39
回編集
Tadaoarinami (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Tadaoarinami (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
4行目: | 4行目: | ||
=== 統合失調症の古典的ドーパミン仮説の登場 === | === 統合失調症の古典的ドーパミン仮説の登場 === | ||
1951年にchlorpromazineがCharpentierやCourvoisierらにより合成され<ref><pubmed> 12677184 </pubmed></ref> | 1951年にchlorpromazineがCharpentierやCourvoisierらにより合成され<ref><pubmed> 12677184 </pubmed></ref>、1952年にはDelayとDenikerにより躁病と精神病の患者に投与した結果が報告された。また、その有効用量がパーキンソン様症状など神経学的副作用を起こすことも知られ、chlorpromazineは神経遮断作用がある、とされた。CarlssonとLindqvitは動物実験によりchlorpromazineやその後開発された抗精神病薬haloperidolがドーパミン合成を亢進させることを発見した。これとは別に精神病治療に導入されていたレセルピンがドーパミンや他のモノアミンを枯渇させることが発見された。また、使用による精神病が記載されていたアンフェタミンの中枢神経刺激薬としての作用がドーパミン系に対するものであることが示され、ドーパミン受容体作動薬が統合失調症の精神症状を悪化させることなどの根拠によりJ. van Rossumはドーパミンの過剰産生・放出あるいはドーパミン受容体の過剰刺激や感受性の異常などによるドーパミン系の変調が統合失調症の病因に関与していることを示唆した<ref><pubmed> 5954044 </pubmed></ref>。これにより統合失調症には脳の神経化学的変化が関係していることが初めて示された。<br> 70年代に入り、ドーパミン受容体が同定され、神経遮断薬が中脳辺縁ドーパミン系や黒質線条体ドーパミン系に作用することが発見され、抗精神病薬の臨床効果がドーパミン受容体の結合能に強く相関することが発見され、ドーパミン仮説はより明確なものとなった<ref><pubmed> 1145194 </pubmed></ref><ref><pubmed> 945467 </pubmed></ref>。<br> この時点でのドーパミン仮説は、統合失調症の病態はドーパミン受容体の過剰なシグナル伝達によるものであり、これにより精神病の治療はドーパミン受容体を遮断することであった。これにより、統合失調症患者においてドーパミンバイオマーカーが変化しているという直接的な証拠を求める研究の方向性が示された。<br> | ||
=== 統合失調症のドーパミン仮説の証拠を求めて === | === 統合失調症のドーパミン仮説の証拠を求めて === | ||
1980年代から90年代にかけて、ドーパミン仮説を支持する直接的な証拠を得ることを目指して、髄液、血液、尿、線維芽細胞、死後脳を用いてドーパミンやその前駆体、代謝産物が測定された。しかし、明確な、研究間で一致するような変化は見られなかった。 | |||
=== 修正ドーパミン仮説:ドーパミン系の領域特異的失調説 === | === 修正ドーパミン仮説:ドーパミン系の領域特異的失調説 === | ||
38行目: | 37行目: | ||
=== 統合失調症に関連する精神疾患/ | === 統合失調症に関連する精神疾患/状態 === | ||
線条体のドーパミン合成の亢進は統合失調症の前駆症状を示している人<ref><pubmed> 19124684 </pubmed></ref>や統合失調型障害の人で見られている。 | 線条体のドーパミン合成の亢進は統合失調症の前駆症状を示している人<ref><pubmed> 19124684 </pubmed></ref>や統合失調型障害の人で見られている。 | ||
回編集