける方法が国際的に広く用いられているグラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow coma scale; GCS)(表1)である<ref><pubmed>961490</pubmed></ref>。この評価法は3つの要素の和で総合的に意識レベルを表現することが可能であり、4+5+6=15点が意識清明、1+1+1=3点が最も悪い意識レベル(深昏睡)として13段階で評価できる。しかしながら、この評価法は3つの要素を独立して評価するために各要素の組み合わせは4×5×6=120通りとなり、同じ合計点数でも、患者の意識レベルが異なる可能性もある。 | ||
意識の3要素は先述のとおり便宜的なものであり、それぞれの要素は本来的に同格ではない。意識障害の要素としては覚醒の度合いが最も重要であり、覚醒なしに意識内容はあり得ないし、命令に従うことも不可能である。GCSでは3要素にそれぞれ覚醒状態から覚醒不能の重症レベルまでが含まれ、命令に従う(M-6)場合は覚醒しており、他の二項目のスコアは不要とも考えられる。GCSの運動項目だけで、意識障害レベルを表現することもできる、などの批判もある。 | 意識の3要素は先述のとおり便宜的なものであり、それぞれの要素は本来的に同格ではない。意識障害の要素としては覚醒の度合いが最も重要であり、覚醒なしに意識内容はあり得ないし、命令に従うことも不可能である。GCSでは3要素にそれぞれ覚醒状態から覚醒不能の重症レベルまでが含まれ、命令に従う(M-6)場合は覚醒しており、他の二項目のスコアは不要とも考えられる。GCSの運動項目だけで、意識障害レベルを表現することもできる、などの批判もある。 | ||
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=== ジャパン・コーマ・スケール === | === ジャパン・コーマ・スケール === | ||
この点において、より簡便な意識レベルの評価法がジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale; JCS、3-3-9度方式)(表2)である | この点において、より簡便な意識レベルの評価法がジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale; JCS、3-3-9度方式)(表2)である<ref><pubmed> 4477641</pubmed></ref>。このスケールは3つの意識要素のうち、最も重要な覚醒軸(x軸)のみに沿って評価する一軸方式である。意識障害の段階を、数字の1桁から3桁(表2のⅠ~Ⅲ)で、Ⅰ.自発的に覚醒している、Ⅱ.刺激すると覚醒する、Ⅲ.刺激しても覚醒しない、の3段階に分け、それぞれの段階がさらに3段階に区分される。意識の3要素のうち他の2軸(意識内容、運動反応)はある程度覚醒している(昏睡でない)ことが前提となるⅠあるいはⅡのレベルでのみ評価される。意識清明を0として、合計10段階となり、同じ点数であれば一義的に決まるので経時的に記載することができる。意識障害の程度および推移の急性期の変化に刻々と対応できるため救急現場や開頭術後などで実用性がある。JCSは我が国で最も広く用いられている評価スケールである。 | ||
GCS、JCSは共に、発症後(あるいは受傷後、術後)急性期の状態を評価する時に主として用いられる。慢性期においては、次項に述べるように、昏睡状態を脱して覚醒軸のレベルで回復しても運動反応や意識内容が回復しないという状態が持続することがあり、これは「遷延性意識障害」として区別される。 | GCS、JCSは共に、発症後(あるいは受傷後、術後)急性期の状態を評価する時に主として用いられる。慢性期においては、次項に述べるように、昏睡状態を脱して覚醒軸のレベルで回復しても運動反応や意識内容が回復しないという状態が持続することがあり、これは「遷延性意識障害」として区別される。 | ||
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