16,039
回編集
細編集の要約なし |
細 (→種類) |
||
9行目: | 9行目: | ||
哺乳類の神経系に発現している塩素チャネルは以下の5つに大別される。 | 哺乳類の神経系に発現している塩素チャネルは以下の5つに大別される。 | ||
#ClC塩素チャネル | |||
#カルシウム依存性塩素チャネル(calcium-activated chloride channel; CaCC) | |||
#細胞容積感受性塩素チャネル (volume-regulated chloride channel) | |||
#CFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)塩素チャネル | |||
#リガンド作動性塩素チャネル | |||
このうち、リガンド作動性塩素チャネルに関しては[[GABA受容体]]、[[グリシン受容体]]を参照。 | |||
== | == ClC塩素チャネル == | ||
塩素チャネルとして最初にシビレエイ(学名 ''Torpedo marmorata'')の発電器官からクローニングされた遺伝子ファミリーに属するものである<ref name="ref1"><pubmed>18307107</pubmed></ref>。哺乳類では9種類知られており、そのうち神経系に発現が知られているのは主にClC-2・-3・-4・-6・-7である。ClC-2は主に形質膜に分布して電位感受性塩素チャネルとして機能し、その他のClC-3・-4・-6・-7は主に細胞内小胞膜に分布し、チャネルというよりは、むしろCl<sup>-</sup>/H<sup>+</sup>-交換輸送体として機能すると考えられている。 | |||
== | == カルシウム依存性塩素チャネル == | ||
細胞内Ca<sup>2+</sup>濃度の上昇に応じて活性化される塩素チャネルである。古くから神経系の細胞を含む、様々な細胞種で確認されていた最も典型的なCaCCの主な責任分子が、近年Anoctamin/TMEM16ファミリーのAno1/TMEM16A及びAno2/TMEM16Bであることが確定した<ref name="ref2"><pubmed>22090471</pubmed></ref><ref name="ref3"><pubmed>19827947</pubmed></ref>。また、卵黄状黄斑ジストロフィ(ベスト病)の原因遺伝子として主に網膜色素上皮に発現し、神経系全般にも或る程度の発現が認められているBestrophinファミリー(Best1-4)もCaCC活性を持つことが知られている<ref name="ref4"><pubmed>18391176</pubmed></ref>。(なお、かつてCaCCの候補として挙げられていたCLCA及びTTYHファミリーのCaCCとしての機能については、現在否定的な見解が占める。) | |||
== | == 細胞容積感受性塩素チャネル == | ||
典型的には細胞容積の増大に伴い開口する塩素チャネルである。神経系の細胞を含む、あらゆる細胞種で容積増大により最も多く活性化されるのが、細胞容積感受性外向整流性アニオンチャネル(volume-sensitive outwardly rectifying anion channel; VSOR)と呼ばれるものであるが、その分子実体はまだ解明されていない<ref name="ref5"><pubmed>19171657</pubmed></ref>。その他、マキシアニオンチャネル(maxi-anion channel)<ref name="ref6"><pubmed>19340557</pubmed></ref>と呼ばれるものや、上述のClC-2・Best1も容積感受性があることが知られている。 | |||
== CFTR塩素チャネル == | |||
嚢胞性線維症(cystic fibrosis)の原因遺伝子として同定されたCFTRは、神経系でも或る程度の発現が報告されている。cAMP依存性リン酸化酵素(PKA)によるリン酸化を通じて活性化される塩素チャネルである<ref name="ref7"><pubmed>18304008</pubmed></ref>。<br> | |||
== 構造 == | == 構造 == |