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ヒトでのプリオン病の発症は人口100万人当たり1人程度とされており、非常にまれな疾患である。わが国では第五類感染症に指定されている。 | ヒトでのプリオン病の発症は人口100万人当たり1人程度とされており、非常にまれな疾患である。わが国では第五類感染症に指定されている。 | ||
== | ===病態仮説=== | ||
これまでに発見されたウイルスなどの感染性因子は、遺伝情報としてDNAやRNAなどの核酸を保持している。しかし、プリオン病の病原体であるプリオンには、DNAやRNAは検出されていない。また、[[wikipedia:ja:核酸分解酵素|核酸分解酵素]]による処理や[[wikipedia:ja:紫外線|紫外線]]などの核酸障害処理に対してプリオンは耐性を示す。しかし、[[wikipedia:ja:フェノール|フェノール]]、[[wikipedia:ja:グアニジン塩酸塩|グアニジン塩酸塩]]、[[wikipedia:ja:尿素|尿素]]などのタンパク質変性剤に対しプリオンは感受性を示す。このことはプリオンが核酸に依存しない、タンパク質からなる感染因子であることを示している。Prusinerらは、スクレイピーに感染した脳から、プリオンを高純度に含む分画を精製することに成功し、この分画に特異的に認められるタンパク質としてPrP<sup>Sc</sup>を同定した。さらにPrP<sup>Sc</sup>がプリオンの感染価と一致した挙動を示すことを見出し、PrP<sup>Sc</sup>がプリオンであるとするプリオン仮説を提唱した。プリオン仮説によれば、PrP<sup>Sc</sup>がPrP<sup>C</sup>をPrP<sup>Sc</sup>に変換させることによってPrP<sup>Sc</sup>が新たに産生され、プリオンは複製し伝播すると考えられている。 | これまでに発見されたウイルスなどの感染性因子は、遺伝情報としてDNAやRNAなどの核酸を保持している。しかし、プリオン病の病原体であるプリオンには、DNAやRNAは検出されていない。また、[[wikipedia:ja:核酸分解酵素|核酸分解酵素]]による処理や[[wikipedia:ja:紫外線|紫外線]]などの核酸障害処理に対してプリオンは耐性を示す。しかし、[[wikipedia:ja:フェノール|フェノール]]、[[wikipedia:ja:グアニジン塩酸塩|グアニジン塩酸塩]]、[[wikipedia:ja:尿素|尿素]]などのタンパク質変性剤に対しプリオンは感受性を示す。このことはプリオンが核酸に依存しない、タンパク質からなる感染因子であることを示している。Prusinerらは、スクレイピーに感染した脳から、プリオンを高純度に含む分画を精製することに成功し、この分画に特異的に認められるタンパク質としてPrP<sup>Sc</sup>を同定した。さらにPrP<sup>Sc</sup>がプリオンの感染価と一致した挙動を示すことを見出し、PrP<sup>Sc</sup>がプリオンであるとするプリオン仮説を提唱した。プリオン仮説によれば、PrP<sup>Sc</sup>がPrP<sup>C</sup>をPrP<sup>Sc</sup>に変換させることによってPrP<sup>Sc</sup>が新たに産生され、プリオンは複製し伝播すると考えられている。 | ||