「エクソサイトーシス」の版間の差分

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 開口放出にカルシウム感受性を付与する分子([[カルシウムセンサー]])としては、synaptotagminや[[Doc2]]などの[[C2ドメイン]]を持つ分子の関与が濃厚である。特に、超高速開口放出にはsynaptotagmin1,2が関係している。これらの分子は、脂質2重膜との間でCa2+依存的な結合をする。Ca2+依存的な結合が、膜融合の直接的な引き金となっている可能性が高い。これらのCa2+センサーはcomplexinを介してSNAREと相互作用する。
 開口放出にカルシウム感受性を付与する分子([[カルシウムセンサー]])としては、synaptotagminや[[Doc2]]などの[[C2ドメイン]]を持つ分子の関与が濃厚である。特に、超高速開口放出にはsynaptotagmin1,2が関係している。これらの分子は、脂質2重膜との間でCa2+依存的な結合をする。Ca2+依存的な結合が、膜融合の直接的な引き金となっている可能性が高い。これらのCa2+センサーはcomplexinを介してSNAREと相互作用する。


 アクティブゾーンには更に幾つかの分子([[Rim]], [[ELKS/CAST]], [[liprin]], [[bassoon]], [[piccolo]], [[neurexin]]など) が集積しており、この超分子的な集積がアクティブゾーンとしての微細構造を作っていると考えられる。中でも、Rimは[[膜電位依存性カルシウムチャネル]]の集積に関係し、チャネル開口部にできる高濃度カルシウム領域([[カルシウムドメイン]])による開口放出の高速調節に必須と考えられる。アクティブゾーンで見られる超高速開口放出には、SNARE分子が拡散的に会合する余裕はなく、既に近接して[[''trans''-SNARE複合体]]を形成していると考えられる。一方、SNAREが既に会合しきっていたのでは、刺激後に膜融合に必要な力が説明されないので、SNAREは特有な不安定な複合体状態をとっており、そのために超分子構造が使われていると考えられる。
 アクティブゾーンには更に幾つかの分子([[Rim]], [[ELKS/CAST]], [[liprin]], [[bassoon]], [[piccolo]], [[neurexin]]など) が集積しており、この超分子的な集積がアクティブゾーンとしての微細構造を作っていると考えられる。中でも、Rimは[[膜電位依存性カルシウムチャネル]]の集積に関係し、チャネル開口部にできる高濃度カルシウム領域([[カルシウムドメイン]])による開口放出の高速調節に必須と考えられる。アクティブゾーンで見られる超高速開口放出には、SNARE分子が拡散的に会合する余裕はなく、既に近接して[[trans-SNARE複合体|''trans''-SNARE複合体]]を形成していると考えられる。一方、SNAREが既に会合しきっていたのでは、刺激後に膜融合に必要な力が説明されないので、SNAREは特有な不安定な複合体状態をとっており、そのために超分子構造が使われていると考えられる。


 シナプスの超高速開口放出では、刺激後放出に至る時間が短いので、小胞はアクティブゾーン細胞膜にドックし、次に、プライミングという分子過程を経て、分泌準備完了状態となり、Ca2+刺激で膜融合が起きると考えるのが自然である。この分子的準備完了状態は正確にはどういうものか未解明である。この超高速開口放出が開口放出がモデルとして用いられ、普通の遅い開口放出も同一機転で起きることが想定されることが多い。しかしながら、100ミリ秒より遅い普通の開口放出については、SNAREが拡散的に会合する時間があり、遅い開口放出は、刺激後にSNAREの拡散的な会合が起きれば、最も自然に説明される。遅い開口放出の刺激前の状態としては、t-SNAREだけ複合化した状態(binary-SNARE状態)やSNARE分子が全部分離した状態(unitary-SNARE状態)、更には、[[cis-SNARE]]である状態が考えられている(図2)。この場合もCa2+依存性はsynaptotagminと細胞膜の結合によりSNARE分子が会合し複合体を形成しやすくない機構が関与し得る。更に、SNAREの[[リン酸化]]により、複合化が調節されている場合や、cAMPやCa2+刺激により、細胞質の小胞の運動性が増す。シナプス小胞の持続的分泌や自発的分泌では後者の機構の関与が考えられる。
 シナプスの超高速開口放出では、刺激後放出に至る時間が短いので、小胞はアクティブゾーン細胞膜にドックし、次に、プライミングという分子過程を経て、分泌準備完了状態となり、Ca2+刺激で膜融合が起きると考えるのが自然である。この分子的準備完了状態は正確にはどういうものか未解明である。この超高速開口放出が開口放出がモデルとして用いられ、普通の遅い開口放出も同一機転で起きることが想定されることが多い。しかしながら、100ミリ秒より遅い普通の開口放出については、SNAREが拡散的に会合する時間があり、遅い開口放出は、刺激後にSNAREの拡散的な会合が起きれば、最も自然に説明される。遅い開口放出の刺激前の状態としては、t-SNAREだけ複合化した状態(binary-SNARE状態)やSNARE分子が全部分離した状態(unitary-SNARE状態)、更には、[[cis-SNARE]]である状態が考えられている(図2)。この場合もCa2+依存性はsynaptotagminと細胞膜の結合によりSNARE分子が会合し複合体を形成しやすくない機構が関与し得る。更に、SNAREの[[リン酸化]]により、複合化が調節されている場合や、cAMPやCa2+刺激により、細胞質の小胞の運動性が増す。シナプス小胞の持続的分泌や自発的分泌では後者の機構の関与が考えられる。