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同義語:ジル・ド・ラ・トゥレット症候群、トゥレット症候群 | 同義語:ジル・ド・ラ・トゥレット症候群、トゥレット症候群 | ||
多様性の運動チックと1つ以上の音声チックを有して、何らかのチックを認める期間が1年以上に及ぶ場合に、トゥレット障害と診断される。しばしば、[[強迫性障害]]([[obsessive-compulsive disorder]]: [[OCD]])及び[[注意・欠如多動性障害]]([[attention-deficit/hyperactivity disorder]]: [[ADHD]])など様々な精神神経疾患を併発する。4~11歳頃に発症することが多く、10~15歳頃に最悪時を迎えるが、成人期初めまでに消失や軽快に転じる場合が多い。[[皮質-線条体-視床-皮質回路]]([[cortico-striato-thalamo-cortical circuit]]: [[CSTC回路]] | 多様性の運動チックと1つ以上の音声チックを有して、何らかのチックを認める期間が1年以上に及ぶ場合に、トゥレット障害と診断される。しばしば、[[強迫性障害]]([[obsessive-compulsive disorder]]: [[OCD]])及び[[注意・欠如多動性障害]]([[attention-deficit/hyperactivity disorder]]: [[ADHD]])など様々な精神神経疾患を併発する。4~11歳頃に発症することが多く、10~15歳頃に最悪時を迎えるが、成人期初めまでに消失や軽快に転じる場合が多い。[[皮質-線条体-視床-皮質回路]]([[cortico-striato-thalamo-cortical circuit]]: [[CSTC回路]])、特に[[ドーパミン]]系の異常が想定されてる。治療には薬物療法、[[認知行動療法]]が用いられる。 | ||
(抄録は編集部で重要そうな内容を拾って作成致しました。ご確認下さい) | (抄録は編集部で重要そうな内容を拾って作成致しました。ご確認下さい) | ||
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== 併発症 == | == 併発症 == | ||
トゥレット障害は様々な精神神経疾患をしばしば併発して、それも特徴の一つとされる。最も代表的な併発症はOCD及びADHDである。 | |||
トゥレット障害の約30%がOCDを併発し、OCDの診断基準に達しない強迫症状まで含めると過半数に達する。トゥレット障害とOCDの併発では、“まさにぴったり(just right)”せずにはいられないという感覚を伴う強迫行為が特徴的とされる。 | トゥレット障害の約30%がOCDを併発し、OCDの診断基準に達しない強迫症状まで含めると過半数に達する。トゥレット障害とOCDの併発では、“まさにぴったり(just right)”せずにはいられないという感覚を伴う強迫行為が特徴的とされる。 | ||
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ADHDを併発する場合には、[[学習障害]]などADHDと親和性の高い疾患も伴いやすい。 | ADHDを併発する場合には、[[学習障害]]などADHDと親和性の高い疾患も伴いやすい。 | ||
併発症としては、[[自閉症スペクトラム障害]] | 併発症としては、[[自閉症スペクトラム障害]]([[autism spectrum disorder]]: [[ASD]])も知られている。むしろASDにトゥレット障害を高率に伴うと強調されるが、トゥレット障害の1~9%にASDを伴う。 | ||
他の併発症状には、些細なことで怒りを爆発させてしまう“怒り発作(rage | 他の併発症状には、些細なことで怒りを爆発させてしまう“怒り発作(rage attacks)”、[[不安]]、[[うつ]]などが含まれる。 | ||
== 経過・予後 == | == 経過・予後 == | ||
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トゥレット障害は生物学的な基盤のある神経発達障害と考えられている<ref name=ref2><pubmed>21880899</pubmed></ref> <ref name=ref3><pubmed>20807062</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>22064610</pubmed></ref>。 | トゥレット障害は生物学的な基盤のある神経発達障害と考えられている<ref name=ref2><pubmed>21880899</pubmed></ref> <ref name=ref3><pubmed>20807062</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>22064610</pubmed></ref>。 | ||
[[wikipedia:ja:双生児研究|双生児研究]]、[[wikipedia:ja:家族研究|家族研究]]から、トゥレット障害に遺伝的要因の関与が大きいことが明らかになっている。慢性運動チックやOCDがトゥレット障害と遺伝的に関連する可能性が指摘されている。詳細な家族研究から単一遺伝子による疾患と仮説されたこともあったが、現在では複数の遺伝子と環境要因が関与する[[wikipedia:ja:多因子遺伝|多因子遺伝]]と考えられている。最近では、遺伝子変異を有する患者の知見に基づいて、[[wikipedia:ja:膜タンパク質|膜タンパク質]]をコードする[[SLITRK1]]遺伝子、[[ | [[wikipedia:ja:双生児研究|双生児研究]]、[[wikipedia:ja:家族研究|家族研究]]から、トゥレット障害に遺伝的要因の関与が大きいことが明らかになっている。慢性運動チックやOCDがトゥレット障害と遺伝的に関連する可能性が指摘されている。詳細な家族研究から単一遺伝子による疾患と仮説されたこともあったが、現在では複数の遺伝子と環境要因が関与する[[wikipedia:ja:多因子遺伝|多因子遺伝]]と考えられている。最近では、遺伝子変異を有する患者の知見に基づいて、[[wikipedia:ja:膜タンパク質|膜タンパク質]]をコードする[[SLITRK1]]遺伝子、[[ヒスタミン|<small>L</small>‑ヒスチジン脱炭酸酵素]]をコードする[[HDC]]遺伝子の関与が示唆されている。 | ||
また、遺伝的要因と環境要因との相互作用も検討されている。[[wikipedia:ja:溶連菌|溶連菌]]感染症後の[[wikipedia:ja:自己免疫疾患|自己免疫疾患]]([[wikipedia:pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections|pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections]];[[wikipedia:PANDAS|PANDAS]])について関心が持たれてきたが、いまだに議論が続いている。 | また、遺伝的要因と環境要因との相互作用も検討されている。[[wikipedia:ja:溶連菌|溶連菌]]感染症後の[[wikipedia:ja:自己免疫疾患|自己免疫疾患]]([[wikipedia:pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections|pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections]];[[wikipedia:PANDAS|PANDAS]])について関心が持たれてきたが、いまだに議論が続いている。 | ||
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トゥレット障害の病態としては、[[皮質-線条体-視床-皮質回路]]([[cortico-striato-thalamo-cortical circuit]]: [[CSTC回路]])の異常が想定されており、その中でも[[基底核]]の機能低下を示唆する所見が多い。CSTC回路には部分的には重なるが大局的には並行する複数の回路が存在しており、トゥレット障害にしばしば併発するOCDやADHDもCSTC回路の異常を有するとされる。 | トゥレット障害の病態としては、[[皮質-線条体-視床-皮質回路]]([[cortico-striato-thalamo-cortical circuit]]: [[CSTC回路]])の異常が想定されており、その中でも[[基底核]]の機能低下を示唆する所見が多い。CSTC回路には部分的には重なるが大局的には並行する複数の回路が存在しており、トゥレット障害にしばしば併発するOCDやADHDもCSTC回路の異常を有するとされる。 | ||
トゥレット障害におけるドーパミン[[D2受容体]]遮断作用の強い薬物療法の有効性などから、[[神経伝達物質]]の中でもドーパミン系が注目されてきた。ドーパミン系の[[受容体]]の異常、[[トランスポーター]]の異常、ドーパミンの相性(ご確認下さい)の放出などが報告されており、機序は一律ではないかもしれない。ドーパミン系以外にも[[セロトニン]]系、[[ノルアドレナリン]]系をはじめ多様な神経伝達物質の関与も示唆されている。 | |||
== 治療 == | == 治療 == |