「中枢パターン生成器」の版間の差分

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== 概念と研究の歴史==  
== 概念と研究の歴史==  
20世紀初頭にGraham Brown は、中枢神経系への感覚入力を遮断したネコにおいて、胸髄のレベルで脊髄を横切断した直後に後肢の足関節にリズミックな屈曲・伸展の活動パターンがみられるということを報告した(Graham Brown 1911)。これは感覚入力や脊髄の上位中枢からの入力がなくても下部胸髄から腰髄に局在する神経回路だけでリズミックな関節の動きが生み出されることを示唆した初めての例である(Stuart and Hultborn 2008)。またCPGという用語が神経科学研究の論文において初めて用いられたのは、1960年代のWilsonとWymanによるバッタの飛翔の神経メカニズムに関する研究(Wilson and Wyman 1965)とされる(Stuart and Hultborn 2008)。哺乳類においては、咀嚼・吸啜の際の顎関節や舌の動き(Morquette 2012)、呼吸の際の横隔膜や胸郭の動き(Feldman 2003)、そして歩行の際の四肢の動き(Grillner 1981)を制御するCPGが知られている。他の脊椎動物では魚類や両生類の泳動(Grillner 1995, Roberts 1998)などを生み出している。また無脊椎動物においても昆虫(バッタ)の飛翔(Ramirez and Pearson 1991)、軟体動物(クリオネ)の泳動(Arshavsky et al. 1998)あるいは甲殻類(イセエビなど)の胃咀嚼器のリズミック(Selverston et al. 1998)を制御する神経回路がCPGとしてリズミックな運動出力を形成していることが知られており、神経回路のしくみ、特に細胞レベルの機能解析が進んでいる。ここでは主に脊椎動物の移動運動(Locomotion)、特に哺乳類の歩行と魚類の泳動を生成するCPGについて述べる。
20世紀初頭にGraham Brown は、中枢神経系への感覚入力を遮断したネコにおいて、胸髄のレベルで脊髄を横切断した直後に後肢の足関節にリズミックな屈曲・伸展の活動パターンがみられるということを報告した)<ref> Graham Brown T. <br>
The intrinsic factors in the act of progression in the mammal. <br>Proc R Soc Lond B Biol Sci. 1911, 84:308–319.
</ref>。これは感覚入力や脊髄の上位中枢からの入力がなくても下部胸髄から腰髄に局在する神経回路だけでリズミックな関節の動きが生み出されることを示唆した初めての例である<ref name=ref2><pubmed> 18582502 </pubmed></ref>。
(Stuart and Hultborn 2008)。またCPGという用語が神経科学研究の論文において初めて用いられたのは、1960年代のWilsonとWymanによるバッタの飛翔の神経メカニズムに関する研究(Wilson and Wyman 1965)とされる(Stuart and Hultborn 2008)。哺乳類においては、咀嚼・吸啜の際の顎関節や舌の動き(Morquette 2012)、呼吸の際の横隔膜や胸郭の動き(Feldman 2003)、そして歩行の際の四肢の動き(Grillner 1981)を制御するCPGが知られている。他の脊椎動物では魚類や両生類の泳動(Grillner 1995, Roberts 1998)などを生み出している。また無脊椎動物においても昆虫(バッタ)の飛翔(Ramirez and Pearson 1991)、軟体動物(クリオネ)の泳動(Arshavsky et al. 1998)あるいは甲殻類(イセエビなど)の胃咀嚼器のリズミック(Selverston et al. 1998)を制御する神経回路がCPGとしてリズミックな運動出力を形成していることが知られており、神経回路のしくみ、特に細胞レベルの機能解析が進んでいる。ここでは主に脊椎動物の移動運動(Locomotion)、特に哺乳類の歩行と魚類の泳動を生成するCPGについて述べる。




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==関連項目==
==関連項目==
 脊髄介在ニューロン
脊髄介在ニューロン
 呼吸中枢
呼吸中枢
  NMDA型グルタミン酸受容体
NMDA型グルタミン酸受容体


参考文献
参考文献
(執筆者:西丸広史 担当編集委員:伊佐正)
(執筆者:西丸広史 担当編集委員:伊佐正)
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